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私と君、いろいろと違う。
私は静かで友達もいない。なのに君は明るい。活発的で友達も数えきれないほどいる。
私は運動が苦手。なのに君は運動抜群、全く疲れない。
私はテストが苦手だ。大体は50点ほどしか取れない。なのに君はいつも90点以上だ。
私は遅刻することがある。欠席になったこともある。なのに君は遅刻したり欠席をしたことがない。
私は感情を持たない。悲しく思ったことなどない。なのに君は感情を持つ。たいてい笑っているが泣くことだって怒ることだってある。心配することだってある。
私はクラスで発言したことがない。なのに君はたくさん発言している。質問や回答、コメントなどをたくさん。
私は昼休み、だれとも話さず自分の席で本を読んでいる。なのに君は外で遊んだりほかの生徒と話したりしている。
君は違う。何もかもが違う。君が人間ならば私は何?宇宙人?ただの生き物?それとも人工知能?
君。何かと人間。暗い私と明るい君。何の関係もない私君。なのになんで君が気になる?君に恋をしているから?君が好きだから?君が有名だから?
私は君が憎い?君を殺したい?君に殺されたい?わからない。でも私は君が気になる。気になってたまらない。

私は君を見た。いったいなぜかはわからない。いつものように君はほかの子と話している。視線を感じた気がした。
気のせいだろう。私は君を見続ける。本に集中したいのに集中できない。私君は違う生き物だ。なのに君が気になる。心臓が鳴り響く。
私は君の視線を感じ、パッと本に目を落とした。君は何も言わずに話し始めた。私はほっとして本に集中した。

その放課後、私は家に歩いて帰る。君とはほとんど同じ道だ。
幼馴染というわけでもないが、家が真横にある。
帰りながらも君から目が離せない。話そうと思っても話せなかった。
帰りながらも思う。私はなぜ君から目を離せないのか。君が好きなのか。
私は自分の部屋に入ると壁に並ぶ本を見た。そこには一つのシリーズが並んでいる。
ファンタスティックストーリーだ。魔法や獣人にあこがれていた。
自分が魔法を使えたらどこまでうれしいだろうか。
自分に耳や尻尾があればどこまで使い道があるだろうか。
毎回この本を読むと想像してしまう。もしも私がこうだったらと。

その次の日には初めて思った。もしも私が君だったら、と。
わかっている。私は君になることなど不可能だ。だが、考えてしまった。
どこまで楽しいだろうか。たくさんの友達に囲まれ、運動も抜群、テストだっていつもほぼ満点、授業中だってたくさん手を上げることができる。
私はその時分かった。私は君にあこがれているのだ。君が好きなわけない。君と話したこともないし何かの関係があったわけでもない。ただ、君と同じ学校で同じクラス、家が目の前なだけだ。
私はそれからも考えていた。私はなぜ、君にあこがれたのかを。なぜ、君が好きになったのかを。なぜ、君が気になったのかを。

数日考えると分かった。
わたしが君にあこがれる理由。なぜ君なのか。
私は君を愛しているんだ。

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