触覚

 週末の夜はいつも遊んでいる。知らない人に声をかけることもあれば、いつもの子を呼ぶこともある。誰かから求められる自分に酔いしれる。今日は誰にしようか。相手は、遊びだと割り切って居たり、盲目になっているバカだったり。どちらにせよ、欲求を満たせればそれで良い。

 最近つくった新しい相手は、顔はそこそこで体は完璧な、「ちょうどいい」子。本当に心酔していることが、素直な反応から伝わってくる。人生が狂うかもしれないのに、そのままの快感を愉しんでいる。将来、三人には成ることはないのに。

 絶対に独り占めなどできないのに、一心不乱に僕と踊る。そんなに身を賭してどうするのか。
 僕は、まるで君が必要かのように魅せる。混ざり合った味、甘い言葉、絡める視線、撫でる指先、肌の香り、、五感全てで。

 全く会わない子は一、二ヶ月会わないが、この子とは週二回は顔を合わせてる。とは言え、当たり前に、君が居なくなることへの寂しさはないはずだ。
 代わりなどいくらでも居るし、見つけられる。騙しているうちに、求めるようになる。飽きたら捨てるだけ。

 ……最後にちゃんと愛した記憶は霧中。

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 あなたの肌に触れていたいの、夜の果て迄。必死に、あなたを記憶するように、全身をなぞる。今までで一番、あたしを大切にしてくれる人だから、いつでも思い出せるようにしたい。
 でも、愛を確かめ合う時間なはずなのに、あたしたちはこの時間しか愛を形にできない。二人でひとつに成って、愛を乞うている。

 素肌で、直接、何も介さず、愛する人の全てを感じる。そんな時間が愛しい、今を感じていたい。この人生ゲームが如何転ぶかわからないけど、何回でもサイコロを振るの。「いい目」が出たら、逃がさない、絶対に。いや、「いい目」が出るまで辞めない。

 別で例えるなら、狙撃。あなたのそれが空砲になっても、そのまま撃ち続けさせる。もう無理なんて言わないよね?その条件反射の引き金を引いて、それが命中するまで、ずっと。

 あなたは寂しさを認めない。でも、あたしが居なくなったら、きっと耐えられない。互いに求めているから快感に浸っているんだよ?あなたが枯れてしまっても、あたしの愛は渇かない。夜が明けてもずっと一緒に居て。

 あたしはずっと夢中。夢というプールで溺れているけど、プールサイドに上がりたいのか、このまま沈んで行くのか。どうしたいのかは曖昧なまま、答を識らない振りをして、覆い被さっているあなたを包み、快楽に堕ちて行く。あたしを何度でも快楽へ誘って。

 ……

 これらが嘘ならば、正しい愛ならばいいのに。

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