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不動産投資の「キャッシュフロ-」と「税金」

今回は不動産投資のキャッシュフローと税金についてお話をさせて頂きます。

不動産投資では物件を購入する前に必ず計算しないといけないのが「いったいいくら手元にお金がのこるのか」という計算です。

そこで基本的な「キャッシュフロー・ツリー」についてご紹介したいと思います。

不動産投資の利益を大局的に考えれば・・・

「家賃収入」―「諸費用」-「税金」=利益 です。とても簡単ですよね。

でも実際にはもう少し細かな計算が必要で、下のような流れになります。

① GPI(総潜在賃料収入)

② EGI(実効総収入)

③ OPEX(運営費)

④ NOI(純営業収益:②-③)

⑤ ADS(年間元利返済額)

⑥ BTCFo(税引前キャッシュフロー:④-⑤)

⑦ ATCFo(税引後キャッシュフロー:⑥-税金)

少し複雑ですがご安心を。分かりやすく①~⑦に触れていていきます。

① GPI(総潜在賃料収入/Gross Potential Income)
1棟アパートや1棟マンションを購入する時、必ずと言っていい程物件の年間家賃収入を把握しますよね。そしてこの年間の家賃収入は必ずしも毎年一定ではありません。

満室であればいいのですが、時には空室や滞納があったりもします。
そして、その空室が埋まる時、以前の賃料を下回る場合もあれば上回る場合もあります。

そこで、仮に今の入居者全員を退去させ、改めて別の方に入居してもらった事を想定した場合、その時に「得られるであろう家賃収入」を総じてGPIと呼んでいます。

投資家様でこのGPIを把握している方は以外に少なく、表面利回のみに着目している投資家様が多いように思えます。

投資家様が収益不動産を購入する場合、表面利回を購入時の判断にすることが多く「物件価格=年間家賃収入÷表面利回」という公式が成り立つと考えられますが、売却価格を上げる為には年間家賃収入を上げる為の運営にフォーカスするべきで、すなわちGPIを上げる努力をするべきなのです。

② EGI(実効総収入/Effective Gross Income)
1棟アパートや1棟マンションを運営していくうちに、時には家賃を払ってもらえない事態(滞納)が発生します。入居者の様々な背景が原因ですが、万が一の為に滞納金を想定しておかなければなりません。

また、逆に「駐車場」「自動販売機」「コインランドリー」「看板広告」などの家賃収入以外の収入(雑収入)を得られる場合があり、これらの合計金額をGPIから引いた金額が、EGIと呼ばれる「実効総収入 」です。

将来の滞納や雑収入を予測することは難しいので、GPIの90~95%でEGIを設定することが多いです。

③ OPEX(運営費/Operating Expenses)
もし、1億円の1棟アパートを購入し、年間のEGIが700万円であった場合、その700万円がそのままお財布に入ってくれば嬉しいですよね(笑)。

でも残念ながら700万円がそのまま入ってくるわけでありません。
1棟アパートや1棟マンションを運営し維持していくためには様々な費用が発生します。

代表的なのが・・・

・毎年かかる固定資産税/都市計画税
・管理会社への管理費及び清掃作業費
・テナント募集広告費
・退去後の原状回復(リフォーム)工事費
・町内会費
・ケーブルテレビ費
・インターネット費
・修繕工事費 
・etc

これらをOPEX(Operating Expenses)といいますが「必要経費」を意味します。OPEXは物件により異なりますが、新築物件であれば家賃収入の15~20%、中古物件であれば20~25%必要になるケースが多いと思います。

④ NOI(営業純収益:Net Operating Income)
もしEGI:700万円でOPEX:200万円であれば、差し引いた家賃収入は500万円になりますよね。

この500万円をNOIといい、物件の実際の収益力を表す大事な指標です 。

この500万円を物件価格1億で割ると5%になり、この5%がNOI利回り、またはNET利回りと呼ばれます。そしてNOI利回りは物件によって異なります。理由はOPEXが物件によって異なる為です。

例えば、新築物件であれば購入後、頻繁に入退去する可能性は低いので、数年は原状回復工事やテナント募集費用が発生する確立は低いです。

中古物件であれば賃料相場も安定し2~3LDKのファミリータイプであれば長くお住まい頂ける入居者さんも多いと思いますが、長く住んでいただけに退去後の原状回復工事は割高です。

OPEXが異なる理由はこれが全てではありませんが、不動産業者が1棟アパートや1棟マンションを勧める際にNOI利回りを計算して勧めることはまずありませんので、投資家様が自ら再計算する必要があります。

⑤ ADS (年間元利返済額:Annual Debt Service)
NOIである500万円がお財布に入ってくれば、これまた嬉しいのですが、銀行に借入をお願いする場合、年間の借入返済額をNOIから差引かなければなりません。

年間の返済額をADSといい、この表現に慣れると金融機関に融資を打診する際の共通言語として使える便利な用語ですから覚えておきましょう。

ちなみに不動産投資は「エクイティの投資家」「デットの投資家」という表現があります。

「エクイティの投資家」とは、自己資金を支払う者、いわゆる投資家のことです。
「デットの投資家」のデットはAnnual Debt Serviceの(Debt)からきいて、(Debt)を訳すと(借金)、いわゆる銀行のことです。

不動産の購入は、銀行からしても投資にあたりますので、不動産投資は「投資家」と「銀行」の2者が協力した上で成り立つことが分かりますね。

⑥ BTCFo(税引前キャッシュフロー:Before-Tax Cash Flow from operation)
NOIからADSを差し引いたのがキャッシュフロー(CF)となり、BTCFoと呼ばれる税引前利益を意味します。

不動産業者が計算する収支シミュレーション表は、ここまでで終わっているケースが多いのですが、理由は後ほど・・・

⑦ ATCFo(税引後キャッシュフロー:After-Tax Cash Flow from operation)
BTCFoから税金が引かれ、税引後キャッシュフローをATCFoといい、やっとお財布に入るお金がここである程度想定できます。

以上が不動産投資のキャッシュフローツリーについてでしたがいかがでしょうか。不動産投資を考え始めたばかり、という投資家様には少し難しかったかもしれませんが、すぐに慣れますのでご安心ください。

そして、先程「不動産業者はBTCFoまでしか計算してくれない」と言いました。

それは何故なのか。

理由は、基本的に税金の話は税理士、というルールが税法上あるようで、税金の話をしてトラブルになるよりはルールに則り税金界隈には立ち入りません、というスタンス(保身)が不動産業者にはあります。

もっともらしいお話ですが、私は今まで不動産業者さんで税金に詳しい方を一度もお見かけしたことがございません。

収益不動産に限らず、優良物件は直ぐに売れてしまうので、税金の知識がなくとも不動産業者さんは成り行くんです。このスピーディーな環境が不動産業界のイメージを損なっているような感じがしてなりませんが、ここでは税金についても触れていきますし、触れざるを得ないです。

なぜなら、不動産投資は税金との戦いだからです!
脱税するということではないですよ(笑)

いかに支払う税金を抑えて、手元に残るお金を増やせるか、不動産投資とはそういうゲームなんです・・・

と思っていましたが、昨今ではその考え方にも少し変化が出てきました。それについては今回は触れませんが、手取りを多くしたいという考えは不動産投資だけではなく、企業を運営している経営者にもあてはまるのではないでしょうか?

話を戻します。

不動産投資の税金は大きく分けて2つ。

1つは家賃収入(インカムゲイン)に対しての税金
2つは売却時(キャピタルゲイン)に対しての税金

この2つが不動産投資を複雑にしている要素で紐解くには慣れが必要でが、「多くの不動産投資の経験が必要」というわけではありません。

単純に「知識」のみで理解できますので「多くのシミュレーションが必要」と思うべきです。

不動産投資の収益構造を理解するためにも必要な知識ですから、次回は税金について触れていきたいと思います。

それでは本日はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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