病弱教育:理解と支援の重要性#2
病弱教育とは
病弱教育とは、病気の継続的な治療等を必要とする子どもたちの教育を指します。健康上の理由で通常の学校に通えない子どもたちが、その状態に合わせた特別な教育や支援を受けられることを目的としています。
また、病弱教育の対象となるのは主に慢性的な病気や障害を抱えた子どもたちで、彼らが学び続ける機会を失わずに、最適な状態で成長できるようにするための教育体系です。
「病弱」とは何か?一般的な表現と学校教育の視点
ここまで「病弱」という言葉を用いてきましたが、「病弱」とは何を意味しているのでしょうか。
「病弱」という言葉は、実は医学の言葉ではなく一般的な表現です。
これは、実際に病気にかかっているために体力が弱っている状態を指します。また、学校教育の立場での「病弱」は、病気が長期に渡るか、少なくとも長い期間に渡る見込みがあり、その間は継続して医療や生活の制限が必要な状態を表します。ただし、具体的な期間ははっきりしておらず、急性で一過性のもの(例:インフルエンザ等)は含まれません。
特別支援学校における病弱教育の基準
特別支援学校において病弱教育の対象とする障害の程度については以下のように定めています。
調査からみる病弱教育の現状
2020年に認定NPO法人ポケットサポートが実施したアンケート調査では、「教育委員会や医療機関、NPO等に協力してほしいこと」として、『入院中の学習支援』『支援事例の共有や教職員が勉強できる場』『復学後の学習補助』という教育に関することが上位を占めていました。この調査結果は、病弱教育における課題が山積していることを示しています。
上記からわかるように、病弱教育には様々な課題が存在していますが、具体的にはどのような課題があるのでしょうか。
病弱教育の課題
病弱教育の主な課題として以下が挙げられます。
学習空白
進路選択の幅が狭い
院内学級の対象ではない高校生
学習空白
「学習空白」とは、治療の影響で学習の機会が制限されることにより、学ぶべき内容やスキルを身に付けることができない期間を指します。この期間に十分な知識やスキルが習得できないと、学習の断絶や遅れが生じるため、学習者の理解力や能力の発達に影響を及ぼすことがあります。また、学習空白が原因で学校に戻りづらくなったり、友人との会話に入りにくくなったりすることで、不登校などの二次的な影響を生むリスクも高くなります。
進路選択の幅が狭い
病気を抱える子どもたちは、治療による欠席や遅刻で必要な単位が取れないことや、学校側の対応が難しいことなどにより、進路選択の機会が限られています。
さらに、就職する際にも、企業側が彼らの体調に配慮した柔軟な勤務条件を整えるのが難しい場合があり、その結果、就職やキャリアの幅が狭まることが指摘されています。
これらの要因による障壁で、彼らの能力を十分に活かせない課題に直面しています。
高校生は院内学級の対象ではない
病院では長期入院をしている子どもたちの教育を確保するために、院内学級を設置されていることが多くあります。
しかし、院内学級は義務教育の小学生や中学生を対象に設置されたものであり、高校生は必要な支援を受けられないという課題があります。
このため、特に高校生は病気で長期間入院する場合に、学習の遅れや進路選択の制約を抱えやすくなる問題が生じています。
上記では3つの課題を紹介しましたが、その他にも多くの課題が存在しています。それらの問題は、単に学業面の遅れにとどまらず、長期療養による精神的・社会的な孤立感、復学時のサポート不足など多岐にわたります。
ICT×AIで目指す社会
近年、ICTやAI技術が急激に進展し、教育分野にも大きな影響を与えています。
特にコロナ禍でオンライン授業が普及し、教育の手段が大幅に広がりました。オンライン授業が普及したことにより、病気を抱える子どもたちにとっても、授業に参加し、同級生と交流することを可能になりました。
しかし、健康な子どもたちと比べると、病弱教育に対する支援はまだ十分とは言えません。ICTとAIの技術が進んでも、病弱教育に対する認識が低いため、支援が広がるのに時間がかかっています。
現代の技術を病弱教育に焦点を当てて活用することで、より多くの教育機会を病気を抱える子どもたちに提供することが可能になるでしょう。
ICTやAI技術を活かし、病気を抱える子どもたちの教育の幅が広がる社会の実現に
Swimmyサミットチームでの取り組み
今回は病弱教育の現状や課題について紹介しました。
紹介した内容は、病気を抱える子どもたちが直面している一部に過ぎず、上記の他にも様々な困難が存在しています。
私たちは『病弱教育』に特化し、病気を抱える子どもたちの負担を軽減するとともに、彼らが豊富な教育の選択肢を持てる社会の実現を目指して取り組んでいます。
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