『ルドルフといくねこくるねこ』を読んで
シリーズ三作目である
おなじみのメンバー
ルドルフ イッパイアッテナ
ブッチー デビル
日本に帰ってきた日野さんの家で
ルドルフとイッパイアッテナは
半分飼いねこ、半分ノラねこの
幸せな日々を送っていた
そこへ
前作、イッパイアッテナに一蹴された
川の向こうのねこがやって来る
『おひさしぶりでやす。タイガーの大親分さんと、ルドルフの親分さん。おわすれでしょうか。あっしです。市川のドラゴン兄弟のジャックです。』
このシリーズの見所のひとつは
ねこたちの『渡世の物語』である
ルドルフとイッパイアッテナも
シリーズを重ねるごとに
ひとかどの侠客として名を上げてゆく
じゃりン子チエに出てくる
小鉄とアントニオJr.のように
人間たちのあずかり知らぬ所での
ねこ達の世界の物語がとても面白いのだ
川向こうの市川に現れた凶暴な野良犬
そいつにやられた長兄ブラッドと犬のモンタのかたきを討つため、ジャックとテリーはイッパイアッテナとルドルフに助っ人を頼みにやって来たのだった
ところで金物屋のブッチーは
獣医さんに飼われているアメリカン・ショートヘアのミーシャといい感じである
イッパイアッテナが『あいつは、シティーボーイだからな。』と言うだけあって、なかなかどうして、すみに置けない
そんなある日
ブッチーとルドルフとテリーは
電車を乗り継いで浅草へと物見遊山をする
そこでルドルフを貫く出会いがあり一方
ブッチーは雷門のちょうちんを見上げて呟く
『世の中には、こんなでっかいちょうちんを寄付する電気屋のおやじもいるっていうのになぁ、、、。』
ブッチーにはブッチーの物語がある
『もう、ずっとまえから、だめになってたんだよ。』
『ほら、このごろあっちこっちに、スーパーみたいな金物屋があるじゃないか。ホームセンターっていうやつ。おれはいったことないけど、そういうところじゃあ、うちなんかより品物の数も多いし、値段も安いらしいんだ。でっかい駐車場があるから、ちょっとくらい不便な場所にあっても、お客がいくんだってよ。それでまあ、うちの金物屋はだんだん売れなくなって、、、。』
『金物屋さんのおじさん、ブッチーのこと、つれていってくれなかったの?』
『店を手ばなさなきゃならなくなっても、そこまで気持ちは落ちぶれちゃいないよ。ちゃんと引っ越し用に、おれが入ってもぜんぜんきゅうくつじゃないケージを用意してた。わざわざおれのために、最後に仕入れたんだ。それについちゃ、ありがたいと思っているし、いままでおれのことをめんどう見てくれたんだから、ケージに入れられそうになったとき、もがいてにげたことについては、ちょっと気がひけてるよ。』
おれはおれだ
おれはねこだ
飼いねこだとかノラねこだとか
そんなことはどうでもいい
ブッチーが
しきりに鳩を獲ろうとしていたのは
自分がこの先、のらネコとして
自立してやってゆけるか
自分の力を試していたのだ
一作目ではほんの脇役だったのに
ブッチーがめきめき名優になってくる
今作では敵とすれ違い
イッパイアッテナは見せ場無し
代わりにルドルフとデビルがカッコいい
雑種の凶暴な野良犬を相手にやり合う
ルドルフとブッチーとデビル
ふりむくと、いぬの前にデビルが立ちはだかっていた。
『待ってたぜ。おまえ、血統書つきのいぬがきらいだそうだな。ちょうどいいじゃねえか。おれは純血種のブルドッグでな。この家の中には、おれの血統書が額に入って、かざってあらあ。』
ぼくはルドルフだ。
このあたりで、勝手なまねはさせない。
おまえはだれだ。
おまえの名まえをきいているんだ。
『ばかばかしい、、、。』
もしぼくがまだ東京に出てきたばかりのときだったら、『へえ、めずらしいね。おじさん、バカバカシイっていう名まえなんだ。』とまじめな顔でいってしまったかもしれない。でも、ぼくはやはりつとめてまじめな顔をして、いった。
『バカバカシイとは、また変わった名まえだな。そりゃあ、まえに二度もばかがつくほど頭が悪いってことか。』
ルドルフ ルドブン クロ クロウ
いつの間にかルドルフも
たくさんの名まえで呼ばれていて
まるでイッパイアッテナのように
強く大きく成長していて、、、
というお話です
2002年の出版です
僕はもう成人していたけれど
本屋でこの新刊を見つけた時は
本当にびっくりしたし嬉しかった
(前作で完結だと思っていたので)
工事現場のバイトの帰りに
京都の四条通りの本屋で見つけたっけな、、
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