詩7/ 種火

小さく細い蝋燭に
灯る小さな火がひとつ
ため息だけでも揺れ動く
今にも消えそうなひ弱な光

でも
消してはいけない

紙屑に燃え移り
部屋に燃え移り
大きな屋敷を焼き払い
街中飲み込むその日まで

消してはいけない

目が潰れるほどのかがやきで
空を焦がすほどのほむらで
轟音と共に世界を燃やすその日まで

消してはいけない
消えてはいけない

いつか必ず訪れるその時まで
お前の両の手のひらで包んで守り抜け



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