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ラーメン屋 星岡の選択

団 勇は父親の万太郎に呼ばれて、
戸部の星岡に向かった。
「オヤジ、リモートでやろうぜ!
ソーシャルディスタンスが取れねぇよ」
「横文字を使うな‼️これがある‼️」
「それ、アベノマスクか?」
「そうだ‼️これさえあればコロナなど
大丈夫だ」

「というわけでな、星岡さん…
非常事態宣言中は店を閉めよう。
我々会員もアンタのラーメンが好きだ。
だがな、世間の目もある…なぁ❓」

「弥生、あとは任せる」
話を聞いて、料理長は厨房に戻る…やはりこの対応だ。
ほんとにウンザリする。
「ウチとしては、こんな時だからこそ
ラーメン一杯だけでもとやろうと話しになりました。ウチは元々会員制の予約指定でやってますし、私語も極力禁止でやってました。
アルコールは元々出してませんし、
今、政府が指摘する距離も座席を減らして
対応してます。ですから」

「弥生ちゃんな…取り組みはわかるよ
しっかりしとるし問題ない…
だけどなぁ、世間の目だよ。
とにかく今は同調圧力で
まるで言論統制していた戦時中みたいな雰囲気だ。なんだっけ?」
「SNS」
「それだ。それで攻撃する輩もいる…
アレコレ、デマを流布してな…危険だよ」
「言いたい人たちには言わせておけばいいと
思いますよ」

並行線だ…このわからず屋一家を説得なんて
無駄なんだ。

結局父親も根負けして帰っていった。
勇は弥生に用があり、残った。
「葉月は?」
「仕事」
「こんな状況でも男が来るのか」
寒気がした。気持ちの悪いオッさんたちに
葉月が辱めを受けている現実に頭がおかしくなりそうだ。
「汚いから今は寮に入ってもらってる」
汚い…そうだ葉月は汚されている。
「伝えて欲しい。俺はいつまでも待っているからって」
「ラインは」
「ブロックされてる」
「あのバカ‼️信じらんない。楽な仕事で
お金を稼いで、感覚がおかしくなっているのよ。元凶はあの女だけど」

椎名 藍…葉月を誑かした不良女…

「葉月の部屋へ行っていいかい」
「もちろん‼️未来の旦那がなに遠慮しているの」

彼女の部屋に入り、ここで過ごした
甘い時間を思い出す…
肩を壊して、野球を辞めて、無気力だった勇を見かねた父親がここで修行することを勧めた。

修行期間は地獄だった。少しでも不手際があれば、料理長にぶん殴られた。
あの人の声をまともに聞いたのは
修行して一年たってからだ。
仕事は全部盗んで覚えた。
昭和とか戦前とかそんなレベルじゃない。
あれは人間扱いしてなかった…

逃げ出さなかった理由はひとつしかない。
葉月がいたからだ。

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お値段張りますが、満足できる出来栄えです。 単発売りはしておりません。

2021夏、日本はデルタ株の脅威が訪れる。 そのなかで団 勇もまた、感染する… ついに麗菜と昴は 自らの運命と戦う決心をする… 様々な三角…

ホントにありがとうございます😭 さらによい作品を作り還元していきたいと思います♪