子どもたちのあそびの一員となる

前回、子どもたちの適切なあそびにつなげるための放課後児童支援員の3つ関わり方についてお話いたしました。

今回は子どもたちのあそびの一員として関わる際の心得についてお話いたします。

子どもたちのあそびの一員として関わる際の心得について、以下のことが挙げられます。
・1対1であそびすぎない。※ただし、あそび相手がASD傾向を持つ等、他者とあそぶことが困難な場合は除く。
・あそびに集中しすぎない。
・あそぶときは全力投球で。
・子ども同士をつなげる意識を持つ。
・子どもたちの輪が出来たら、徐々に離れ、適宜な声掛け⇒見守りに移る。

まず、『1対1であそびすぎない。』についてですが、これは過去の記事『放課後児童クラブの仕事をはじめてする方々へ』でもお伝えいたしましたが、私たち放課後児童支援員は、その放課後児童クラブを利用している子どもたち全員の先生であるため、いろんな子どもたちと満遍なく関わっていくことが必要となります。
ですので、いろんな子どもと関わっていくためにも、特定の子どもだけであそぶのは避けたほうがいいでしょう。ただし、相手がASD傾向を持つ等、配慮な必要な子どもの場合はその限りではありません。そのような子どもが自分がしたいあそびをしているにもかかわらず、『みんなとあそぼう‼』と無理持してしまったり、『いっしょにいて』と言ってるにも関わらず、違うところに行ってしまったりすると、かえってストレスが溜まり、時にはパニックを起こすことがあります。あそび相手が他のお友だちとあそぶことが困難な場合は、できる限り引き続き、1対1であそび続けたほうがよいでしょう。

次の『あそぶときは全力投球で。』についてですが、皆さんは子どもたちとあそぶ際、子どもたちと付き合い程度にあそびますか?それとも、全力であそびますか?

私が見てきた中で、子どもたちと『付き合い程度にあそぶ支援員(補助員)』と『全力であそぶ支援員(補助員)』とでは、やはり、『全力であそぶ支援員(補助員)』の方がよくなついてる印象があります。
また、クリスマス会や夏祭りの行事についても、『全力であそぶ支援員(補助員)』がいると盛り上がり、いい思い出として残ることが多いようです。
放課後児童クラブに全力であそんでくれる先生がいると、子どもたちもワクワクしながら、楽しんで過ごせるはずです。子どもたちが放課後児童クラブで楽しく過ごすためにも、子どもたちとあそぶときは全力投球であそんでほしいなと私は思います。

では、次の『あそびに集中しすぎない。』についてですが、これは、あそびに集中しすぎて、危険なものや行為、トラブルなどを見逃してしまう恐れがあるからです。
私が今まで関わってきた児童クラブでは、若い支援員(補助員)さんが子どもたちとよくいっしょに遊んでくれていました。その中で、おにごっこをしているのをよく見かけたのですが、範囲の中にコンクリートの場所や危険な場所が含まれていることが多々ありました。全力で子どもたちとあそんでくれているので『ありがたいな~』と思う反面、これはちょっと『大ケガにつながるぞ、、』と思うことがありました。
また、これは若い支援員(補助員)さん以外にも当てはまるのですが、子どもたちの集団下校以降、部屋で10名ほどの子どもたちを2名で見てた時のこと、ある支援員さんが数人の子どもたちと一緒にUNOをしていたのですが、その近くの別のグループで取っ組み合いのケンカをし始めました。私はその2つのグループを見守りながら、出欠入力の作業をしていましたのですが、異変に気付き対処しに行ったのですが、その近くにいるUNOを一緒にやっていた支援員さんは気づかず、ケンカを始めても止めに行かないということがありました。その対処をする際、その二人の言い分が違っていたので、近くにいたので『何か状況知らないか?』と聞いても『知らない』と答えられたので対処が困ったのがあります。

ここで少し余談なのですが、皆さんは放課後児童支援員(補助員)が見ないといけない子どもの人数を知っていますか?
放課後児童支援員(補助員)が見ないといけない子どもの人数は、運営指針を見れば大方わかります。

(1)放課後児童クラブには、年齢や発達の状況が異なる子どもを同時にかつ継続的に育成支援を行う必要があること、安全面での管理が必要であること等から、支援の単位ごとに2人以上の放課後児童支援員(基準第10条第3項各号のいずれかに該当する者であって、都道府県知事が行う研修を修了したもの)を置かなければならない。ただし、そのうち1人は、補助員(放課後児童支援員が行う支援について放課後児童支援員を補助する者)に代えることができる。

厚生労働省 放課後児童クラブ運営指針 第4章 放課後児童クラブの運営 1.職員体制 より

ここには支援の単位ごとに2人以上と記されています。
2名以上と書かれていますので、最低人数は2人必要ということになります。
では、支援の単位についてですが、支援の単位について運営指針にはこう記されています。

(2)子ども集団の規模(支援の単位)は、子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模として、おおむね40人以下とする。

厚生労働省 放課後児童クラブ運営指針 第4章 放課後児童クラブの運営 2.子ども集団の規模(支援の単位)より

子どもの人数は1つの支援の単位がおおむね40人となります。

よって、(子ども)40人÷(支援員)2人=20人となり
基本、支援員1名当たりおおむね20人見る必要があることになります。

前述の『あそぶときは全力投球で。』で子どもたちと全力であそぶことの良さはお話しした通りですが、その一方で支援員(補助員)としての責務は当然あるので、『あそびに集中しすぎない。』意識も必要となります。

ですので、『あそぶときは全力投球で。』であっても、自分と一緒にあそぶ子どもたちのあそび場における安全確認や周知であったり、一緒にあそんでいる子どもたちが20人以下の場合、自分以外のグループも見る意識をもってあそぶことが大切となります。

では、4つ目の『子ども同士をつなげる意識を持つ。』についてですが、放課後児童支援員(補助員)は子ども同士の仲を取り持つ『コネクター』としてのの役割を持っています。
これは単に子どもの仲を取り持つ意味だけではいっていません。
どういうことかというと、皆さんが関わる子どもたちの中には、ポツンとひとりで過ごしている子どもがいるかもしません。ひとりで過ごしている子どもの中には、本当に一人がよくて過ごしている子どももいれば、みんなとあそびたいけどよしてもらう勇気がない子どもも理由は様々です。
ですので、誘う前にはまず、その子どもの心境や背景を把握してから誘うことが必要となります。
本当に一人で過ごすのが好きな子どもにとって『みんなといっしょに遊ぼう!!』という声かけはちょっとストレスになるかもしれません。しかし、同じ集団の中にポツンとおるのも少し違和感があるのではないのでしょうか。このようなお互いがあまり交えそうもないときに使える手法が実はあって、それが『別グループの情報を単に伝える』というものです。
例えば、グループ内で会話をしている時、いつもひとりで過ごしている子の興味を持ってることが話題にあがることがあります。例えば『ポケモン』のことを話していたら、その時に『そういや、あの子ポケモン超好きで詳しかったはずやな〜、ちょっと呼んでもかまへんか?』と振って、つなげることもできますよね。
また私は、自分が所属していた法人が持つ、4ヶ所の児童クラブに大なわを教えたり、応援をしてたので、普段は交わることない子どもたちに、『前こういう学校いったんやけど、〜しててめっちゃおもろかったで〜今度やってみんか?』ということもできます。
このように、『子ども同士をつなげる意識を持つ。』というものには、直接仲間に入れるものもあれば、エピソードを伝えることで、仲間の存在を示しつなげるものもあります。その両方に共通した意識として、放課後児童支援員(補助員)は子どもたちをつなげるコネクターであることを常に意識しておくことが大切です。

最後は『子どもたちの輪が出来たら、徐々に離れ、適宜な声掛け⇒見守りに移る。』についてです。
放課後児童支援員(補助員)をきっかけに子どもたちの輪ができたとしても、それはまだ不安定な集団であったりします。どういうことかというと、支援員(補助員)がいたときは、集団であそべてたにも関わらず、あそんでた支援員(補助員)がいなくなった途端、集団が解散してしまうということがわりと多々見受けられます。それはあくまで、その支援員(補助員)がきっかけで集まったにすぎず、いっしょにあそんでた子ども同士で交流していなかったということになります。
そのような不安定な集団を子どもたちだけでもあそべる安定した集団にするためには、子どもたちの状況をみながら支援員(補助員)が徐々に離れていくことが必要です。ある程度いっしょにあそんだら、プレイヤーから審判に移ります。そして、何度かやった後、子ども同士であそびを回しだしたらそのグループを離れ見守ります。
うまく行けばその形で移行する形になりますが、ちょっとしたトラブルやグダグダ感が出てきてると感じたら、適宜、プレイヤーに戻るなり、審判に戻るなりしていきましょう。

このように、子どもたちのあそびの一員となるときには5つの心掛けが大切となります。ただ、一緒にあそぶだけでなく、あそびながらも子どもたちが成長できるようアプローチすることが大切なことと言えるでしょう。

今回もご覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?