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楽曲紹介: 氷剣纏いし復讐姫

 難産だった。前回と同じく遊戯王のストーリーをモチーフとした曲で、悲しみと怒りを表現した静かなピアノの旋律に、暴力的なブレイクビーツと邪悪なシンセベースを乗せたBPM173のドリルンベース(ドラムンベース)である。

物語的なこと

 遊戯王OCG, 烙印ストーリーより《氷水大剣現》をモチーフとしている。

氷水大剣現

 前回は龍淵(イラスト奥側)の裏切りから氷水の虐殺、撃退までを音楽にしたが、今回は復活した龍淵とエジルギュミル(イラスト手前上側)たちの戦闘をイメージして作った。ストーリーの本筋ではないためか戦闘の描写がこの1枚しかなく(後日譚的なカードは後に登場することになるが)、想像で補わなければならないところが多かったのが難産の理由である。
 冒頭などの映画音楽風な効果音は氷の刃を矢のように飛ばして攻撃する音。ピアノの逆再生音は透き通った氷。ピアノ・ドラム・ベース(+SE)と最低限の構成なのは家族を皆殺しにされたエジルの孤独。
 メロディやコードについては技術的なことの項に譲る。

技術的なこと

メロディ・コード編

激しい方。わかりやすいようにトップとルートのみ抜き出している。最後2小節は倚和音

 メロディについては、深い悲しみと絶望を表現するために、できるだけ小節の頭でルートとトップが長3度にならないように書いた。明るい響きを排除すると同時に、2度や7度などの複雑な響きが増えて少し大人っぽい仕上がりになった。

落ち着いた方。小節頭が長3度になるのはおそらくこのフレーズの2小節目だけ

 コードについては、今まであまり意識して書くことがなく、メロディに合う和音を当てるだけのことも多かったのだが、今回は感情の起伏を表現するために少しこだわってみた。落ち着いたところではルートが順次下降していく弱進行、激しいところでは強進行オンリーの反復進行と、メリハリを意識した。ピアノの左手がほとんど単音なので分かりづらいかもしれないが、 ベースに集中して聴くと面白いかもしれない。

サウンド編: ベース

Massive - OTT - サブベースと統合してSoundgoodizer

 ピアノについては語ることもないし、ブレイクビーツについて語ろうとすると素材選びの話からになるので今回はベースだけ。と言っても前回のリードとほとんど同じである。
 シンセはまたMassiveで、今回は素直なSuperSawに少しだけFM系のギラつきを混ぜてみた。画像では見えないが、EQで高音域を上げて低音域をカットしている。
 OTTで迫力を出しつつ更に低音を削り、サイン波のサブベースと統合してSoundgoodizerで一体感を出している。存在感のある邪悪なサウンドに仕上がったと思う。

おわりに

 前回はストーリーの流れがあったので、それに合わせた表現をすればよかったのでそれほど苦労しなかったのだが、今回は大変であった。終わってみれば満足の行く仕上がりになったし、得るものも多かった。情景をイメージしながら聴いて、楽しんでいただけたら幸いである。

余談

 10/29(日)に開催される遊戯王OCGオンリーの同人イベント、「強欲で謙虚なイベント TURN14」に参加申込をした。受付開始に乗り遅れてしまい抽選となってしまったが、ツイートの通り氷水モチーフの曲のアルバムを作り、受かったら頒布しようと思っている。詳細は未定だが、10曲収録で今回や前回のようなクラブミュージック系の他にオーケストラを使ったサウンドトラック風の曲を作れたらと考えている。乞うご期待。


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