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タイトル:星降る夜に願うこと

タイトル:星降る夜に願うこと

#創作大賞2024 #短編小説

都会の喧騒から離れた小さな海辺の町。星が綺麗に見えることで有名なこの場所で、私は生まれ育った。

幼い頃から、夜空を見上げるのが好きだった。都会のようにネオンサインや街灯の光に邪魔されることなく、無数の星々が空一面に広がる光景は、私の心をいつも安らぎで満たしてくれた。

特に好きなのは、毎年8月に訪れるペルセウス座流星群。それは、まるで星々が一斉に地上に向かって降り注ぐかのような、息を呑むほど美しい光景だった。

そんな流星群を見るたびに、私はある願い事をしていた。それは、私の大好きなこの町が、いつまでも変わらずに美しいままであってほしいという願い。

しかし、大人になるにつれて、私は現実に直面することになった。観光客の増加によるゴミ問題、開発による自然破壊。私の大好きな町は、少しずつその輝きを失いつつあった。

それでも、私は諦めなかった。町の清掃活動に参加したり、環境保護に関する署名活動を行ったり、自分にできることを精一杯やった。

そして迎えた今年のペルセウス座流星群。私は、いつものように夜空を見上げ、願い事をした。

「どうか、この町が、いつまでも星が綺麗に見える場所でありますように」

すると、次の瞬間、私の目に飛び込んできたのは、今まで見たこともないほどの、まばゆい光を放つ流星だった。それは、まるで私の願いに答えるかのように、夜空を大きく横切り、ゆっくりと消えていった。

その光景を見て、私は涙が止まらなかった。それは、悲しみの涙ではなく、希望に満ちた涙だった。

私は確信した。この町は、きっとこれからも美しいままであり続けるだろうと。そして、私もまた、この町のためにできることを続けていこうと。

星降る夜に願うこと。それは、私の心の中で永遠に輝き続ける、小さな希望の光。

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