FIREできるんだけど、踏ん切りがつかない僕の気持ち
早いもので不動産投資を始めてから10年が経った。
最初は自由に使えるお小遣いが増えれば良いなくらいな気持ちで始めたんだけど、気がつけば所有物件は増え、借金はもっと増えた。
ただ、おかげで不動産投資とブログからの収入を合わせれば、家族4人が慎ましく生活できる規模に成長した。
毎月のキャッシュフローは僕の会社員の月給を既に超えている。
今も新築アパートを建設中なので、これが竣工する頃にはキャッシュフローはもっと増えるはずだ。
最初は考えもしなかった『不動産投資でセミリタイヤ』も夢ではなくなっている。
いずれは不動産投資でセミリタイヤしたいと思ってはいたけど、その目標が眼前にやってくるとなかなか踏ん切りがつかないものである。
正直、僕は会社員をやめてセミリタイヤするかどうか悩んでいる。
ちょっぴり恥ずかしいけど、今の僕の赤裸々な気持ちを綴りたい。
セミリタイヤ後の膨大な時間を何で埋めたら良いのか
会社員は毎日が時間との戦いだ。
平日は朝早くから夜遅くまで会社の仕事に忙殺される。
コロナでテレワークになってから通勤がなくなったのだけど、その分会議の数が増えた。
海外にいる同僚や顧客とのやり取りも多いため、深夜・早朝にweb会議をすることも多い。
そんな忙しい会社員生活を送りながら、物件を検索したり、新築アパートの間取りを考えたりする。
これらの副業は全て大好きな不動産に関連しているから楽しいんだけど、それでも疲労は確実に蓄積される。
そんな風に忙しい毎日を送っていると、『セミリタイヤして不動産投資に集中したい』という願望が沸き起こってくる。
ただ、会社員を辞めて専業大家さんになるのは良いのだが、果たして会社の仕事に費やしていた膨大な時間を埋めるだけの日々の仕事があるとは思えない。
確かに会社員の副業で不動産投資を行うのは結構大変だ。
本業の合間を縫いながら、なんとか不動産投資の時間を捻出する。
一方で大家の仕事だけで充実した一日が送れるかというと心もとない。
今は新築を仕込んでいる最中なので一年の中でも不動産投資に費やす時間が多いほうだ。
それでも週にせいぜい3時間くらいなものである。
建築士や工務店との打ち合わせが毎週入るけれども、週に1時間程度。
後はメールでのやり取りだが、これも週に2-3本。
会社員の仕事だと一日に50通以上はメールを書いているので、仕事量は比較にならない。
毎日1時間の残業も入れると会社員の仕事は一日約9時間。
週に45時間働いていることになる。
一方で不動産投資にかける時間は3時間。
もし僕が専業大家になったとしたら週に3時間しか労働しないことになる。
残りの42時間という膨大な時間を埋める自信がなくなってくる。
宿泊業に参入し、旅館を切り盛りする気満々だった
実はコロナに入る前はもっと早くにセミリタイヤする予定だった。
不動産投資だけではセミリタイヤ後の膨大な時間を埋めることはできないけど、他の事業を行うのであれば別である。
僕は宿泊業に参入する予定だ。
自分の家の近くに物件を購入し、旅館業の免許を取って民泊を運営したいと考えている。
今まで様々な国の同僚と一緒に仕事をしてきた。
コロナ前は彼らが日本に出張してくることも多かった。
会議の後に居酒屋か寿司屋に彼らを連れていき、二次会にカラオケで盛り上がるのが定番だ。
初めて日本にくる外国人同僚は例外なく目を輝かせている。
マグロとサーモン以外にもたくさんの種類の魚を選べる本場の寿司に驚いてくれるし、個室で思う存分歌い上げることができる日本式カラオケも楽しんでくれる(ちなみに欧米のカラオケは会場に一台だけマイクがあり、観客全員に歌を披露するスタイルが多い)。
渋谷のドンキホーテに行ってサブカルチャー感満載のお土産を買うことも大いなる楽しみだ。
日本出張に合わせて有給を申請し、オフィスがある東京だけでなく、京都・大阪まで小旅行してから帰国する同僚も多い。
そんな彼らは例外なく日本のことを「amazing」といって褒め称えてくれる。
日本に来る外国人観光客向けに宿泊場所や「おもてなし」を提供し、彼らから「amazing」といってもらえる民泊はきっとやりがいがあるに違いない。
民泊の勉強会にも参加したり、知り合いの旅館を見学させてもらいながらイメージを膨らませてきた。
やるからには民泊代行業者に外国人観光客とのコミュニケーションを任せるのではなく、僕自らが積極的に関わっていきたい。
運営業者になる要件を満たすために宅建も取得した。
そしていざ宿泊業に進出!と考えていたちょうどその時に、コロナがやってきた。
コロナが来たタイミングでまだ宿泊業を始めていなかったのは、九死に一生を得ることであったけど、同時にセミリタイヤするキッカケも失ってしまった。
セミリタイヤして宿泊業を自分で運営すれば毎日充実感を感じることができるはずだった。
だが、コロナが落ち着いて世界が元に戻るまでにはまだ時間がかかる。
宿泊業をやらずに大家業だけではセミリタイヤ後の膨大な時間を満たすにはパワー不足だ。
年収1000万円と大企業社員の肩書を捨てる勇気
僕は平凡なサラリーマンでたいして出世もしていないのだけど、一応大企業に勤務しているので年収は1,000万円以上ある。
この属性のお陰で不動産投資向けの融資が引けているので、会社には本当に感謝している。
セミリタイヤ(FIRE)するということはこの年収1,000万円と大企業の肩書を捨てることを意味する。
年収はさておき、大企業の肩書というのは便利なものだ。
初対面の人に自己紹介する時も大企業で働いている人というだけで常識人だと思われるし、それ以上詮索されることもない。
奥さんや子供にしたって、旦那(パパ)の職業を聞かれた時に大企業勤務と回答できるのは便利だろう。
セミリタイヤした後で、大家さんをしていると胸を張って自己紹介できるかというとあまり自信がない。
そもそも大家さんが職業として認識されているかどうかも甚だあやしい。
そんな風に考えていると、もう出世とかガン無視して、有給も全部消化してこのままのうのうと年収1000万円サラリーマン続けちゃえば良いじゃないという悪魔の囁きが聞こえてくる。
おまけにサラリーマンの方が融資を引きやすい。
気を抜くと、独立したいという志を忘れてしまう。
それほど大企業のサラリーマンという属性は悪魔的な魅力がある。
働き盛りの40代は今しかない
このようについ楽な方に流されがちになるのだけど、冷静に自分の年齢を数えてみるとゾッとする。
いつしか40の坂を超え、働き盛りの年齢に差し掛かっている。
気力、体力ともに充実し、まさに人生でもっとも重要な局面だ。
そんな時に惰性で会社員を続けつつ、自分の人生をかけても良いと思っている不動産投資を副業で行っている自分に疑問がわく。
お前は本当にやりたいことを全力でやっているのか。
後悔のない人生を送れているのか。
働き盛りの40代は二度とやってこない。
今人生チャレンジせずして、いつやるのか。
「今でしょ!」という言葉が頭に響き渡る。
そう考えると、一日も早く会社員をやめてしまって、自分の好きな不動産に全集中すべきだと思える。
ただ、前述したように不動産投資だけではセミリタイヤ後の膨大な時間を消費しきれない。
不動産投資は副業として行うことも十分に可能だ。
しかも自分の労力を傾けようと思っていた宿泊業に全集中するにはタイミングが悪い。
こうやって思考が堂々巡りする。
流れに身を任せてみる
心の声に耳を傾けると、『まだ今じゃない』という感覚がある。
経済的な側面だけを見ればセミリタイヤできる段階にはあるのだけど、あえて今スグに実行すべき情熱が出てこない。
こんな時は無理に行動を起こさずに、今の流れに身を任せてみるのも悪くないんじゃないか。
そしていつの日か『よし、サラリーマンやめよう!』と心の底からすっきりと思える時が来るような気がしている。
それまでは会社員と不動産投資を並走させていこうかと思う。
セミリタイヤした後の明確な目標がない状態で会社員を辞めるのは得るものよりも失うものの方が大きい気がする。
とりあえず今建築中の新築アパートを竣工させよう。
そしてコロナが収束するのを待ってみよう。
これらが終わる頃にはまた新しい流れが生まれているはずだ。
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