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彼は何個ボートを作るのかを一切考えていなかったようだ。
「とりあえず一個作ってみるか」その一言で、一つ目のボートが完成した。
下にたくさんのペットボトルがあったので、浮かぶのは多分確実だ。
「後は試してみるまだ出だな…」彼は板で作ったボートを海に浮かばせてみた。
その時は成功した。
だが、そのうえでバランスをとることが難しかった。
多分それは僕たちが慣れていないからだと思う。
だが、難しかったのは難しかったのだった。
「どうにかできないかな…」すると、それを見ていた那留のお父さん、圭太が笑った。
「そりゃあ片方に重力駆けたらひっくり返るだろう。もう片方に誰か、同じ重さの人がもたれかかったらいい」
試しに本田が反対がを持ち、僕が乗ってみた。
乗るところまでは行けたのだ。それは普通のことかもしれないが、僕たちからすればすごいことだった。
真ん中まで行き、本田が手をどけてもバランスをとることができた。
「まあ、これに何人もが乗るのは不可能だな」僕たちは違う方法を見つける羽目になった。
圭太が考え出したのは、一つの大きな木を削って作るというのだったが、問題はその大きな木がなかったということだった。
だから、その方法は不可能だった。
「一番簡単なのはあのカヌーを持ってくることじゃない?」確かにそうだった。
その方法を完全に忘れていた。確かにあそこのを使えばできる。
僕は今持っているボートを使ってそこまで戻っていき、潜った。
そのまま潜っていくと、やはりそこにはまだ大量のカヌーがあった。
よし、これをもって上がれば… 紐をほどき、持ち上げようとしたが、問題が起きた。
浮かび上がり、天井にぶつかったのだった。
「!?」慌てて引き下ろそうとしたが、水中だ。僕は全力を出すことができなかった。
しかも、できたとして、多分不可能だっただろう。
僕はだいぶ息が切れていた。
だんだんと息が遠くなるのに気付き、僕は外に出ようとした。
だが、その体力がもう残っていなかった。
目の前がだんだんと真っ暗になって来た。
もっと早くに気づいていれば…
これは普通のことだった。浮くものが支えから取り外されれば、すぐに浮き始める。
しかも、僕が持ち上げれなかったほどの重さだ。一度浮き上がればどうにもできない。

「何かがおかしくない?」ボートで待っていた佐々木が少し不安そうな顔をした。
それはほかの人たちも思っていた。
もう1分は立っている。彼はそこまで潜れた気がしない。
まあ、潜れる。だが、激しい動きをしているはずだ。そこまで息が続くはずがない。
「ちょっと見てくる!」彼女はそのまま海の中へと飛び込んだ。
あいつはどこに… すると、手が見えた。
一瞬はしたいかと思ったが、違った。
大洋の手だ。
慌てて近づき、彼を抱いてその場を離れていった。
ボートまで戻ると、彼を持ち上げた。
「起きろ!」呼ばれたが、僕は起きなかった。
起きるはずがない。
心臓マッサージをすると、飲んだ水を吐き出した。
「ゴホゴホゴホッ」僕は起きた。
そこはボートだった。
「何が…」圭太に言われたのはたった一つだった。
「失敗した」