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短編小説ードッペルゲンガー

#クローン
#短編小説
#ドッペルゲンガー


「新しい転校生が来るんだって」クラスの中はいつものように騒ぎが起こっていた。毎回誰かが話題を取り出してくる。いったいどうやってそんなことをできるのかがわからない。だが、今日は誰かが始めた話題ではない。クラス自身が始めた話題だからだ。誰一人として男子なのか女子なのか、どういう性格なのか、クール系なのか明るい系なのか暗い系なのか、何の情報も渡されていなかった。渡された情報はたった一つ、「転校生が来る」だけだ。

誰もが学校の始まりを待ちくたびれていた。


キーンコーンカーンコーン チャイムが鳴る。同時に全員が席に座って静かになった。誰一人として口を開かない。当然だ。全員として転校生のことを考えて口を動かすことが頭から外れているのだ。

先生が入ってくると先生は顔が軽くなっていた。教室が完全に静まり返っていたからだろう。「それでは転校生を紹介します」入ってきたのは少女だった。だが、全員あることを考えていた。同じことを。先生も考えていたのかもしれない。

もう彼女はこのクラスにいる。 おかしなことかもしれない。だが、左後ろの席で空を眺めている一人の少女だ。彼女はまだ気が付いていないようだ。全く耳が開いていなかった。隣の席や前の席にいた人が声をかけても空を眺め続けていた。そこら中にいそうな主人公だ。

肩をゆするとやっとゆすった人を向いた。何?という顔をしているのは誰にだってわかる。少しいらいらした感じだ。だが、気にせず、前を指さした。

彼女は前を向くと固まった。「わ…たし?」教室の前にいた転校生も教室の後ろ端にいた少女も両方茶色の髪、茶色の目に同じ形の鼻、身長も同じだろう。違うところもあった。転校生は話し方が静かだった。だが、教室の端にいた少女はどちらかというと明るいほうだ。1人の生徒がつぶやいた。「ドッペルゲンガーだ」急にクラスが嵐になった。先生が鎮めようとしても無効かだった。

「え?え??え???」少女はこんがらがっていた。ドッペルゲンガーという言葉が耳に入っていないかのようだ。隣のクラスから先生が歩いてきた。「ちょっと!」だが、クラスを止める前に転校生を見て固まった。「なんで2人いるの?」担任以外の先生にはこの転校生は会っていないのだった。「これには訳があってですね…」だが、もうその時には先生が自分の教室に消えていた。

このクラスは完全に大騒ぎだった。まだ続いている。少女は教室の中を歩いていき、一番後ろの左から2番目に座った。「え?」どうやらドッペルゲンガーが2人並んだようだ。先生によるとそこが空いていたから座らせたらしい。

こうなっては逆にうるさくなってしまった。「よろしく」静かな声で彼女は彼女に言った。「よ、よろしく…」頭がこんがらかりながらも彼女は彼女に返事をした。数日後にはおかしなことになってしまった。2人とも同じ表情になればどっちがどっちなのかわからなくなってしまう。この学校は小学校なのに制服がある。だからいい仲間になってしまった。

どっちかが何かをしてもどっちなのかがわからない。だからどっちに起こればいいのかわからない。なぜかというと先生たちは間違えた人に起こりたくないからだ。少し悪い感じの助け合いなのであろう。

それを見て誰もがドッペルゲンガーを欲しいと思ったのであった。

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