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秋の訪れ

「あれ、なんか太った?」

自粛期間があけ、久々に会う人々は口を揃えて僕に言う。


たしかに太ったかもしれない。

いや、確実に太った。

正月に72キロくらいだった体重が、いまは80キロ目前だ。

そりゃあ見た目にも変化が出て当然だ。


「まあ、太ったけど、適正体重くらいだよ(笑)」

僕はそこで笑顔を崩さずに謎の強がりを見せる。

自分が太ったということ(自身の怠惰)を認めたくないからだ。


ちなみに自慢ではないが、僕は身長が高い。(もちろん自慢だ!)

さらに痩せ型で脂肪が少ないこともあり、今まで腹は6つくらいに割れているのがデフォルトだった。6パックだ。

もちろん今も腹は割れているが、横にだ。2パックだ。

とてもじゃないが人前に晒せない。

海が大好きな僕も、今年ばかりは夏遊び自粛ムードに感謝した。



もちろん、太った理由は明確だった。

「全然動かないのに、たくさん食べるから」である。

無印良品くらいシンプルな答えだ。


学生時代から、汗をかく運動を続けてきた。

2年前までは、社会人バスケに週イチで参加していた。

2年前の転職を機に電車通勤になり、1駅前で降りて、適度なウォーキング程度の運動は持続していた。


しかし、今年の春から在宅勤務が始まった。

なんか外で運動するのも気がひける空気感だった。

家での時間は仕事と食事で過ごすという生活が始まった。

おうち時間の映画鑑賞に合う美味しいお菓子もたくさん見つけた。

痩せ型という特異体質がただのカロリーに負けるのに、

そう時間はかからなかった。


そして、自粛期間があけ、僕がまず向かった場所は、、、

「二郎系ラーメン」だった。

美味しかった。

今思えば、ここで何かが終わってしまっていたような気がする。

そこからの体重の増加はすごかったと思う。(怖くて測ってはいない)

急成長スタートアップもびっくりの昨対比を叩き出していたはずだ。




家にこもっていると、暗い気持ちになることがある。

それは自粛期間が嫌だからではない。

「自粛期間を言い訳にしている自分が嫌だから」だ。


僕は、自分の怠惰を自粛ムードのせいにしていたのだ。


人のせいにするのは、もうやめにしよう

(ぺこぱ風)




夏を感じる機会も少ないまま、「秋の訪れ」というワードを耳にした。

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋… 色々あるが、

「今年は挑戦の秋にしてみよう」

そんなことを思い、この文章を書きながら、

ソファで寝転び、大好きなパイの実を一箱食べきっていた。


今年も食欲の秋が訪れる。


━━━短編集「四季の風」より抜粋

(もちろんウソです)



貴重なお時間を奪ってしまいすみませんでした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます(土下座)

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