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【学級通信】(高校3年:第131号)受験できるという幸せ

2019-10-20

「二月の勝者」という漫画を知っていますか?この漫画は、中学受験を目指している子供たちと、それに関わる家族、塾の物語です。一昔前のドラゴン桜的な感じかもしれません。

音楽科のK先生からお借りして5巻まで一気に読みました。なかなか勉強になります。小学生が塾でどういう状況なのか、中学受験を目指す塾はどういう風に経営しているのかなど、高校で先生をしていても実は知らない…ってことを教えてくれます。私の中での中学受験塾は、受験のときに同じ格好をして集団で応援しにくるイメージです。特に●●●の白いベンチコートの集団は印象に残っています。私は前任校が中高一貫校だったので、入試のときは応援の人たちの整列で必死でした。「敷地に入らないでくださ~い」って注意しても入ってくる塾関係者たちとの戦いを経験すると、

(まあこの人たちも必死だし、子どもたちはもっと必死なんだよな~)

と考えさせられます。

漫画は、大手塾から引き抜かれた校舎長が

「君たちが合格できたのは、父親の経済力と母親の狂気」

と子供たちに言うシーンから始まります。なかなか衝撃的な台詞ですが、まあそうなんですよね。塾に行かずにご三家(開成、武蔵、麻布)に受かるわけもなく、お金をかなりかけなければ届かないのが受験の現状です。具体的な金額の話も出てきます。6年生の一年間で150万くらいかかると書いてありました。コンパクトカーくらいなら新車買えます。

お金をかけなければスタートラインに乗れないのに、お金をかけても受からないのが中学受験…本当に厳しい世界です。その点、大学受験はいいですよね。センター試験は教科書を逸脱しないし、学校の先生も質問対応してくれるし、大学受験のテキストなんていくらでも売っているし、赤本だって学校で貸し出ししていますし、塾に行かずとも勉強できる環境がいくらでもあります。

さらに、高校受験と違って(基本的に)内申点など存在しませんから、実力一発勝負という点では公平性が保たれていると思います。漫画の中でも

「高校受験?大っ嫌いです。だって同じ学力の子が並んでたら、より「先生に好かれた生徒」の方が有利なんですよ?かたや、中学受験。「本番のテストで点数をクリアさえすれば合格できる」明快で気持ちいいですね。私は中学受験が大好きです。」

なんて台詞も出てきます。中学受験も、大学受験に似ています。まあ最近ではこの一発勝負ではなく、その人の内面や、成長プロセスも評価しようという流れで、ポートフォリオや達成度テストなどの導入も始まろうとしています。

漫画には

「中学受験は、大学入学への特急券です。塾はそこへ確実に行き着くための指定席」

だと書いてありました。そこに乗らないで公立高校へ行った場合、いわゆるMARCH以上に勝負できる学校は、上位1/4くらいかと思います。この中に本校は入っています。入っているからMARCH以上に受かるというわけではありません。けど勝負できる(受かるかどうか半々くらい)ところまでには行き着けます。さらにはその上の早慶上智にも届く子は届きます。

漫画を読んで強く感じたのは、公立高校に来て、大学受験を目指している皆さんは幸せだなということです。中高一貫の大学付属に行くわけでもなく、公立高校でストレスなく生きてきて、最後に大学受験に勝負させてもらえ、しかも難関校へすら挑戦できるのですから、これを幸せと言わず何と言えばいいのか。

今、受験で辛い時期かもしれませんが、そこを乗り越えて、勝負するところまで行き着いてください。一般受験でも、AOや公募でも、今やっていることに全力で集中です。自分が選んだ進路を目指せる、その中に大学受験が入っているということは、本来、とてつもなく幸せなことなのですから。目指せる幸せを感じつつ、希望を叶える幸せを掴んでください。

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