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擬態会社員

私はこの4月から社会人になった。

会社員とは便利なもので、ある程度の安定的な収入と、他者からの承認を得られ、或いは良くも悪くも人とのコミュニケーションが付き纏うことから、孤独感も多少は薄れる。

しかしものの3か月目にして、もうこれに飽き始めている。

弊社では研修はほとんどないため、入社して間もなく通期決算の計算書類の作成に携わったし、外部に出す設備投資も計算したし、管理会計の帳簿にもアクセスして関数をガチャガチャいじったりもした。東証に提出する書類やらその他適時開示書類も都度作成した。信託銀行や社外取締役にも自分から連絡を取ったり、変更登記手続きも数回した。株主総会の運営にも、現在進行形で携わっている。

書類は、勿論上長のチェックは通るしレビューもされるが、特に問題なければそのままGOだ。社会人1か月とか2か月のぺーぺーが作成した、ツラだけ一丁前の文書たちが世に公開されている。

そういえば、取締役が連なるチャットチャンネルで社長に怒られたこともあった。新卒だからとかいって、容赦などされない。

世の中の新卒がちんたら座学やらで社会或いは会社のルールを学び、仲間との結束を深めているなかで、こうして早速様々な実務にかかわらせてもらえることは、有難いとは思う。

しかし、いつまでもこの仕事を続けたいか?と聞かれれば即答NOだし、部署の方々の年齢になったときに彼彼女らのようになっていたいか?と聞かれても即答NOだ。これは部署が悪いとかではなく、どこの部署にいっても、或いはどこの会社にいっても、答えは同じだろう。(寧ろ、会社のなかでは断トツで希望していた部署なので、これでも良い方なのである。)

意外に思われることもあるが、バリキャリになんて全く憧れない。

「成長」とかいうワードも盲信したくないし、会社のカルチャーにも染まりたくない。

忘れるな自分よ。会社が儲かって真に嬉しいのは、株主である。株式会社で働くということは、そういうことなのだ。自分の成長のため、とか、スキルがどうの、とかいう言葉に騙されるな。

でも、今のうちはそのような考えを悟られないようにしておこう。

真に自分が望むこととは何か?社内の文脈に囚われずに、考えてみる。世界はもっと広いのだろう。

東京は特殊だと思う。

イタリアやセブ島や沖縄、或いはマンション下の川辺で感じた生ぬるい空気感が好きだ。

***

上場しているというだけでこんなにも面倒くさい手続きが山ほどあるのなら、自分が会社をやるときは絶対プライベートカンパニーだな。

そんなことを考えながら、やることだけやってあとは読書などしてテキトーに過ごし、勤怠はきっちり8時間で切る生活を送っているのである。


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