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その4。悪魔のボーダーに飼い慣らされた悲しいポンコツの物語。

付き合う前の話。

飲んだ帰り、たぶんいつものように神子ちゃんと別れて!とか言われて、道端で揉めてた。

「もう知らない!」と歩き出すX子
「チョ、待てよ」と腕を掴む僕
「帰って!」と腕を振り払って歩き出すX子

ナニコレ?笑

昼ドラもびっくりなうんざりするやり取りが。(そこそこあった)このときの僕は例によってなんも考えてなくて「そっか」と帰った。

自分ち方面の電車に乗ってたらX子から「いま・・どこ?」としんみりした声で電話が。「え、帰ってるよ?」と僕。どしたどした?と思った。いま考えれば、追ってきてほしかったんだよね?うーん。

僕は職場で、けっこう楽しく過ごしると思ってた。けどX子は「ねえ、じょーかーちゃんはバカにされてイヤじゃないの?」と。

マジハテナだった。
素で「なんで?」だった。ベテランのおじさんも、大先輩のお姉さんも、僕はけっこう好きだったし。(おじさんはそうでもないか、女の子にしかお土産のお菓子あげてなかったし)

僕は、いろんな人が使うあちこちのパソコンに、先輩の名前を勝手に辞書登録するっていうイタズラをしてた。?
例えば、先輩が「木下」さんだとしたら「き」って入れると「鬼ノ氏田」って変換するようにしてた。
先輩に「僕とキーポンシャイニンっていうコンビ組みますか?」って誘ったり。うーん。
「じょーかーさんの家は本家?分家?」と聞かれて「うちは核家族です!」と答えたら腹抱えてた。
無邪気にもほどがる自分が怖い。他の女の子にはくだらないこと言って「つまんないやり直し」とか言われて、それもけっこう楽しんでた。
おじさんには体当たりされてよく飛んでた。

って、だから、こーゆー関係性を「バカにされてる」と受け取るその感性がもう意味不明で。「えー、そんなことないよー」って言ったら(いつも言葉足らず)
「わたしはバカにされるのはイヤ。嘲笑われるのはイヤ」
って・・だからバカにされてな・・

なんて?あざ・・わら・・?そんな言葉、使ったことも、使ってる人も見たことないよ・・なんだろなー・・という日々。僕が絶対使わないような言葉をよく使ってた。(いやほとんどの人があまり使わないような言葉)

職場の女の子たちが「時計見せてー」と言ってきて「へへー♪いいでしょー」なんて見せてたら

「汚い!!触らない方がいいよ!」

と、X子登場。
女の子たちは「きゃー!いやー!」って散ってった。

な・・??

すぐその場でなにか言えればいいんだけど、意味わからないこと言われると「なんか聞こえた、なんか言った?」とよくフリーズしてた。ポンコツCPU。嫌味もほとんど気づかないタイプで単語を文章を思い出して「あれ?もしや嫌味!?」って気づいたときには、ときすでにお寿司。


談笑中に「あ〜わかる〜、この人もけっこう短気だし。そういえばあれさーー!」とX子。

ん・・・???
なんつった!?
短気!?
僕が!?え?むしろそっちじゃん!?
あ!話題つぎに言ってる!?

とまあ、反応が遅い遅い。ちょい!ちょい!と訂正しようと反応したときにはもう。

その場にいた人に、確認するまでもない情報を与えるプロ。嘘を吹き込んで僕をおとしいれるプロ。どうでもいい情報。どうでもいい嘘。だから誰もツッコまない。僕が短気だろうがどうでもいい話。だから、じょーかーは実は短気、フーン、と、どうでもいい情報だけが残る。
サブリミナル
?一瞬の出来事。
仮に、なんとか「僕、短気じゃないよ!」と言った日にゃあドツボでしょ?さすがにそれはわかったよ。ふぅ。?ほんとマジ匠。なんということでしょう。ポンコツじゃむり。

他人に嘘の情報を植えつける。
他人に嘘の情報を吹き込む。

X子本人には嘘のつもりなかったのかな。ほんとに僕のことをそう思ってたのかな。思い込んでたのかな。

だとしても!それをわざわざ他人に言うって。まあ僕が嫌われてでも女が寄ってこないようにする人だから・・どうすればよかったんだろ?

みんなと仲良く過ごしてた(つもり)だけど、けっきょく誰の連絡先も知らないままだった。誰かといると必ずX子がやってくるし、誰かの連絡先を知りたいって思わなかった。発想がなかった。連絡先を知ったところで全部チェックされるしね。

帰りのタイミングが同じだったから、同僚の女の人に僕が直接「(仕事終わったら)駅まで車で送る?」なんて言ったら・・言ったあと5分もたたないうちにX子が現れて「そういうのわたしがいうからじょーかーちゃんからは言わないでくれる?」と言われて・・
僕が誰かと話してるとのをチェックしてて聞いてたのか、聞き出したのか・・わからないけど。
僕は・・僕の車だし、僕の運転だし、なんで?と思った。けど、どうやらカノジョの立場ってやつらしい。下心もなにもないのに・・

同じタイミングで新しい部署に行って、同じタイミングで新しい人間関係がはじまったのに、X子はほとんどの人の情報をマッハで知ってた。
誰と誰が仲がいいのか、誰と誰が仲が悪いのか、誰が誰を嫌いで・・誰が力を持って、誰が発言権を持ってて・・とかすげーよく知ってた。
先輩には上手に甘えて、後輩にはデキる女ふうに見せて。
圧巻。
僕は・・良く言えば、無心で無邪気で、悪く言えば・・空っぽ?

どうしたもんか・・

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