見出し画像

忘れられない人

僕が人生で初めて
バックパックを背負い、
海外一人旅に出たときのことです。
 
バックパッカーと聞くと、
・英語もペラペラで、外人ともフレンドリー
・危険知らずで、並外れた行動力の持ち主
・常にドキドキするような瞬間を求める冒険家
 
こんなイメージだと思いますが、
当時の僕は上記のどれでもなく。
バックパッカーに不向きな人間でした。
 
いわゆる「学校や社会の型」に
はまった生き方だったのです。
 
たいして英語も話せませんでしたし、
(高校時代は模試の偏差値38)
 
行動範囲も関西圏だけで
ドキドキ・ワクワクするような
体験とは無縁の生活を送っていたのです。
 
当時の僕は、
就活を目前に控えた大学3年生でした。
 
普通に勉強して、バイトして〜
の平凡な生活をしていたため、
履歴書に書けるような自己PRが
何一つなかったのです。
 
だから、
就活の前に何かネタを作らねばと、
そんなしょうもない理由で
一人、ドイツに旅立ちました。
 
ただ初めての一人旅は、
僕が思い描いていた理想とは
全く異なりました。
 
・地図を見てもホテルへの道がわからない
・道を聞こうにも言葉が通じない
・夏なのに超寒い(半袖半ズボンしかなかった)
・インド人っぽい物乞いに抱きつかれる
・2メートル近くのゲイにホテルに誘われる
 
今までの日常がガラリと変わったため、
急に日本が恋しくなりました。
 
自分にはまだ、
ヨーロッパ一人旅は早かった、、
 
こうなる前に、
海外慣れしている友だちと
一緒に行けば良かった、、、
 
と後悔しました。
 
1ヶ月間の旅だったのですが、
初日にして、帰国を決意しました。
 
でも貧乏旅行だったので、
航空券を追加で購入する余裕も
ありませんでした。
 
だから、帰国するまでホテルに
ずっと引きこもろうと思いました。
 
ただ、残念なことに、宿泊先は
すべてユースホステルだったので、
外人と相部屋なのです。
 
英語が話せない僕は、
気まずさMAXです。
 
初日のホテルのルームメイトは、
スウェーデン、イギリス、台湾人の女性
スペイン人の男性と、
 
そして、、
 
隣のベッドのスーツケースに
名前キーホルダーがあったので、
それを見ると、
 
[宮城県石巻市◯◯・・・]
 
運の良いことに、
隣のベッドが日本人だったので、
ホームシックなうの僕は、
飛び上がるほど喜びました。
 
彼は僕より1個上の大学4年生でした。
 
先輩だったので、
就活の極意を聞こうと思いました。
 
すると、
 
「就活?いや、俺ドイツでプロサッカー選手になるんだけど」
 
でした。
 
彼は、日本の大学を休学して、
ブンデスリーガ(ドイツのサッカーリーグ)
でプロ選手を目指すために、
ドイツで修行を積んでいるというのです。
 
別にどっかのクラブや学校に
所属しているわけでもありません。
 
彼は旅をしながら
現地のクラブに突撃訪問し、
道場破りをしていたのです。
 
片言の英語で、
 
「一番うまいやつと1対1で勝負させてくれ」
 
と言って、
相手のチームのディフェンダーを
ボコボコにしていたのです。
 
侍みたいなやつでした。
 
俺はバイエルン・ミュンヘンの
10番を背負うんだぜ!

とか言っているし、
とにかく変なやつでした。
 
まるで虫取り少年のように
目がキラキラしている大人に
初めて会った瞬間でした。
 
旅の別れで、
彼はこう言いました、
 
「一度っきりの人生なんだから、
 好きな事をして生きていこうぜ」
 
と、
 
・・・・
 
そこから長い時間が経ちましたが、
僕はようやく社会の枠を抜け出し、
 
好き勝手で自分らしい人生を
ようやく歩むことができました。
 
彼との出会いが
僕を大きく、大きく変えてくれたのです。
 
昨日わざわざ重い腰を上げて
メルマガを発行したのも、

『自由の素晴らしさ』を
多くの人に伝えたかったからです。
 
 
 
ただ、、、
ある事情があって、
彼とはもう二度と会うことができません。
 
それでも、
彼との思い出は僕の心に
深く刻まれているので、
永遠に魂が消えることはありません。
 
今頃きっと天国リーグで
神様をボコボコにしてるんだろうな〜。
 
僕の忘れられない人、でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?