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「カンパーイ!」僕たちは今、楽しくパーティーをしていた。特に意味はない。
「それにしても楓雅ふうがはいったいどうしたんだろうな、せっかくのパーティーなのによ」一人は冗談のようにいっていた。
だが、一人だけ暗くしていた。「どうしたんだよう、パーっと明るくしようじゃんか」一人が励まそうとした。
が、彼はそのまま暗かった。1粒の涙が目から流れ出た。「…し…だ」彼は何かをぼそりといった。
「何を言ってるんだよ、ほら、酒だ酒」彼は酒の入ったグラスを渡そうとした。
山本やまもと楓雅ふうがは…死んだ」彼はもう少し大きな声でつぶやいた。
すると、その場は静まり返った。グラスが落ちて、割れる音しかしなかった。
「そ、そんなわけないよな、冗談はよせよ」だが、少しするとしたをむいた。
さっきまでは楽しいお茶会のようなパーティーが今では暗い状態だ。
「それは本当なのか」僕は勇気を振り絞って聞いた。彼はほんの少し、頷いた。
「そうか…それなら仕方がない。とりあえずパーティーを進めよう。その話はあとにしないか、今は楽しく過ごそうじゃないか」
皆はそのあと、ワイワイとしていたが、その楽しさには暗闇も紛れていた。
「はー、楽しかった~」僕たちは2つの方向に分かれた。そしてその中でも路地で分かれ、最後には2人になった。
「ねえ、どう思う?」彼は僕を見てきた。「何がだ?」彼はさっきと全く違う、暗い顔をしていた。「楓雅ふうがが死んだことだよ」
僕は考えた。「どう思うと聞かれても…信じれないよ」僕はため息をついた。「いったいどうやって死んだのかも知らないし」
彼とはそれから少しして別れた。僕はそのあと、風呂に入るとベッドに入り、寝ることにした。

「おはよう」僕は起きて、仕事場に向かった。
今日は、ワイワイとみんな楽しそうにしていて、ほっとした。

そしてその帰り
僕は先輩と帰っていた。
「センパーイ、1杯どうですか?」彼は僕をじろりと見てきた。「体に悪いと言ったのはあなただろう」「い、いや…なんか暗そうにしていたから」理由は誰でもわかるだろう。
彼ため息を付いてからあるき始めた。「行くんですか!」僕は喜んだ。「それじゃあ…」ちょうどその時、何かしら強い音がした。
僕はその音が来た方向を見ると、居眠り運転をしているトラックが突っ込んできていた。
ブー! 「先輩!」彼は僕を見てきた。多分僕の顔は真っ青になっただろう。
だが、僕が次の言葉を発する前にトラックが突っ込んだ。「せんぱーい!」僕の目の前から先輩の姿は消えた。
僕は膝をついた。「せ、先輩…」トラックはそのまま壁に突っ込み、赤い液体が流れ出てきた。もう息をしているはずがない。
僕はそれから数分ほど意識をなくしている気がした。「せ、先輩…」
救急車、警察、消防車が来た。僕は膝をついたまま動かなかった。彼が生きている可能性はほぼ0だ。
周りにいた人たちの顔は引き締まっている。恐怖で声が出ていない。トラックに乗っていた人は重傷を負っていたが、命に別条はないようだ。
僕は自分の家に2日間ほど引きこもっていた。ベッドから動きたくもなかった。
やっと立ち直り、会社に行くと明るく迎え入れてくれた。だが、そのどこかには暗い場もあった。
「本当にいったいどうしたんだ…」そこにいた社員たちはぶつぶつとつぶやいていた。今までは楽しく過ごしていた社員たちは暗くなっていた。完全に静まり返っている。
僕はある悪のことが起こる予感がしていた。「また誰かが死ぬんじゃないか」と。
そしてその考えは当たった。

翌日、あるニュースを見た。耳に入ってきた一つのニュースが。
「次のニュースです」アナウンサーはいつものように真顔で話した。
「一人の男性が通り魔に刺され、死亡しました」誰かと思ったが、だれかわかると顔が真っ青になった。
「目撃者はおらず、胸を刺され、それから数分後に道端で死亡しているのを目撃されています。死亡推定時刻は夜、9時ごろです」手に持っていた紙コップをつぶしてしまった。中にあったコーヒーは飲み干していたので飛び散ることはなかった。「そ、そんな…」僕は目と耳を疑った。だが、いくら拭っても見ているものは変わらない。確かに僕の知り合いの名だ。
僕の額と目から水が流れ出た。もう限界だ。僕は手に包丁をとった。胸に向け、自分にめがけて動かそうとしたとき、外で誰かの悲鳴が聞こえてきた。びっくりして包丁を落とすと、なぜか粉々に割れた。
慌てて外を見るとそこには通りすがりの女性が仰向きにこけて、何かを指さしていた。「あ…ああ…」彼女の手は震えていて、顔を見ても真っ青になっていた。恐怖に包まれていてる。
買い物から帰り途中に何かとても怖いものを見たのだろう。近所の人たちが駆け出して行ったので僕も外に出た。
すると、外は大騒ぎになっていた。僕は目の前に見たものを見たくなかった。死体だ。しかも僕は知っている。彼は社長だ。頭からは真っ赤な液体が流れ出ていた。救急車を呼んでいる人もいる。警察を呼ぶものもいる。その朝は大騒ぎだった。
なんで… 僕は心の中で呟いた。なんでなんでなんで!
僕は高層ビルの屋上まで上がっていき、飛び降りる準備をした。「これで終わりだ」だが、目の前を雀が通り、驚いて仰向きに倒れた。
生き残ってしまった。
「なんで僕だけは生き残れるんだ!」僕は地面を殴った。手からは血がにじみ出る。痛い。悲しい。悔しい。僕は大量の感情が心の中にあり、言葉として表すことができなかった。
すると、目の前に黒い靴が現れた。顔を上げると黒いスーツを着ていて、黒い眼鏡をかけている男の人が立っていた。
僕は思っていないことを言葉にした。言葉の出ないと思っていた心からに出だし、無理やり出した言葉だ。「僕は…」口が勝手に動いていた。だが、訊きたかったことだったのでそのまま話し続けた。「僕は…生きてても…いいのかな」目からは大量の涙が流れていた。
黒いスーツの男は無表情のまま言葉をつなげた。「初めは殺そうと思いました」僕ははっとした。「ですが…」彼は一つの写真を僕の前に落とした。「あなたには生きててください」その写真は僕もいる集合写真だった。
僕は大きな声で泣いた。泣き続けた。泣き止まないとも思った。
「そう彼らは言っていました」そう言い残すと、その男はその場を立ち去った。
その日をきっかけに、その男はもう現れなかった。

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