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第10話 白いサンタのネネなのです 

ネネはサンダー・ボルトのシートに座り、左手首に付けているブレスレットを触り始めました。
このブレスレットは、サンタ服のオマケでついていた付属品です。

ネネのサンタ・ブレスレット

ネネの気分に合わせてサンタ服の形状を変更することが可能で、しかもサンタ袋の中身をリストで表示してくれるという優れものでした。

使い方は、ネネの頭の中に情報が流れ込んできたので困りませんでした。
しかし「使い方がわかる」ことと、「実際に使ってみる」ことは全くの別の話です。
サンタ袋の中に収納した貨物コンテナの中身を見たいと思ってるのですが、なかなかうまくいきません。

今ネネの目の前には、ホログラム画面が映し出されています。
操作方法は、昔使ったことのある人間界のスマホと大差ありませんでした。
いわゆるタッチパネルのようなものなので、さっきからいろいろ指でボタンを押したり、スクロールさせたりしてるのですが・・・。

「うーん、貨物コンテナのフォルダって、どこにあるんだ」
どうやらネネは、何かを探そうとしているようですが、悪戦苦闘しているようです。
さっきから、ぶつぶつ独り言ばかりで、ボルトが話しかけても返事すらしなくなっていました。

仕方が無いので、サンダー・ボルトはネネを乗せたまま、キノコの親玉を探すために移動することにしました。
ボルトは大型のバイクなので、やぶを突っ切るわけにもいかず、小道に沿って森の奥へと進み始めます。

『光でキノコが駆除くじょできるってことは、森を焼かずに済むってことだよな』

ボルトはボディ両側面から、格納していた小型レーザー砲を出しました。
目につくキノコを全てロックオンし、レーザー砲から光のたばを発射します。
キノコは燃えることなく、光の粒になって次々と消滅していきます。

ボルトは親玉の大きなキノコがいると思われる目的地に向かって、少し速度を上げました。

しばらく進んでいると、ずっと静かだったネネがいきなり大声を上げます。

「見っけた!! ネネちゃん えらい ネネちゃん すごい!!」

ネネ自画自賛中

あまりにも唐突とうとつに大声を上げられたので、驚いたサンダー・ボルトは急ブレーキをかけてしまいました。
ネネはハンドルをにぎらず、シートの上で万歳ばんざいポーズをしていたので、急制動きゅうせいどうの勢いで前方のやぶの中へポーーンと放り出されます。

『わっ!やべー! だっ大丈夫かネネ?!』

ボルトの心配も、どこ吹く風。
ガサゴソとやぶから出てきたネネは、ものすごいドヤ顔で満面のみを浮かべていました。

とりあえず大丈夫そうだったので安心したのですが、それよりもすごくおかしなことが起こっています。

『あ?ちょっと、え??』

ボルトが困惑したのも当然のこと。
やぶの中から出てきたネネは、服装が違っていました。

赤白のサンタ服ではなく、白の服と帽子に変わっていたのです。
しかも片手には銃を持ち、背中にはバックパックまで背負っています。

どや?かわいいでしょ

「どうよこれ」
『え? こわっ』
「え?かわいいって? 嫌だなぁ、そんなめられても。きゃっ」
『いや、めてないんですけど』

ネネが持っているのは「光子銃レーザーガン」という試作品の武器です。
ネネの父クリスが兵士用に開発中だったものが、貨物コンテナの中に入っていました。
バックパックが雷ボトルから得た電力を、「光子レーザー」に変換してくれます。

「ちょっと、銃とバックパックがホースで繋がってるのが気になるけど・・・まぁ、いいか」

ネネは銃をかまえて、近くにあったキノコに狙いを定めます。
トリガーを引くと、光の弾丸のようなものが1発だけ発射されました。
ボルトの装備しているレーザー砲とは、少し仕様が異なるようです。

キノコに光の弾丸が着弾すると、キノコは光の粒になって消え去りました。


【あとがき】
この小説の題名は「赤と黒のサンタ」です

この時のネネは知る由もないですが、サンタ・ツリーからもらった「ネネのサンタ・ブレスレット」は、彼女の父クリスが作ってくれていたネネ専用の装備です。
ちなみにサンタ服も、父が作ってくれていたものでした。

全てAI生成画像です。「leonardo.Ai」さんを利用させて頂いてます

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