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日本は平和だ。何もない。戦争もない、人殺しもそこまでは見当たらない。日本は平和だ。
そう思っていたこともあった。
あった。
毎日のように車が街中を走り、人々の足音、人々が話す音、犬の鳴き声なのが街中で響いていた。
誰一人として争わなかった。事故も起こらない。
そんな日々が続けばいいのに、そう皆は思っていた。ほとんどの人は。

ある日、地響きが起こった。軽い地震のようなものだ。いつものように地震が起こる日本では気にしなかった。
だが、だんだんと強い地震に変わった。人々は広場に避難した。そこに行くと、一人が気が付いた。遠くに現れた物体を。
その物体は市民を見た。ちゃんと言えば睨んだ。気が付いた人は腰が抜け、地面にこけ落ちた。
あれは物体ではない。その人物は思った。今動いた。生きている。動いている。化け物だ!
その物体は高層ビルほどの高さを持っており、見た目は人間に近い。だが、違ったことは肉が見える場所があった。口からは白い煙を出し、とても不気味だ。
殺気を感じる。彼は皆に逃げるよう指示しようとしたが、誰一人耳を貸さなかった。かれは仕方なく逃げた。後ろを見ると巨大な物体はこっちに歩き始めた。まるで海を水たまりのように歩き続けた。
人々が気づいたときはもう遅かった。陸地に上がり、建物をジェンガのように崩し、広場めがけて歩き続けた。
人々は逃げた。だが、逃げ遅れた人たちもいる。その人たちは気の毒だ。巨人の足に押しつぶされ、真っ赤な血を噴出して命を失った。
それを見た人々は大パニックになった。警察を呼んでいる人もいる。少しすると警察が現れた。
だが、巨人は全く耳を貸さなかった。警察は銃を撃った。だが、跳ね返り、巨人は無傷で歩み続けた。
自分の武器が無傷だと分かった警察は車に戻り、逃げようとした。だが、もう遅い。一台は足の下敷きになってしまった。
彼の目的がいったい何なのかはわからない。遠くから戦闘機が飛んできた。ミサイルを飛ばすと少しだけは効果があった。だが、それは悪い方向に動いた。
巨人は倒れるとたくさんのビルが崩れた。その中には何人入っていたかもわからない。たくさんいただろう。何十、何百といただろう。
だが、巨人はまた立ち上がり、歩き出した。止まらない。今度はもっと強いミサイルを発射した。頭に命中し、大爆発を起こした。人々は遠くまで避難していたので被害がほとんど出なかった。
巨人は倒れ、動かなくなった。倒したのだ。
これを機に変なことが起こりだしたのだ。誰一人考えることができない、出来事が。

「これはどういうことだ!」一人の男が1枚の壁に貼っている写真をたたいた。「落ち着け。これはいったい何なのかわからない。だが、わかるのは一つだけだ。これから嫌なことが起こる気がする」もう一人がなだめながらも真刀な顔で告げた。「彼の予想はよく当たる。これも起こることだろう。だがあいつたちをいったいどうやって倒せばいいのだろうか…」会長らしき男はため息をついた。
ちょうどそこへ一人の研究者が何かしらの資料をずっしりともって駆け込んできた。「会長、失礼します。これはとても大事なことなので」彼は会長の前にその資料を置いた。音からしても多い。
「これはいったい!…」彼は驚いた。その資料に書いていることを読んで。「はい、これを使えば彼たちを倒すことができるかもしれません」研究者の顔からして数日は寝ていないのだろう。隈ができている。「この重要な資料には礼を言う。少しの間休んできたまえ。君は重要人物なのだから」その言葉からしてこの研究者はとても有終のようだ。「はい」彼はうなずいた。「失礼しました」彼はそのままその場を離れた。
「いったいどんな資料だ」ほかの人たちも興味を持ち、資料を眺めた。「こ、これは…」一人は信じがたいという顔をしながら眺めていた。

資料には巨人を分解してわかったことをいろいろと書いてある。彼ら人間とほとんど同じだということ、その中にあった宝石を使えば倒すことが可能かもしれないということ、そしてその巨人を『TUSティーユーエス001-A』と呼んでいるという。どうやらその中に数匹小さな生き物が入っており、その中に宝石が入っていたらしい。その生き物たちは1匹1匹『TUS001-B』や『TUS001-C』と名付けられている。

会長は命令した。「直ちに人々を集めよ。クリスタルから武器を作るぞ」だが、その一人がつぶやき化のように言った。「しかしこのクリスタルは熱い。冷えるまでには1日ほどかかる、だそうだ」
会長は命令を取り消した。そのまま立ち上がり、部屋を出ていった。そのまま歩いていくと外に出た。街中は静まり返っている。誰一人いない。いたとしてももう赤い液体として残っているか体が半分残っているだけだ。
彼は歩き続けた。それから数分後、TUS00-Aの前にいた。「これは…」目の前にはTSU001-Aがいる。だが、その前にはクリスタルが5つおかれている。これを使えば大量の武器が作れるだろう。だが、分厚い手袋をつけてほんの少し触れると分かった。これは確実に暑い。高熱用の手袋を使っても手が熱く感じる。まるでお湯しか出していない風呂に指を入れたかのような熱さだ。
手を焼くことはなかったが、それは高熱用の手袋をつけていたのもあるし、ほんの少ししか触っていないからだ。こんなものをまともに素手で触れた手が消えてもおかしくはない。
そのクリスタルは虹色に光る。向いた方向で色が変わるようだ。太陽からの光で何かが起きるのだろう。素手で持って帰るのは不可能だったのでこれだけのために高熱を耐えることができるロボットを作らないといけなかった。
それから1日後、ラボでは冷え、素手で触ることができるようになった。「どうしますか、これ」あの研究者は会長に問いかけた。「念のため、刀にしてくれ。まずは一つ作ってくれ。残りは考えておく」彼はそのまま立ち去った。「部長」1日前に予想した男が現れた。「一つ言わせてください。ただの勘ですが、明日には現れると思います。TUSたちが」

次の日、彼の予想はまんまと当たった。海の中から今度は人間と同じ大きさの生き物が現れた。ほぼ簡単に言葉で言えばゾンビだ。
ゾンビは5体ほどいた。会長は試しに刀を1つ持ち出し、ゾンビを切ってみた。すると、ゾンビは震えだした。最後には粉となり地面に崩れ落ちた。
この刀は本当に倒すことができるのだった。彼はそのまま残りのゾンビを4体倒した。研究者が研究したところ、この粉は回復に使えるようだ。とても役に立つ。
このゾンビはTUS002と名付けられた。

だが、その次に現れたTUSはそう簡単ではなかった。

それから1ヶ月間、何も起こらなかった。だが、1ヶ月たったその日、起こった。大変なことが。
今度は初めから強い地震が起こった。またTUS生物が現れたのだ。だが、今回は人間も準備をしている。
この1ヶ月間、軍隊を作ったのだ。クリスタルを使い、武器をたくさん作成し、準備させた。
海からは化け物が現れた。体全体黒い鱗に覆われていて、太陽に反射する真っ赤な目、鋭い口はまるでサメの歯とトカゲの口をくっつけたかのようなものだ。一番近いといえば寺のサウルすだ。
だが、あんな大きさではない。あの巨人、TUS001-Aがあいつの半分しかなかった。人間なんかただのありんこだ。尻尾をふるうだけで大量のビルが崩れ落ちた。
「なんだあれは…!」会長は怪物を見ると目に恐怖がにじみ出た。「あんなものがこの世に存在するのか」だが、怖がるだけでは何もできない。
心の底では恐怖に満ちているが、外には出さないように意識した。「この日を待ち構えていた!ここにいる軍に告げる。あの怪物を直ちに始末するのだ!」
TUS生物を退治する群を刃死軍めつしぐんと名付けた。滅死軍はその場を立ち去り、防具を手に取ると外めがけて駆け出して行った。

「なんだこいつは!」「化け物だ!」滅死軍の数はこの怪物によって削られていた。初めは1000人以上いたが、今では600もいるかわからないほどだ。
歯が立たない。人間が作った刃では黒い鱗を破ることができなかった。だが、一人の青年が現れた。彼の手には小刀があった。その少年に会長の目が釘付けにされた。
こんなものを作った覚えがない。彼はつぶやいた。「いったいどこで習得したんだ…」剣を見れば1キロ以上遠くからでもわかる。この光方からしてあのクリスタル、名付けてTUS000から作られたものだ。研究者に聞いてもこんなものを作った覚えなどないといっている。研究者たちは会長の言った通り、刀や銃弾を作ったが、あんな小刀は作っていなかった。
その青年は会長も見たことがない。だが、彼の動きからしてわかることは一つ。彼はでたらめに突っ込む人ではない。
青年は怪物、名付けてTUS003めがけて突っ込んでいった。「よせ!」無理だと思った会長は叫んだがもう遅かった。尻尾が飛んできて、青年がいた場所をはたいた。
「私の勘違いだったということか」だが、彼の考えは間違っていなかった。青年は生きている。その理由はすぐにわかる。
会長が窓から目を離そうとしたとき、化け物の叫び声が聞こえてきた。当たり前だ。化け物は叫ぶのが多い。だが、この叫び声は少し違った。まるで苦しんでいるかのような叫び声だ。
はっとTUS003に目をやると信じがたい光景を目にした。彼の前で怪物の尻尾が切り落とされていた。青年がやったのだ。あの青年を目で探すと怪物の背中に立っていた。暴れているTUS003の背中にまるで動いていないかのようにバランスよくたっていた。
最後には怪物が海に戻っていった。滅死軍は追い返したと喜んでいたが、会長は知っていた。追い返したのは彼らではない。たった一人の不明な青年だ。彼は水色のフードをかぶっていた。
そのあと探したが青年の所在は不明のまま終わった。まるで空中から現れ、化け物を追い返すとまた跡形もなく消えたかのように。会長は外を眺めた。「壁」急に彼は一言つぶやいた。
彼はポンと手をたたいた。「壁で海の周辺を囲めば海から出てくることは不可能だろう。だがそこまで丈夫な壁を作ることができるのだろうか…簡単に入ってくることができる気がするが…」
その考えはやめておいた。「とりあえず強化しよう」だが、そんなことを考える暇はなかった。TUS003がまた現れた。今度は尻尾が治っている。しかも、その後ろには他の化け物もいた。大量にだ。
「な!?」彼は窓に倒れこんだ。「なんだ、あの数は!?」およそ20、この街を襲っていた。到底反撃できそうにはない。戦力も衰えているというのに。会長はたった一つの希望しかなかった。青年
彼はあの突然と表れた青年にすべてを託した。「お願いだ…現れてくれ」だが、現れなかった。青年は。TUS003は暴れまわった。反撃をして5体はギリギリで倒すことができた。
最後には会長も出ることにした。両手には小刀を持って。彼はわかった。小刀よりも刀を持っているほうが動きにくいということに。だが、彼もあの青年のように軽やかには動けない。
それでも守りたかった。この街を。1体目に出会った。小さな子供ほどの蜘蛛だ。蜘蛛は4つの目で彼を見た。どんどんと近寄ってくる。体がどこまで強いかはわからない。だが、刺さるようにと願った。
思いっきり突っ込み、スライディングで攻撃をよけた。ちょうど蜘蛛の下に来たので上めがけて両方の小刀を投げた。蜘蛛は「シャー!」と悲鳴を上げ、倒れた。
小刀を回収すると進んだ。次には人間に化けて生き物だ。だが、どこかがおかしかった。だが、分からない。わかるのは普通の人間じゃないということだ。
彼は飛び込んだ。TUS005と呼んでおこう。TUS005は爪を立てた。猫のように威嚇して襲い掛かってきた。だが、体は人間と同じだ。手はすぱりと切れた。そこから緑の液体があふれ出て来た。この行きものは確実に人間じゃない。
悲鳴を上げているところ、首をすぱりと切った。TUS005は地面に倒れ、動かなくなった。「次だ…次だ…」彼は次から次へと倒していった。やっと10体倒すと体力がほぼ残っていなかった。だが、戦い続けた。
その努力に圧倒され、ほかの滅死軍は勇気を得た。怪物に立ち向かい、1体1体と倒し続けた。最後にはTUS003だけだ。「今度こそ逃がさない!」彼はTUS003に迫っていった。だが、尻尾が飛んできた。本能的に気が付いたことだが、この尻尾は少し地面から浮いていた。また数ベルトよけることに成功した。そのまま進むと青いビームを飛ばしてきた。それもすれすれでよける。
彼は走り続けた。「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」彼はTUS003を登っていき、顔の目の前まで行った。「おラ!」青い丸が口の中で作られていた。彼は小刀を口の中にめがけて飛ばすと、ビームが爆発した。
TUS003は悲鳴を上げて倒れた。「勝ったのか」彼はに手に力を入れた。「勝ったぞー!」すると、周りから「わー!」と叫び声が聞こえてきた。
「これで終わったのか」会長は肩から力を抜いた。
だが、それは嘘だった。全く。

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