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夕方

風がわたしの頬を優しくなでる
脳が認識するまでの0.1秒の間に
現在が彼方から呼ぶ
まばたきの間に永遠が通り過ぎる
夕方の公園が早送りで
太古の昔に帰ってゆくのを見た
きっと何も残らない
DNAに記憶のカケラがあるだけ
まばたきと一息の後ろ姿だけ



期限のある命はいっそう輝き
自分を燃やして無へ還る
なくなるものは美しい
いつもソクラテスを思い出す
「さて、そろそろ終わりにしよう
 時刻だからね
 もう行かねばならない
 わたしはこれから死ぬために
 諸君はこれから生きるために」

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