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超短編小説 怪物

欲望というのは誰にでもある。その欲望が叶えられないまま終える人も多い。まあそれが普通だろう。

勉強はそんなに好きではないが上昇志向だけは人一倍な人間がいた。

教師に内申を上げてもらってそれなりにいい高校に入り、お金があればなんとかなると噂されている有名な大学の学部を卒業。

就職はコネが無く上手くいかなかったが、高名な人に会って気に入られたことで怪物が憑依したと言われている。

怪物は高名な人に関わる人たちに無理やり会ってコネを作るのに必死になった。拒まれても会いに行き、その中で面白がる人がいたおかげでマスメディアを使って有名になった。

有名になると名誉欲も強くなり関わる人間に取り入って様々なものを獲得。周りから見ると何も身についていないが怪物が満足しているので問題ないようだ。金魚の糞のようにまとわりつく人たちも現れた。

知名度はかなり上がった。自分を知らない人間は許せず、デパートの店員が特別待遇しないことで怒鳴り散らしたこともある。

怪物の欲望は止まらず有名人や政財界の人間に会いまくり、そのコネを使って様々な肩書をもらい大きな組織のトップに上り詰めた。問題はあるがコネに守られ安泰だ。怪物は吠えた。

まだまだ登りたいが大物政治家が不祥事で消えた。

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