私が考える放課後児童クラブ・学童施設のあり方

私が放課後児童健全育成事業及びそれに類似した事業に携わって約10年半たちました。

この10年半、いろんな放課後児童クラブに携わっていく中で、自分なりに放課後児童クラブは本来、どういう場所であるべきかを考えてきました。

そして考えついた答えとして以下の4つが、放課後児童クラブ・学童施設のあるべき姿であると私は考えています。
・子どもたちが成長できる場所
・子どもたちが活動できる1つの場所
・保護者にとって、安心して子どもを預けられる場所
・子どもたちがワクワクできる場所

まず、1つ目の『子どもたちが成長できる場所』ということ上げさせてもらった理由として、放課後児童クラブがそういう場所だと定められているからです。
運営指針には、放課後児童クラブについてこのように書かれています。

(1)この運営指針は、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号。以下「基準」という。)に基づき、放課後児童健全育成事業を行う場所(以下「放課後児童クラブ」という。)における、子どもの健全な育成と遊び及び生活の支援(以下「育成支援」という。)の内容に関する事項及びこれに関連する事項を定める。

厚生労働省 放課後児童クラブ運営指針 第1章 総則 1.趣旨 より

ここには、放課後児童クラブは放課後児童健全育成事業を行う場所と記されています。この放課後児童健全育成事業についても、運営指針では以下の通り記されています。

(1)放課後児童健全育成事業は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の3第2項に基づき、小学校(以下「学校」という。)に就学している子ども(特別支援学校の小学部の子どもを含む。以下同じ。)であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後(以下「放課後」という。)に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、子どもの状況や発達段階を踏まえながら、その健全な育成を図る事業である。

厚生労働省 放課後児童クラブ運営指針 第1章 総則 2.放課後児童健全育成事業の役割 より

放課後児童クラブは、昼間、就業等で保護者が在宅でない小学生に対して、放課後、適切な遊びと生活の場を提供し、健全な育成を図る施設です。

なので、放課後児童クラブで私たちは子どもたちの生活を見守ったり、時にはお世話をしたり、一緒に遊んだりしていますが、それをただ行うだけでなく、私たちは『子どもたちの成長』についても考えて行う必要があります。

次に2つ目の『子どもたちが活動できる1つの場所』についてお話します。
小学校入学時には、たくさんの子どもたちが児童クラブ・学童施設を利用してくれていますが、その子どもたちが学年が上がるにつれてどんどん辞めていくということが、多くの児童クラブや学童施設で起こっていると思います。

小学生の放課後の過ごし方について、学研教育総合研究所が2022年9月に調査した『小学生の日常生活・学習に関する調査』でも、学童で過ごす子どもは、男女ともに学年が上がるにつれて少なくなっています。

学年が上がるにつれて、子どもたちは様々なことができるようになり、また、興味ごとも変化し、行動範囲も広がります。そして、中学年に差し掛かるにつれて、子どもたちは同年代の集団や仲間を好み、大人に頼らずに活動しようとします。
その中で、子どもたちは放課後の過ごし方についても、自分で決める児童も増えてきます。

ですので、子どもたちが『今日は家でゲーム』、『今日は友だちと公園でサッカー』などと日々選択できるということは本来の形であり、それが本当の豊かな放課後の過ごし方ではないのでしょうか?その上で『今日は久々に児童クラブで過ごそう』という選択肢があってもいいのかな?と私は思います。

では、3つ目の『保護者にとって、安心して子どもを預けられる場所』についてお話していきます。

放課後児童クラブにおける育成支援について、運営指針には下記の通り記されています。

(1)放課後児童クラブにおける育成支援
放課後児童クラブにおける育成支援は、子どもが安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整え、安全面に配慮しながら子どもが自ら危険を回避できるようにしていくとともに、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子どもの健全な育成を図ることを目的とする。

厚生労働省 放課後児童クラブ運営指針 第1章 総則 3.放課後児童クラブにおける育成支援の基本
より

放課後児童クラブでは、当然、子どもが安心して過ごせる生活の場でなければ、子どもたちものびのびと過ごせないですし、保護者も安心して預けることもできません。なので、放課後児童クラブの安全管理はきっちりすることは当然必要です。しかし、安全管理を抜け目なくしてしまうと、子どもが自ら危険を回避できるようにしていく環境がなくなってしまいます。

ですので、放課後児童クラブでは安全管理は高度なものにしつつも、子どもたちの危機回避能力を育めるよう、絶妙な環境を作ることが大切なこととなります。

では、最後に4つ目の『子どもたちがワクワクできる場所』についてお話いたします。

放課後児童クラブに通う子どもたちは、昼間、就業等で保護者が在宅でない子どもたちです。そんな子どもたちにとって放課後児童クラブが楽しくない、おもしろくない場所だと、子どもたちも通うのが嫌になりますし、通って過ごしたとしても、ストレスが溜まってしまいます。
そして、そのストレスが塵に積もり、子どもたちから『おもろない』、『児童クラブ行きたくない‼』という声が発生してしまうと、保護者の方も困惑することになりかねません。なぜなら、保護者の方は仕事中、安心して子どもたちを児童クラブに預けてるわけです。

そのようなこともあり、放課後児童クラブは『子どもたちがワクワクできる場所』であることが、子どもたちにとっても、保護者の方にとっても、大変有益になるといえます。

また、放課後児童クラブがワクワクできる場所であると、保護者の方に『今日、~してとても楽しかった‼』ということを話し、そこから子どもたちと保護者の方のよい会話も生まれるので、親子の良い関係づくりの一役を担います。

私は、このような4つの特徴をもった放課後児童クラブ及び学童施設のあるべき姿を念頭に、この業務にこれからも携わっていきたいですし、そのような施設になるよう、様々な活動や取り組みを行っていきます。

皆さんも、一度、自分なりに放課後児童クラブ及び学童施設のあり方について考えていただきたく思います。そして、いつの日か皆さんが考える放課後児童クラブ及び学童施設のあり方について、語り合える日が来ることを願います。

今回もご覧いただきありがとうございました。

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