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平成かちかち山

(注:小泉政権下から2009年頃の自民党政権崩壊騒ぎの頃にふと書いてみた物です)

昔々、平成と言われた世に「獅子のたてがみを持った小さな泉に住む殿様」が日本を治めた時代があった。この小さな泉の殿様、美人フィギュアスケート金メダリストと「歌舞伎鑑賞」などと称してデートを楽しんだり、戦勝国の王を訪ねては、かの国の有名歌手の生家を訪問するなど親子二代に渡るパフォーマンスの得意な事この上なく、政治の手腕はさておいて、庶民の人気を博すことこの上なかった。

ところがこの殿様、事もあろうにご自分の主催する社中を「ぶっ壊す!」と物騒な事をのたもうたかと思えば、本当にその屋台骨をぶっ壊しておしまいになった上、その屋台が崩れる前にご自分はさっさととび降りになり、何食わぬ顔でどこかにお隠れになってしまわれた。

さて、後に残される、全く顔も性質も異なる「三たぬき兄弟」、しかたなく三人で、傾き掛けた社中のやぐらを必死になって支えておられた。

長男は、「あべの狸殿」と申し、獅子の殿様から授かった「たきぎ」を勢いよく背負ったのはかっこ良かったが、獅子の殿さまが密かに火を放っておられたのに全く御気づきにはなられず、「あっ」と気がついた時にはすでに火の回り激しく、もはや手の施しようもないまま、ついには大やけどを負われ、あえなくお倒れになっておしまいになられた。

後を任された次男の「福だヌキ殿」、再起不能になった長男殿の後を任されたが、はなから気が乗らず、最初から最後まで前任者どもの不始末に回りに頭を下げっぱなしのまま、果ては「元々乗り気じゃなかった」などとのたもうたかと思えばついに逃げ出してしまわれた。

さてさて最後に残されたのは末の弟「あ~そうだヌキ殿」、最初から口をへの字に結んだまま、何をするのかしないのかまったくお答えになられず、果ては周囲の反対を押し切っていちかばちかの大博打を打ってはみたものの、あまりの間合いの悪さに、ついには獅子の殿様に屋台骨をぶっ壊されたやぐらは、支える者もなくなり大音響と共に倒れてしまった。慌てた「あ~そうだヌキ殿」、急ごしらえの泥舟に乗って逃げようとすれどもあっという間にひびが入って沼の底に沈んでおしまいになられた。

--------その顛末を遠巻きに眺めておられた「小さな沢に住むヌシ殿」は、かつて「獅子殿」がぶっ壊した社中にすんでおった方であるが、ご自分は世間に顔向けがお出来にならず、「鳩の山に移り住んだ自称宇宙人と称する月のウサギ殿」を担ぎ出し、ここぞとばかりに月のウサギ殿の母親が隠し持っていたお宝と、「小さな沢のヌシ殿」が不正備蓄した資金で豪華な船をあつらえ、めでたく船出とあいなった。

ところがこのウサギ殿、船のあやつり方を全くご存知なかった為、金にまかせて船頭を数多く雇い入れたは良かったが、この船頭ども、ウサギ殿の言うことを全く聞かず、さらにはウサギ殿を操ろうとする始末、果てはめいめい勝手な方に漕ぎ出したため、船は全く進ます、ただただおなじ所をくるくる回るばかりであった。このウサギ殿もご自身の手下の不手際により、ただただ頭をお下げになるばかりで全く事が進ます、挙句の果てに「田の中に映る月の女神様」より「おまえは宇宙人でも月の者でもない、ただのずれた地球人である!」とのお墨付きをいただく事となった。

そうこうしているうちに、先に獅子の殿様にぶっ壊されたやぐらのがれきの下から息も絶え絶えに這い出してきた社中の面々、「月のウサギ殿」の社中の混乱を尻目に、着々と挽回の機会を狙っておるのである。

この話、まだまだ続く、、、、


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