シェアハウス・ロック0916

【Live】第五六回文楽鑑賞教室

 もう15年くらい文楽の東京公演には必ず通っているのに、「いまさら、なにが鑑賞教室だい」と思わないこともないのだが、私ら(おばさん、私)の見方は、「ある太夫さんが出る公演を見る」というものだから、当然こうなる。ここだけを考えると、文楽を見るというよりも、もはや変わり種の甥っ子がやってることを見に行くという感じに近くなっている。
 今回の出し物は、
・伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)
・文楽の魅力(これが「鑑賞教室」)
・夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
である。今回のタイトルは比較的すんなり読めるもので、文楽、歌舞伎にはなんだか判じ物みたいなタイトルも多い。たとえば、
・日高川入相花王
「ひだかがわ」は誰でも読める。「いりあい」も、まあなんとかなるだろう。最後は、これで「ざくら(さくら)」である。これはもう、クイズの領域でしょ。
 甥っ子(ワハハ)の太夫さんが務めたのは、『夏祭浪花鑑』の「釣船三婦内の段」。ここの、特に前半はとてもやりにくいはず。というのは、語りのなかで人間関係を整理するというところだからだ。作者が、人間関係が錯綜してきたので、ここらで整理しとかないと観客がわからなくなるだろうとつくった段である。
 たとえば、東宝映画『ラドン』で、白衣を着た男が、「あっ、あれはうちの所長を殺したラドンだっ!」などと叫ぶ。このセリフで、この白衣を着た男と、その周辺にいる人たちが、地球科学なんだか研究所の所員であることを説明し、また残された所員がこれから一丸となって所長の仇をうつべくラドンと対峙していくだろうことを、シナリオライターは説明しているわけである。でも、このセリフは、役者さんは言いにくいだろうし、やりにくいことは想像に難くない。フツー、こんな説明的なセリフは言わないもんな、映画でもなきゃ。
 語りの大部分がこれなんで、太夫さんとお会いして最初に申しあげたのは、「やりにくいとこ、当たっちゃったね」であった。「わかっていただけるなんて」と太夫さんは喜んでいた。まあ、15年くらい見ていれば、この程度はわかるようにはなる。
 進境著しいのはマエダ(夫妻)、特に(夫)である。去年の12月公演で見て気に入ったようで、それ以降(夫妻)揃って皆勤賞である。今月末くらいの素浄瑠璃の会にも参加する。素浄瑠璃は、当たり前だが人形抜きで、つまり「絵解き」なしなので、さて、どうなるか。でも、クリアするんじゃないかなあ。
 太夫さんも含めて5人は、おばさんの先導で某中級焼肉店へ。値段は中級だが、味は超高級。マエダ(夫妻)と太夫さんは、初対面なのだが、意気投合していた。あっ、マエダ(夫妻)は中級焼肉店も気に入ったみたいだったな。
 ちょっと時間軸がわかりにくくなっているが、今回の話は先週の土曜日のことである。

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