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「とりあえず進もう」僕たちが歩き出すと、壁にあった松明が列に並んでともった。
最新のようなロボットとは少し相性が悪いものだ。とても古い感じにしか見えない。
そのたいまつはここから一キロ以上先までともっていて、ボケてみれば無限に続く通路にも見えそうだ。
「これはいつまで続くんだ…」雄星は少しだけめんどくさがり屋のようだ。
彼は壁を蹴り飛ばしてしまった。だが、その先には壁しかなかった。どうやらこの通路を通り終わらないといけないらしい。
七海が出してきたのは銃のようなものだった。「これはポータルガン、ある人から託されたもの。どこからでも打てる範囲にあれば瞬間移動が可能」
彼女が通路の反対がをねらって打つと、次には地面を打った。
すると、に穴ができて、その中にも部屋が見えてきた。
「これは向こうから見えるもの、入るよ」彼女が指を鳴らすと、飛び込んでいった。
僕も一緒に飛び込むと、急に重力が変わって地面に倒れこんだ。
「いててて…」僕がお子いあがると、遠くには地面を眺めているハアナと雄星が見えた。
本当に瞬間移動したようだ。「まあ、これはただ単にこの二つの間にあった道を消しただけ、だから瞬間移動というかただ単に空間ができたからそこをスキップしたって感じ」
彼女の説明が全く読み取れなかった。
「ようこそ、歓迎する。」
低い声が響いてきた。
とても長いこと生きている何かの声だ。
だが、その迫力はすごい。体がしびれるほどだ。
「お前は誰だ」壁がきしむ音を立てながら開くと、その中からは年老いたロボットが現れた。
長いこと放置されていたのか、苔が生えていて、動けないのか、空中に浮かんでいる。
「もう一度聞く、お前は誰だ」雄星がロボットをにらんだ。「我が名はナンバーぜろ、この世を制覇する者」
それを聞いて彼は驚いた。「なぜ六体目が存在する、五体しか存在しない外れはないのか」
零番は頷いた。「我は作られたのだ、奴らにな。この夜を征服するために」
「だが…」零番は後ろを振り返った。そこにはさっき見た〇二番と同じ姿をしたロボットが五体いた。
その中にはあの〇二番がいるのだろう。
「お前二人が邪魔だった」零番はそこにあったボタンを押した。
すると、七海の服が動かなくなり、零番の前へと飛んでいった。「それをつけるなど、愚か者が。普通なら常ないだろ…」彼は何かに気づいたのか、歯を食いしばった。
「なぜおまえのは動く、誰かが入れ替えたのか…」彼が違うボタンを押すと、壁から腕が現れ、雄星とハアナを捕まえた。
その腕は壁の中に消えていき、二人も一緒に連れていかれた。
「これでいらない者は捕まえた。さてと、お前たちを始末する」
彼がまた違うボタンを押すと、腕が二本壁から現れた。
一本は僕を一瞬でつかみ、もう一本は手に拳銃を盛っていた。
「蓮田!」七海は僕のほうに駆け出して来ようとしたが、それを零番は見逃さなかった。
「おっと、近づけば彼の頭には穴ができる。それでいいのか?」僕は口だけを動かした。
来るな。、と。
七海は歯を食いしばったが、止まった。
「よし、それでいい。お前らガキ共は弱弱しく黙っているのがお似合いだ」
零番は全くロボットとは思えなかった。普通の人間だ。普通の悪人だ。
「僕を使ってどうするつもりだ」僕は怖かった。
横からは拳銃を突き付けられている。どうにもできない。
だが、今できることといえば冷静にいることだ。
彼は僕たちが苦しむのを楽しんでいる。
僕が冷静でいれば、暇になって捨てられるという可能性もある。
それを狙う以外に方法は何もない。
「お前、ナナミのことは充分調べた。指を鳴らせばバン、だ」
彼女は歯を食いしばるだけで何もできなかった。
「それと、だな」彼は何かを操作すると、てんじょうからテレビが出てきた。
その画面にはハアナと雄星がいた。
だが、あれらは完全にこの腕でつかまれて、その下には溶岩がブクブクと波を立てていた。
「このまま手を放せばあいつらはあの世行きだ」僕たちは完全にはめられた。
このままだとやばい。「「私たちのことはかまうな!」」二人は同時に言っていた。
だが、見捨てるわけにはいかなかった。見捨てるわけには…
その時、頭の中に声が聞こえた。

見捨てろ。

僕は首を振った。
そんなことできるわけがない。

彼らを信じろ。見捨てろ。私が付いている。

僕はハッとした。
彼らを信じる…見捨てる…私が付いている…
その言葉を聞くと、僕は笑みを浮かべた。悪の笑みだ。
「落とせば?」零番は少し反応した。
「落とせと言っているんだよ!」
僕は彼ら二人を信用する。
だから、落とさせる。彼らの自由のために。
「やってやろうではないか」彼がボタンを押すと、ハアナと雄星を支えていた手が開き、二人は落ちた。
「はまったな」その言葉だけが最後に残り、テレビが壊れた。「はまった、ね」僕は恐怖を忘れた。
拳銃を頭に突き付けられた、恐怖を。「クッ!捕まえてもってこい!お前たち!」彼を作った一番、二番、三番、四番と五番に向かって叫んだ。
五体はすぐに分かれ、壁をドリルのように突き抜けて探索し始めた。
そこは結構深い地面の中だ。さすがにあの二人でも地面から掘りあがるのは少し大変だろう。まだ地中のどこかに隠れているはずだ。
「まあ、それはあいつらに任せるとしようか」零番は不気味な笑い声を出すと、動き始めた。
僕は抜け出そうとしたが、やはり力が弱すぎる。
零番は七海の前に立ちはだかった。
彼女は慌てて指を鳴らそうとした。
その時、僕はなぜかわかった。
未来が。
「やめろー!」

もう遅い

「この世界はそんなに甘くはないのだよ」
シュッ
今…なんにが起こった? 「ㇰッ…!」ナナミは腕をつかんでうなり声を上げた。
今…何が…
何か鈍い物が地面に落ちる音。
怒り、悲しみ、苦しみ、呪いたい気持ち、殺したい気持ち。

それは、力へと変わった。

「ウウウウ…」
そこで、意識が途切れた。

つかむ力に負けるのであれば、かみ砕け。
限界を超えろ。
自分の限界以上の力を出してみろ!

バキ 蓮田の方向から奇妙な音が聞こえてきた。
「何だ…あいつは」零番は茫然と蓮田の方向を眺めてしまった。
七海もそうだ。一瞬、彼女から痛みが過ぎ去り、驚きの感情が湧き出てきた。
「ウ~-…」蓮田がかみ砕いていた。金属の腕を。

大丈夫だ。
私が付いている。
敵を倒せ。
彼女を助けるのだ。
悪を倒し、正義を助けろ。
私はいつでもお前の味方だ。

すると、蓮田の後ろに何かが浮き出てきた。
男性のようだ。蓮田に覆いかぶさるように、彼は体制をとっていた。

お前は強い。
彼には負けない。

ついに指を全てかみちぎり、残ったのはボロボロになった手だけだった。
「な…何が起きているのだ…なぜ彼が…彼があいつの見方を…」零番は後ろに下がった。
「ウー…」もう一本の腕が持っていた拳銃を彼の顔面に突き付けたが、ひるみもしない。
彼は拳銃をかむと、軽々と真っ二つに割った。
「な、なぜだ…なぜおまえがその紋章を持っている…」蓮田の肩を見てみると、そこには目があった。
その目は金色に光っていて、それが彼の口をあそこまで強くしたのだろう。
「なぜおまえが…浩紀の紋章を持っているのだ…」その言葉を聞いて、七海は何かを思い出した。
腕が痛むので少し考えずらかったが、その名前は誰かから聞いたことがある。
この道具を作った、初代作成者だと。そして、この世界を作り上げた人間だと。
だが、浩紀は何年も前に死んだはずだ。「まさか…」七海が声として出す前に腕が痛み、止められた。
蓮田は零番にとびかかり、頭をつかんだ。
このままでは死ぬ。頑張ってもがいたが、もう遅かった。
零番は完全につかまれてしまい、身動きが取れなくなっていた。
彼が腕を回そうとしたとき、声が聞こえてきた。「やめて!」その声を聴き、蓮田は動きを止めた。
「へへへ、人生楽に生きてきたガキ共が」零番は隙を見つけて蓮田の手から逃げ出した。
「確かに平和だったかもしれないわね。でもわかる気がするのよ、あなたの悔やみが」七海は腕を紐で力強く結び、出血は止めていた。
それは零番の怒りを買ってしまったようだ。「何がわかるってんだ!のこのこと暮らしてきたクソ人間に俺たちの人生が、苦しみが!」彼はどこかに隠し持っていた小型ナイフをを取り出し、椅子から立ち上がると七海に飛びつこうとした。
「そうはさせん!」壁が急に壊れ、その中から一番から五番まですべてが飛び出してきた。
全ては動くのを停止していて、ちょうど零番に突っ込んだ。
「お、お、俺の、なに…何が分か…かるってい、い、いうんだ、だだ…」突撃のダメージで零番も停止知って、再起動し始めた。
「わかるよ、私も毎日のように親に殴られ、けられ、怒鳴られる生活をしていたんだから…」零番から目を放して蓮田を見ると、地面に倒れていた。
「蓮田!」彼女は慌てて駆け寄ると、蓮田の反対側には浩紀が座っていた。彼は優しい目で地面で寝込んでいる蓮田を眺めていた。

…我が息子よ

一番最後のところしか七海には聞こえなかったが、確かに息子といったのだけは聞こえる。
「ありがとうございます」七海も蓮田の横に座ってお礼を言った。

私は何も知れいないのだが、これはすべて、彼の力だ。
私は少し彼の手助けをしたのみ。お礼は彼に行ってくれ。

彼は七海を見た。
彼の虹色に光る眼はいろいろと複雑な感情を描いていた。

これを受け取ってほしい。

彼は一つのフルーツを渡してきた。
今までで見たことのないフルーツだ。
七海はそれを見ると、浩紀を見た。
だが、そこにはもう誰もいなかった。
残っていたとすれば一枚のカードだけだった。
そのカードには、目が書かれていた。
「やはりな」後ろから雄星の声がしてきた。
後ろを見てみると、そこには山になっている五体実験体が倒れていた。
そして、その一番下には零番がいた。
「前にあの紋章を見た時、気になっていただ。これは浩紀の紋章だ。私たちのところとは少し異なる紋章だった」
そのカードをひっくり返してみると、短い文章が書いてあった。
『七海さんへ
蓮田を大切にしてくれて、ありがとう。
これは本のお礼だが、受け取ってほしい。
これを食べるとどんなひどい傷でも治る。
これは僕がともに最期を迎えた最高傑作だ。
これを受け取ってほしい。
君たちをずっと見守っている、浩紀より』
それを読むと、彼は何かを考え始めたが教えてはくれなかった。

蓮田が気づいたのは数十分後だった。
僕が起き上がると、周りには七海、ハアナと雄星がいた。
「何が起こったんだ…?」僕は何も覚えていない。
覚えているとすれば…
僕は慌てて七海の腕をつかみ上げてみた。
「あれ?」その反応を聞いて、七海は吹き出した。
「ある人に回復してもらったんだ」彼女はいくら蓮田がねだってもそれが誰なのか教えてくれなかった。
「でもありがとう」彼女がにっこりとして言った。「何の話?」僕はきょとんとした。
「なんでもない」彼女は上機嫌で外に出ていった。僕はいったい何が何なのかわからなかったが、いろいろと解決したみたいなのでよかったと思った。
僕はとりあえずベッドに寝込んだまま空を眺めていた。覚えていることとすればあの頭の中に直接響いてくる声だった。
何と言っていたかもどんな声だったのかもわからない。だが、響いていたということだけは知っていた。

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