「憧れ」

以前も少し話した通り、
NOFXのファットマイクに本気で憧れていたことがある。

彼の愛機、DanelectroのDC-BASSをアメリカから個人輸入した程だ。

あのベースを持って、叫んでいれば彼になると思っていた。

……実際のところ…

俺はファットマイクとは真逆のタイプで、
体型は細身だし、
「カッコいい」ではなく、
「カワイイ」と言われるタイプ。

ベースを構えた自分の姿を鏡で見て、
「あー、無理やわ。」
とスッパリ割り切った。

大体、
ファットマイクが使っているDC-BASSはオレンジ色。

オレンジ色もアメリカの通販サイトにはあったのに、
俺はBMF(ブラックメタルフレークカラー)を選んだ。

もうまず、ここからして違うと言うか、

「彼になりたい」

ではなくて、

彼はあくまで手本。

鏡に映るのは、
「俺」でしかないと言う…笑

この一件があってから、
俺はコピーバンドの誘いをすべて蹴った。

「音楽も歌詞も自分で作る!」

と言ってバンドを脱退して、街や駅で路上ライブをしている人たちと交流を持ち、
その伝手でバンドメンバーが結成されたのだが、

メンバーは全員20代前半〜後半。
その中に、生意気な中学2年生が転がり込んだと言うわけだ。

正直、かなりシゴかれた。

「そこまで言うか?…笑」

みたいなことを言われたし、
ドラムのスティックでど突かれたこともある🤣

彼らからすると、俺は10は年が離れている子供。
ピアノとヴァイオリンを習っていたが、
ギターやベースは初心者のようなもの。

そんな小僧が、

「コピーバンドなんてカッコ悪い!自分で作る!」

なんて啖呵切ったわけだから、
ずっと音楽を創ってきた彼らからすると、
俺は本当に生意気にしか映らなかっただろうし、
俺も俺で、「なんでもやれる!」と言う謎の自信があった。

初ライブを控え、俺はもう駅や街でチラシを配ってチケットを売る、交渉によっては譲渡した。

ライブハウスでライブをするのは、
当然お金がかかる。

1人頭、5人入れれば赤が出ないと言われていた時代でした。

無償で譲渡したチケット代は親が支払ってくれたのだが、初ライブなのに30人近い参戦者が現れた。

「俺らは前座だからな…」

と思っていたら…

まさか、8割程はうちのバンドが集客した人たち。


俺らの訳の分からない音楽?を聴いて、俺らが楽屋に戻ってタバコを吸っていると、

「なんか、どんどん客が帰って行くんだけど。」

と、主催のバンドメンバーが怒鳴り込みに来た。

なんともありがたいことに、
初ライブ(決してうまくはない)に30人近い人が集まってくれるとは…

「憧れ」を「真似」
するのか、
「憧れ」を「教科書」
にするのか。

多分無意識にやってることだと思うんですが、ここが重要だと思うっすよ

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