魚の目と40歳のわたし
魚の目と出合ったのは3年ほど前の夏。左足の裏の一部が固くなっているなとは思っていた。それからしばらくしたある日、じっと見つめてみた。左足の裏を。やがて気がついた。これは魚の目とよばれているやつではないのか。魚の目があっても日常生活に支障はないが、全く痛みを感じていないわけではなく、歩く時に少し違和感を感じる。遠回しな言い方になっているが、結局のところ少し痛い。早速ネットで検索してみる。すぐに皮膚科に行く勇気はない。どうやら市販薬で治せるらしい。ネットで治療薬とやらを注文をする。後々知ったが、近所のドラッグストアでも同じようなものが同じような値段で売られていた。少し焦っていたらしい。自身の身体に魚の目という、招かれざる客を招いてしまったことに。治療薬を使った結果、魚の目は小さくはなるが完全に取り切れてはいない。小さくはあるがわたしの左足裏に存在し続けている。魚の目が気になったらシール(治療薬)を貼っている。
現在40歳のわたしは、部活動に青春を捧げているわけでも、世界中を飛び回る仕事をしているわけでもない。左足裏の硬い角質が日常生活を脅かしている様子はない。時折、"お母さん、走って!お母さんはなんで足が遅いの?"と7歳の次男に傷つけられながら走っているくらいだ。お母さんも本気を出せばあなたより速いのよ。でもお母さんは決してそんなことはしないよ。だってあなたが世界で一番かわいいから。正確には世界で一番、長男と同じくらいかわいいから。そんなことを思いながら小走りすることだってできる。
市販の治療薬は一箱使い切った。そろそろ二箱目を買いに行こうじゃないか。魚の目よ。あなたとは長い付き合いになりそうだ。もしくは、勇気を出して皮膚科に行ってみようか。45歳の誕生日を迎える頃に。