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龍国の住人

女の修行場1

龍国の階段を降りると、ゆらゆらと湯気が立ち上る。初めまして、新人でございます。
熱いシャワーを頭から浴びる。午前4時の龍人は、ひとり。軽く会釈をする、体を浄め、ミストサウナで会話する。
彼女は、睡眠障害で眠りが浅いらしく午前4時から、二時間半、体を癒しに龍国を訪れている。
ミストサウナと水風呂をひたすら往復している。快感なのか水風呂に入ると、ひゃーと声をあげてバシャバシャと泳ぎ始める。
楽しそう。眠れないか、確かに!私も、眠れなくて、此処にいる仲間なんだ。彼女は、忙しなく動きが速い、髪を乾かす時も、ながら運動をしてた。最初に会った住人は、何かを急ぎ、ずっと動いていた。

私のあらすじ1

私は、休職中、正しく言えば有給休暇中。ずっと働き詰めで、有給すら取らず会社から、最低5日は取って下さいと叱られる働き方である。
32年もこの戦い方をして、自分が疲弊している事も気づけない他人の評価の為に生きてきた。
結果、重度脳疲労、慢性疲労症候群という、カッコいい病名を付けられた。
即、ドクターストップ。行け行け営業ウーマンには、自分に何が起きたか理解するのに時間が必要だった。
其処から、ひたすら自分と向き合った。
思考の泥沼は、二ヶ月半続いた。朝を迎えたら、すぐに、夕方になる。成長の過程と後で気づくが、苦しくて沼に足を取られてずぶずぶと、引き吊り込まれる。顔を出して息をする。
記憶の中で、目に映るのは、沼に咲く美しい蓮の花だ。凛として、泥沼に咲いている。どれだけ考えても苦しさから、逃げられない。
考える事で、自分を追い詰めていく。
この苦しみを自分から創るのであれば、いっそ手放そう。諦めも、執着も、不安も、思い浮かぶのを、ひたすら手放した。
二ヶ月半、長かった。職場復帰する前に、思い浮かぶ行きたい場所へ足を運んだ。
まずは、出雲大社。朝、6時の新幹線で新山口を、目指した。乗り換えて、スーパー隠岐で出雲へ。到着したら、雨、風、おまけに寒い。コートを羽織り雨の中でバスを待つ。
バスは、ゆっくりと街中を通り、出雲大社と私を運ぶ。バスの終点に着く。雨の中を歩くと、厳かな空気に包まれる。お参りを済ませお祓いを賜る。冷たい空気に太鼓が響く。来て良かった心から思った。
次の朝は、レンターカーで須佐神社まで足を運び帰路に着いた。
自宅に着いたのが、夜中だったが、不思議と疲れはなかった。泥沼の世界から、脱出出来た。
私は、奇跡的に復帰のエネルギーが湧き出て、体が軽くなった。ありがとう。

女の修行場2
私は、毎日、龍国を訪れる。其処で会う龍人から、沢山の話を聞く。ご年配の龍人で野井倉さんの話で生き方が楽になった。自分を大切にしなさい、自分を幸せにするのよ。まずは自分ですよ。余った力があったら、人に尽くすの。
この言葉に助けられた。ありがとう。
仕事に没頭して自分を見失っていた事に、気が付く事が出来た。
楽しくやろう、自分を愛そう。そう思えた。

自分探し1
連休が来るのが楽しみだった。
朝、10時に出発。高速道路をひたすら走る。目的地は弊立神社何かが変わる。呼ばれて行く感じである。
非日常な時間が私を癒し始める。
神社の駐車場から、磁場が変わる。
お帰りなさいと言われている気がした。
三度目の参拝になる。
参拝する度に故郷に里帰りした気持ちになる不思議な神社である。
参拝を済ませ、龍神様へご挨拶に大木の中にある小路を下る。木々には樹神が住んで居て光が差し込む。緑に癒やされながら、湧き水の場所が龍神様をお祀りしてある。冷たいお水を頂き、参拝をお許し頂いた感謝を伝える。帰りの池に、ハートの形をした落ち葉が浮かぶ。
全てが癒やされて行く。ありがとう。
弊立神社を後にして南阿蘇へ車を走らす。雄大な景色が目に映る。
次に呼ばれたのが、大観峰である。
呼ばれるがままに、大観峰へ着く。連休で、夕方の5時なのに、駐車場が満杯である。車を止めて、てくてくと登った。パラグライダーを楽しむ人が大空を舞う。たどり着いた大観峰のパノラマは、私を自由にした。根子岳の勇姿から連なる山々は感動を覚えた。パラグライダーで自然を楽しんでいる錯覚をする。
自然の力強さを感じ、癒やされて行く。来て良かった。自然の姿の偉大さを
感じる瞬間だった。
暗くなる前に、若い頃に、母と行った黒川温泉を目指した。着く頃には、温泉地は、灯りが灯り始め、幻想的な雰囲、気が漂う。さすがに連休とあって、宿は満室。薄暗い中、道に迷いながら車を走らす、抜けられない山道が怖くなり、元来た道を引き返す。
乙姫までたどり着いた。民宿も満室で、泊まるのを諦める。
コンビニの駐車場でひと休み、空には、三日月が美しい光を放つ。良し、帰るか。三日月に照らされながら勇気を貰う。不思議と楽しい気分である。
サービスエリアでステーキを食べる。遅い時間帯だが、無性に肉がたべたくなった。食べたいと思って食べるものは、幸せを感じる。
肉の力を借りて遠い道のりも、快適に車を走らす。
家にたどり着いたのは、11時。遣りきった感じで清々しく満足な一日。
楽しい修行であった。

闇夜からの脱出
暗く拡がる闇夜は無限な気がしてた。終わりのない仕事、縦社会の闇、自分を表現する事の不自由さ、裏切り、執着、人生の不安、身体の衰えと

の葛藤、人間関係、親として、仲間として、夫婦として、恋人として、総てが重い鎖に思えた。
私を縛る一番重たい鎖は、何なんだ。この闇夜に光を求めて、一番重い鎖を切り放そう。
此処から、始まった自分探しの旅。
肉体的疲労、精神的疲労、理想に走り続けていた私は、もう、脳のタスクがいっぱいで、何も受け付けられなくなった。記憶力がなくなり、気力が低下。血流が悪くなり、背中に血管の走りが網目状に浮き上がる。誰にも言えない思い。自分を救いたかった。闇のトンネルを光を求め、必ず抜けて光を掴みたかった。蓮の花は、泥沼に凛と咲いていた。確かに、その姿を私は見た。抜けられると信じられた。自分の本当の願いを叶えて行くと、確信した。自分らしく生きる。自分を取り戻す。其処から、自分探しの旅が始まる、いや、始める。修行の道が開かれる。

自分探し2
阿蘇の雄大さに癒やされた記憶、わすれられない。其から、毎朝、30分の散歩をした。近くの公園を歩く。入り口に紫陽花の花が咲いていて、おはようって、挨拶をする。鳥にも木々にも挨拶をする。歩き進むと、ジャカランダの木に青紫色の花が咲いてる。下から覗くと、可愛い花から、見つめられる。次に夏椿とやまぼうしの白い花に癒やされる。
大地のエネルギーの充電時間は、20分歩く辺りから、身体を温かくしていく。ありがとう。その後に、いつもの龍国へと向かう。龍国のお湯と水は、いつも豊かで、総てを浄化してくれる。ありがとう。浄化を済ませ、外の世界へ出かける。出社だ。エネルギーは満タンだから、大丈夫。休みの度に、山、川、海へエネルギーの充電へ出かける。体調が戻り思考の沼から、脱出出来た。全てが、眩しかった。体力を取り戻していく。仕事も元の力、力強さを取り戻す。総ての不安が光の元に消えていく。それでも、長く人の中にいると、疲れる。また、自分を癒やす。上手に、休みを入れていく。自分の扱い方に慣れていく。

現状1

軽く書いたが、沼に落ち込んで半年が経つ。行け行けの営業ウーマンには、自分を取り戻すまでにかなりの葛藤があった。力を取り戻すと、自信が湧いてきた。営業成績も、がむしゃらに働かなくても数字が生まれる。会社を休んでも不安がなく、体の調子も良い。総て、平和で安定している。脳裏に浮かぶ言葉、何も変わらない景色、安心安定。いつもと同じ安心感。はらはらと、涙が流れる。何故?平和で安定を取り戻して喜びの涙であるはずなのに。静かにハラハラと流れる涙。どうしたいの?何を望んでいるの?自問自答、心の奥の自分が私の為に泣いている。身体は動き始めたが、心が追い付けない。大丈夫、大丈夫。無理しなくても、ゆっくりでいいから。ゆっくりだよ、貴女は強いと、呪文の様に唱える。もっと、自分と向き合ってあげよう。優しく。周りの人に愛情を注ぎ続けた様に、今度は、惜しみ無く自分を愛していこう。沢山の時間を掛けて心から笑えるようになるまで付き合うよ。
後書き

初めてショートな小説みたいな物を書いてみました。途中で、段落が可笑しくなったり、字体が変わったり携帯に慣れてなくて、編集する技術もなく、でも、意味は解ると思うので投稿します。技術は、追々、追い付いてきます。心意気だけ受け取って下さい。誰かの光になれたら幸せです。6月くらいに書いた下書きままの投稿です。いかに面倒くさがりか自覚してます。また、龍国の住人は、続きを書きたいです。宜しくお願いします。




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