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短編小説

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小説まとめました ほとんど超短編小説 思いついたときに書くので不定期です
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2024年4月の記事一覧

小説 縁 封印

母に栞ちゃんが事件に巻き込まれるかもしれないと慌てて相談した。泣きそうになってると母は「無の時間を」と言い私の頭をなでた。 しばらく無になった。母は「私は未来は見えないけど、止めることはできる」と言い、どこかに出かけて行った。 その後、事件の話は聞かなかった。栞ちゃんに何も起きなかったのだろう。母は「まだ力を使うのは大変かもね。大学出るまで封印しましょう」と私の頭をなでた。 朝、無の時間を過ごすこととなった。それで封印されるという。高校のあの朝礼はそういうことだったのか

小説 縁 開眼

大学は無返済の奨学金が貰えることになった。高校の成績がよく入試の成績がかなりよかったからだ。寄宿舎生活の個室で勉強に集中できたからだろう。 母も喜んでいた。SNSで知り合ってオリエンテーションで友達も出来た。ただ一つ問題なのは、近くの人の未来がなんとなく見えてしまうことだ。 母にそのことを言うと、気軽に人に話してはダメよと注意された。 寄宿舎生活していた時に、なんとなくこの子、ケガするよねって思ったら体育の授業で転んで骨折して驚いたことがある。黙っていたがそれ一回の事な

小説 縁 高校生活

高校は寄宿舎生活だった。山の中にあって個室が与えられ自由に過ごせる。 私は最高点で入った特待生。授業料も生活費も無料だ。必死に勉強してよかった。母の負担もほとんどない。 朝、精神統一の時間があって、みんな校庭に並んで無の時間を過ごすように言われる。 いろんなことを考えてしまう私を見抜き、指導の先生が「無の時間を」と注意する。どうもうまくいかない。 新入生はみんなそんな感じで指導の先生の「無の時間を」という声が何度も聞こえる。 そんな朝を過ごしてから、普通に高校生活が

小説 縁 フリースクール

フリースクールに来てみた。みんな黙々と好きなことをしている感じだ。勉強にはあまり力を入れてない感じもする。 勉強がしたいのだがそんな感じではなさそうだ。勉強がしたいというと、別の部屋に通され個人指導の塾があった。 ここも母の知り合いが経営しているとか。誰かに聞かれたらフリースクールと言いなさいと言われた。昼間、塾をしているのは秘密らしい。 好きなように勉強していたら一年で中学で学ぶことは終わっていた。 先生が中学に戻ったらと勧めてきた。なんとなく戻れる気がした。 中

小説 縁 中学で

中学生になった。中学受験はしなかった。先生に勧められたが、そんなお金はうちにはない。 中学に上がるといろんな人がいるのを感じた。笑い声があちらこちらで聞こえる。みんな楽しそうだ。友達も出来た。栞ちゃんだ。透き通るような肌と長い黒髪。アニメからでてきたような感じだ。 入学式に栞ちゃんが話しかけてきて、すぐ友達になった。 気がつくとどうでもいいことを話しかけてくる裕という男子がいた。スポーツが好きなよくいる男子だ。私と話すより栞ちゃんとよく話していた。どうやら栞ちゃん目当て

小説 縁 序章

私は縁。縁と書いてゆかりと読む。でも周りはみどりちゃんと呼ぶ。 初めて会う人は名前を見て「みどりちゃんだね」と声をかけて来ることが本当に多い。「みどりじゃないからゆかりだから」と何度も言ってきたが、訂正するのもは面倒になってきて今は「みどり」ということにしている。 たまに「これ「えん」だよね。ひょっとして「ゆかり」じゃないの」と気づく人もいるが周りが混乱するので「みどり」って呼んでって言っている。 自分で言うのもなんだが結構かわいい。小さなころから大人の男が話しかけるこ