『相棒と私』第1回

 私は6歳ごろから父親の影響で、武道を始めた。(種類については、地名などがバレる恐れがあるため、伏せます。武道協会に属する種目をやっています。)
 いや、ほとんど強制的だったといってもよい。やらない選択肢が最初からなかった気がする。しかし、実のところはあまり記憶にないのだ。
 父親の長年通っている道場にある日連れていかれ、道院長から「なぜ、入門したい?どうして強くなりたい?」などの簡単な面接をする。
 入りたい子ども全員が入れるわけではなかったようだ。
 

 道院長からの質問に答えている時に、私のとなりで同じように練習を見学しながら、逆立ちしたり、走り回ったりと、見るからに運動神経のよさげな同い年位の子どもがいた。この子どもこそ、後に私の相棒になる……

 訳ではなかった。相棒との出会いは、なかなかドライなもの。
 私が中学生の時、演武大会に出されることになった。演武大会は基本的に相手を必要としているため、私はだれかと組む必要があった。その時組み始めたのが、後に相棒になるヤツだった。
 それまでは全く話したこともなかった。あろうことか、そんなヤツが道院にいることすら知らなかった。
 私の最初の記憶は、ヤツが先生の前に正座して、「大会初めてなので緊張しますね」なんてニヤけながら話しているところだった。
 正直、「なんか変な奴いるな」と思った。

 コンビを組み始めて、お互いが同い年だということが分かった。中学生だった私たちにとって、同い年とさえわかれば、打ち解けるのに時間は必要ない。すぐに仲良くなった。

 コンビを組み始めて最初に感じたことは、お互いの性格の違いだった。
 相棒は真面目なタイプで、私は不真面目でマイペース。なので、お互いの学校の話が真逆なのだ。
 私の中学校はとても男女の仲が良く、特に私は女子からほとんど女子扱いを受けていた。なので、女子と話しながらの目の前でパンツ一丁になって体操着に着替えても何も言われないし、逆に女子にパンツの色聞いても普通に答えてくれるぐらいだった。だから男女で遊びにも行くし、とても壁の少ない環境だった。(下ネタを言いすぎてあだ名がエロになった時はある。)
 対する相棒の学校は、男女の関係が少しシビアだった。なので、男女で別のグループを作っていたらしい。
 なので、私の学校の話を相棒にすると、毎回本気で驚かれる。この頃から私に対する「とにかく変な奴」という印象は作られた。
 また逆に、私は相棒の事を「なんだか面白みのない真面目な奴だな」と思っていた。

それから10年近くたった今、お互いの印象は変化した。
私→相棒「隠れたサイコパス」
相棒→私「やばくてちゃんとした人」(ずっと一緒にいすぎて私のヤバさに慣れたと、本人は語っている。)

 こうやって、相棒と私のデコボココンビは始まったのだ。

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