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順番を守る

順番を守りたいと思っている。
自然の摂理に逆らうことは出来ないだろうが、
出来る限り順番を守りたい。

父は80代、母は70代だ。
ワタシ自身、近しい人を亡くした事はまだない。
人間の幸せって、突き詰めると順番にこの世を去って行くことではないだろうか。
年老いた年長者の順に、ひとりずつ逝くこと。
個人の人生の中身なんて知らない。わかんないし。人が幸せだったのかなんてあんまり興味もない。親となんて時代も違う、基準も違う。比べる意味もない。
ただ順番は守りたい。出来る限り。
順番が狂うと悲しいことになる。赤の他人が聞いても、順番が守られなかった事実は、それは悲劇になる。

ワタシも50代になり、親にとって良い子供だったのかなんて、気にもしていない。それなりに迷惑もかけただろうし、悲しませたりしただろう。
実家に行き、日々老いてい行く彼らを見ていると、「順番を守らないとなあ
」と少しだけピリッとする。
会社の掲示板にあがる「訃報」に社員の親御さんのそれを見つけると、
「順番守って偉かったね。親孝行したね。」って思うのだ。
50代なんて、ワタシ自身がいつ何があってもおかしくない。
だんだん衰えてきているし、健康診断だって毎回気が重い。
それでも老いた父母よりは長く生きて、「ありがとう」って言わないと。
それが出来ないとしても、順番が狂わないようにしなければ。
先の短い人に悲しい思いはさせてはいけない。命取りだ。

だから子供達にも胸の中でこっそりと思っている。
「お願いだから順番を守ってね。」
大きくなれば行動範囲が広がって、親の目が届かないところに行く。離れて暮らすようになる。強く影響を受ける人が現れるだろう。生活に疲れて自堕落になるかもしれない。
失恋して、食事が喉を通らない事もあるかもしれない。
明日の事なんて、考えられなくなるかもしれない。
それでも母は「順番通り」を希望します。
順番が狂わないように、日々口うるさく小言を言うわけじゃん。こっちは。「代わってあげたい」と言うけれど、実際「代われない」のだよ。
そんな事は絶対にできない。

ワタシは自分が可愛いばっかりに、苦しみたくないばっかりに、自分の周りの人々に「順番を守って欲しい」と祈っている。


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