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上野でみた大道芸【2010年3月】

2010年3月の、とある土曜日に見たもの。

JR上野駅。
公園口改札を出て、正面へ前進せずに、左方向にむかい文化会館の裏手を行く。
ここを通ると上野の森美術館への近道なのである(飛吉氏は上野の森美術館には行かないけど)。
春の心地よい陽射しを浴びながら、そのままずいずいずいと進んで行くと二人組の男性がおり、彼らに向かいあうように30人近い幼稚園児の集団とその幼稚園児たちとは無関係と思われる大人の人たちが50人ばかり。
二人組は軽快な音楽に合わせてダンスをしていました。
そしてその流れのまま、寸劇のようなものがはじまりました。
察するに、二人組が大道芸をはじめたところへ、幼稚園児の集団がお散歩か遠足か知らんが偶然そこへ通りかかりそのまま見学状態になった模様。

おもちゃの刀をお互いに持ってチャンバラコントのようなパフォーマンスが始まりました。
ブロンドに染めた髪を後ろで束ねた男性が表情豊かにコミカルなアクションをし、もう一方の筋肉マッチョを強調する男性が力強く笑わせてきます。
動きを通した分かりやすいアクションや笑い、リズムよく音楽に合わせた見せ方は現代的で、スタイリッシュなドリフとでも言いましょうか。
お子様達にも分かりやすいため、子どもたちから拍手や天使のような笑いが終始見られました。
子どもたちの無垢の笑顔がまぶしい。
目には見えないけれど空間上に出来上がったステージ。
通行人のおっちゃんがそれをまったく意に介さずに二人の前を横切って行く。
それさえも笑いにしてしまう大道芸の懐(ふところ)の深さです。

時間にすればおそらく30分にも満たないと思われますが、パフォーマンスが行われている間にたっぷりと楽しませてもらい、最後にはホイッスルをピーピーっと鳴らしながら幼稚園児の一団を誘導退場させていました。
そして残った大人のお客さんたちはみな、楽しんだ分だけの投げ銭を入れていました。

大道芸というのは一期一会。
偶然とおりかかって居合わせた大道芸を見る。
大道芸をする大道芸人の人にとっては、いつもやっている中での一回かもしれないけれど、見る人にとってはその一回がすべて。
人によっては、初めて見たその大道芸が「大道芸とはこういうもの」と印象づけられる。
この日、見ていた幼稚園児たち一人一人の感想はそれぞれ違うだろうけれど、楽しいかったという思い出は共通していたのではないかと思います。

おわり

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