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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第39回 日本の目標「2030年までに食糧自給率45%、輸出額5兆円」の達成ノウハウ(その1)〜豪州農業を参考に、目標達成のための「アグリテック」導入促進方法〜

はじめに

日本政府は、2030年までに食糧自給率(カロリーベース)45%(2024年時点で約38%)、農林水産物・食品の輸出額5兆円(2024年時点で約1兆5千億円)を目標としています。一方、オーストラリアは2022年の時点で輸出額が約7兆円、食糧自給率は200%を超えています。オーストラリアでは「アグリテック」市場が急成長し、近年では10~100億円の大規模投資が頻繁に行われ、農業の発展に大きく寄与しています。本記事では、オーストラリアの「アグリテック」を活用した農業を参考に、日本での「アグリテック」導入促進に繋げるノウハウについて考察します。

アグリテックの本質を理解することから始める

世界のトレンド、「〇〇+テック」の一つ「アグリテック(国際標準はAgTech)」は、現状の課題が容易に解決され、「農業生産性が向上=食糧自給率UP=輸出量UP」に貢献できると期待されています。しかし、第1次産業の農業は多くの他産業とは異なり、テクノロジーの導入は一筋縄ではいかないことを念頭に置く必要があります。日本の農地は、オーストラリアに比べ、アグリテック導入に適した環境基盤が整っていないと言えるかもしれません。オーストラリアの農場は広大であり、その分のメリットやリターンがありますが、オーストラリアは世界で最も少ない労働人数で農場運営を可能にしている点に注目すべきです。

組織化してアグリテックを導入

オーストラリアが単位面積あたりの農業労働人口が少ないにも関わらず、大規模生産が可能なのは、大型機械を導入して生産効率を高めていることが理由の一つです。しかしながら、「組織化」した中でアグリテックを活用して、少ない人数で農場管理が行き届いていることも大きな要素です。実際に組織化を実現している多くの生産者は、アグリテックを導入し、それにより圧倒的な農業生産量を誇っているのは確かです。
また、オーストラリアは組織化されている生産者が多いため、アグリテック普及は日本に比べて格段に早い特徴があります。言い換えれば、オーストラリア農業の構造を観察することで、日本でのアグリック導入促進に繋がると断言できるでしょう。

農業に専門家を登用

オーストラリアの農業がいかに組織化されているかは、求人広告にある「Job Description」と呼ばれる職務内容からも確認できます。日本の場合、農業生産法人が募集する求人枠は、「農作業全般」といったような曖昧な職務が多い傾向にあります。しかしオーストラリアの場合、応募資格の条件として農業機械工学、食品衛生学部卒など、大卒以上の専門家の人材を厳選して雇うケースが多くあります。一般の「食品工場」に近い組織で事業を展開している生産者も多く、経営企画部から研究・商品開発部など、多様な部署から成り立っていることが分かります。

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