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楽曲紹介: 仁義なきGenocide

仁義あるジェノサイドがあってたまるか。
遊戯王の背景ストーリーをモチーフにした144BPMのニュースタイルガバで、重心の低い重厚なキックとどこか異国じみたメロディが特徴である。

物語的なこと

 遊戯王OCG, 烙印ストーリーより《氷水浸蝕》から《氷水呪縛》までをモチーフとしている。この場で元ネタについて詳細に説明することはしないので、興味のある人は公式書籍を読んでほしい。

 ここでは、モチーフにしたカードとそれをどう音楽に落とし込んだかを書いていく。元ネタがわかる人でないと楽しめないかもしれない。

氷水浸蝕

イントロのチェロは龍淵、チェレスタは対峙する氷水たちをイメージしている。凶劇に唆されて覚悟を決めたはずがこれから手にかける氷水たちを目の前にして躊躇する龍淵(妄想)と普段は優しい龍淵(妄想)のただならぬ雰囲気に緊迫する氷水たちを表現している。「異国情緒」のために変則的な音階を採用したのだが、それが緊迫感の表現にもなっていると思う。詳細は技術的なことの項にて。

 本性を表した龍淵を前に成す術なく散っていく氷水たち。混沌を極める氷水底に、赫の少年が降り立つ。

烙印の使徒

中盤のパイプオルガンは降り立ったアルベルをイメージしている。実際の時系列では後述の《憶念の相剣》が先になるようだが、承影とコスモクロアに致命傷を与えたのがアルベルなので本格的な戦闘はこれ以降になると解釈した。アルベルは霊峰の外のモノなので、変則的な音階で表現した龍淵に対して普通の短調でメロディを作った。

 竜に姿を変えるアルベル。相剣の長も駆けつけ、氷水を守るための最後の戦いが始まる。

憶念の相剣

公式の画像が見つからなかったので龍淵に立ち向かう2人で。3連シンセリードとガバキックで戦いの激しさを表現。裏でフィルターを絞ってアルペジオを鳴らしているシンセは氷水の力を表現している。メロディがフィルターでフェードアウトするように終わるのは、龍淵に止めを刺せず一時的に撃退したに過ぎないことを表現している。

 勝者なき戦い。

氷水呪縛

最後のチェレスタの音程が狂っていくのは、コスモクロアの体が崩れ落ちていくのを表現している。

技術的なこと

メロディ編

 相剣のモチーフが中国の伝説なので、中国の音階を使おうと思っていたのだが、いくつか試してみたものの作りたいものとは違った。そこで、昔耳コピしたポケモン金銀の曲を参考に和風の音階を使ってみることにした。

ミファラシドミ

調べたところ、都節音階という名前があるらしい。僕は37抜きフリジアンとして解釈してフレーズを作った。フリジアンと比較すると、上下隣が全音間隔のソとレが抜けたことにより半音の移動が増えてより妖しげな雰囲気になっている。3rdがないことで長短の区別が希薄になっているのも民族音階らしくて好み。
アルベルパートは対象的に西洋らしさ全開のAマイナー。個人的にドラグマはチェンバロ、デスピアはパイプオルガンのイメージ。

サウンド編: リード


Soundgoodizer はサブリードと統合してから

リードは Massive 。 Dimension Expander でお手軽に空間を埋められて好き。最初は無難な SuperSaw 系の音色でメロディを書いたのだが、妖しさが足りなかったので変なFM変調を入れたらいい感じになった。フィルターを絞ると呻き声のようにも聞こえる。これだけだと骨のない音なので、純粋な鋸波のオクターブ下に三角波と正弦波を重ねただけのサブリードとレイヤーし、一体感を出すために Soundgoodizer をかけている。
ADSR とヴォイシングをいじっただけでパッドにも流用している。

サウンド編: キック

EQ - EQ - オーバードライブ -
他のキックと統合してから Frequency Splitter - Soundgoodizer

キックは Microtonic 。EQ の前にほんのりディストーションをかけることでエフェクトの乗りがよくなる(気がする)。超低域 & 超高域のカット、レゾナンスをかけつつ低域を更にカット、全振りオーバードライブでメインのキックの音を作る。他にはアタック担当のドラムマシンっぽいキック、広域担当の金属っぽいキック、低域担当の 808 っぽいキックを用意。他のキックと統合してから重心を落とすための Frequency Splitter , コンプ感覚で Soundgoodizer 。重厚なキックに仕上がったと思う。

おわりに

 記憶を振り返りながら楽曲紹介を書くのは中々大変だった。次からはある程度文章にすることも意識しながら作曲していきたい。

 記事のヘッダーにジャケットを使おうと思ったらエラーを吐かれた。謎。


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