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「こんなものかな」そのまま逃げていると一切狙われなかった。目の前にいても一瞬追いかけて僕が逃げれば違う人を狙った。まるで僕が何か桁違いのことをしたかのようだった。
どんどん鬼は変わり、仕舞いにはあの少年になった。だが、何かがおかしい。彼ならつかまるはずない。なのになぜかつかまった。まるでつかまりに行ったかのようだった。
彼の視線はすぐに僕へと向いた。
「!?」僕は間一髪で彼の攻撃をよけた。
そのまま逃げ続けるつもりだったが、彼は速い。そのまま逃げていると負けてしまうと思った。
木の後ろに隠れた。
さすがの彼でも僕の居場所を把握できるはずはない。
把握された。
彼は僕が隠れていた気にまっすぐ来た。
彼の目はまるで何でもお見通しのような目だった。
僕のと同じだ。
僕はまた逃げた。
どこに行けばいいかは大体把握できていた。
ちょうどそこへ一人の男子が飛んで来た。
「俺に渡せ!」彼は僕の前へ一瞬で現れた。
だが、そのまま通り過ぎた。どうやら彼が狙っているのは鬼のようだ。
そのまま手へと突っ込んだが、少年は宙がえりをしてよけた。「お前には興味などない」
そのまま彼は僕を追ってきた。何が何でも僕を捕まえようとしているのだ。

「いったい何が起こってるんだ…」僕は全く把握しきれていなかった。
目の前では目に留まらぬ速度で追いかけまわしている。逃げている。
この人たちは人間なのか? 僕はそこから分からなくなってしまった。
「終わらないな」横に立っている人がつぶやいた。
彼は眼鏡をかけていて、背も高い。優等生的な存在だ。
「どういうことだ」先生は彼に訊いた。
彼は2人を目で追いながら答えた。「言葉そのままの意味です。2人とも同じ速度、体力を持っています。しかも僕たちには興味がない。先生がターゲットを決めたらいけないといわなかったので彼は彼女を狙い始めたのです。あの2人はルールを破る人ではありませんから」
それを聞いて先生はにやりと笑った。完全に不気味な笑い方だ。
「それじゃあ集まれ!」先生は全員を一つの場所に集めた。
先生は体育座りをしている僕たちに行った。「それじゃあこの2人を捕まえた人は私が10万ポイント渡す」
全員「え~」と嫌がっていたが、先生は少し違う考えをしていたようだ。
先生はロープを取り出した。「これで2人の腕を結ぶ。2人はこれをほどかなければ大丈夫。どうなるかな~」
そして先生は2人を見た。「もしも30分逃げきれたら2人には1人ずつ5万ポイント渡そう。どうかな」

2人は一瞬で頷いた。「それじゃあ…初め!」
僕はある考えを持っていた。ほどいたらいけないというのがルールであれば…
どうやら彼も同じ考えだったらしい。
僕たちはお互い、違う方向へと駆け出して行った。
普通が何かはわからないが今までのテレビドラマでは離れることができないといわれているらしい。
だが、私たちはそのまま走っていった。ロープをちぎって。

「ほらね」ずっと突っ立っていた少年はため息をついた。
先生は完全に学理としていた。「いい考えだと思ったのに…こんな方法があったなんて…」
先生は彼を見た。
「君は追いかけなくていいのかな?」

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