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超短編小説 とある病院
寂れた地域の精神病院。近所の人間が訪れることはない。鬱蒼と生い茂る樹木と砂埃を纏い建っている。西洋建築によくある細い鉄で細かな文様がある門で閉ざされその中を知ることができない。だが精神病院として医師会には登録されている。確かにあるのだろう。
院長が高級スポーツカーに乗るのをよく目撃されるそうだ。横断歩道は止まったことがないという。噂だが。
入院患者はどこの病院も受け付けない患者だという。死亡退院率90%。患者の家族は早く死んでくれることを望んでいると言われている。入院費もバカにならない。生活保護になっている患者も多い。
一度もリフォームしたことのないような廃墟のような室内。言葉が通じない患者だらけ。そんな中で患者は一生を終える。患者の家族はほとんど見舞いに来ないので汚くても問題ないらしい。
どこかの精神病院で暴力沙汰がニュースになった。大変だ。
院長は考えた。自殺に追い込めば問題ないのではと。その日から患者に対する暴言が始まる。言葉で死に追いやっても殺人ではない。そんなこんなで死亡退院率100%。高級スポーツカーがいつの間にかグレードアップした。
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