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萩原利久という俳優の目に引き込まれてしまった話



急転直下とは、まさにあの瞬間のことを言うのだと思う。

Netflixで『左様なら今晩は』という作品を観終えたとき、私はまんまと萩原利久のファンになった。

それは、さながら一目惚れのようなものだったのかもしれないし、はたまた降伏のようなものだったようにも思う。
とある春の日の深夜、私は萩原利久さんに白旗を上げた。


目で演じられる人、そして優しさにも狂気にも振り切れる人が大好きで、萩原利久という俳優はその私の好みにモロどストライクだった。

狂気的な表現力と、少ない言葉でも感情が伝わってくる、丁寧で繊細な表情を作れる器用さ。その姿を見たらもう逃げられなかった。

私は『好き』を言語化しなければ気が済まない性格なので、今回は、なぜ私が萩原利久を好きになったのかについて書いていきたいと思う。




まず、萩原利久さんとの出会いについて書いておきたい。
私が彼を知ったのは、王道すぎて恥ずかしいまであるが、『美しい彼』という作品である。


『おっさんずラブ』に激ハマりし、余韻に浸っていた私は、まだまだBL作品を見たくなり、友達がおすすめしていた『美しい彼』へ何の気無しに手を伸ばした。


……軽率に見たのを後悔するくらい、とんでもない作品だった。


『美しい彼』とはMBSで放送された深夜ドラマで、シーズン2、そして映画化もされた大人気作品だ。利久くんとFANTASTICSの八木勇征くんがW主演を務めている。

吃音症でクラスの最底辺にいる平良(萩原利久)が、クラスの"キング"である清居(八木勇征)に恋をしていく物語。…といっても、単なる恋物語ではない。平良の抱く感情は、恋と一言では括れないような、いわば狂愛である。清居の全てを肯定する平良は、気持ち悪くて、重くて、それでいてピュアな人間だ。

利久くんは、この難しい平良という役を、まるで実在しているかのようにリアルに演じる。

シーズン1は特に平良の台詞は多くはない。モノローグに表情だけで演技をしていくのだが、萩原利久の演じる平良は、とにかく生々しいのである。
BL作品はあくまでもファンタジーで、平良は特に実在しなさそうな二次元的なキャラクターなのに、利久くんが演じると途端に人物として立体的に浮かび上がってくる。

モノローグの穏やかながらも刺々しさを孕んだ声に、目だけで愛情を表現してしまう表情。

「ああ。この人は、死んでも構わないくらい清居のことが好きなんだな」と一瞬で分かる顔をしている。

1話見るだけで一気に作品に引き込まれてしまう。その凄まじい引力は、後退りしそうになるくらいに強く、私はあっという間に『美しい彼』という作品にのめり込んだ。

ただこのときは、「萩原利久さんってスゲ〜俳優だな…」と思うにとどまった。

私は俳優さんうんぬんより、『美しい彼』という作品自体に夢中になったのだ。

この作品は、単なる萌えで盛り上がるものではなく、丁寧な心理描写と細部までこだわり抜かれた映像美が特徴的である。
夢中でシーズン2、そして映画版まで見て、脳みそはどろどろに溶けた。
私はこういう実写版BL作品を待っていたんだ…と思うくらい、大好きになった。



そして、何度か美しい彼をループする日々を経て、とある深夜にふと「萩原利久くんが出てる別の作品も見てみるか」と思い立つ。
そこで何気なくNetflixでクリックしたのが、冒頭に書いた『左様なら今晩は』である。


これは、彼女と別れた陽平(萩原利久)が、幽霊の愛助(久保史緒里)と過ごす日々を描いた映画だ。

映画冒頭の陽平は、別れて部屋を出ていく彼女の荷造りを手伝わずにタバコをふかしたり、彼女にヘラヘラと「ごめんね」と言ったりするようなクズっぽいやつだ。しかし根っこはピュアな人間である陽平が、愛助にその純粋な愛情を注いでいくようになる姿が描かれている。

恋愛とは言い切れないような特異な2人の関係性を、利久くんと久保ちゃんは見事に演じきっている。

この作品を見終えた瞬間、私は萩原利久という俳優の虜になってしまった。

今思うと、陽平のクズっぽさと根のピュアな部分や無邪気な笑い方とのギャップ、様々なシーンの丁寧な表現や、脚本と演出の妙に引き込まれたのだと冷静に考えられるが、このときは全身を雷で打たれたように衝撃を受け、呆気に取られるばかりだった。
あまりにも萩原利久がぶち刺さってしまい、私はすっかり動けなくなった。
珍しく眠れなくて、朝5時くらいまで起きていた。


これまでにも、作品を見て役者を好きになったことはある。しかし、俳優さんそのものを好きというよりも、特定の役柄を好きになったから他の作品も見てみるか…と気になってたまに作品を見る、という感じだった。

ただ、萩原利久さんは、役をぶっ飛ばして「俳優」として刺さった。
大好きな感情の出力をする人で、とにかくいろいろな作品を見たいと思った。

そこから『月読くんの禁断お夜食』や『めぐる未来』『3年A組』『たとえあなたを忘れても』『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』『電影少女』『信長公記』『鈍色の箱の中で』『おとななじみ』などを見漁る日々が始まる。

これだけの視聴で彼の魅力を語るには材料が少なく、また私が読解力不足であるということは重々承知しているが、現在私が抱く萩原利久という俳優の魅力について少しだけ書いていきたい。


個人的に利久くんは、「暗い」「心の奥底に抱えているものがある」「それが良い悪いはさておき、とにかく純粋」みたいな役が特に似合うなと思った。
そういう役がやけに多いのは、多分意図しているわけではないとは思うが、彼の得意分野だからだと思う。

目の奥の光を消せるから暗い役がリアルに映るし、感情のメーターを振り切ることができるから狂気的な役でも違和感がない。

天才的な表現力を持っている人だと思う。
凄まじいパワーに圧倒されっぱなしだった。

作品を見るだけでは飽き足らず、私はYouTubeの動画やインスタを見漁り、インタビュー記事も読みまくった。

こんなものだけで理解できるはずもないのだが、少しでも彼の思考回路を知りたいという激キモ感情を抱きながら無我夢中で読んでいると、
"趣味に真っ直ぐ"
&
"かなりいろんな人から『少年』『5歳児』『ピュア』などと言われている"

ことが分かってきた。
とにかく少年のように無邪気であるらしい。

ここで、「な、なるほど〜!?」となるのである。

利久くんは、突飛な行動をする役でも「まあコイツピュアだしな…」と納得させる不思議な力を持っている。
彼が演じる役に純粋さを感じる一つの要因は、彼自身が持つ要素にあるんじゃないか?と思った。

もちろん彼の、努力の末の演技による賜物だというのは大前提として、滲み出る素の少年っぽさが、役柄にエッセンスを加えているのではないかと勝手に思っている。

あと、ほんのり危うさが感じられるのは、もしかしたら彼が『5歳児』などと呼ばれていることにも繋がっているのかも…しれないし、繋がっていないのかもしれない。

……すんません分かったような気になっているやつと思われたくなくてこんな曖昧な書き方をしてます(逃げ)。


でも、単に感覚派の天才というわけでもなくて、役についてのインタビューを読んでいると、割と理論派であることも見て取れる。
もちろんどんな俳優さんも計算して演じているのは当たり前なのだが、特に演じ方について細やかに考えている人なのかもしれないと思った。

どこで読んだインタビューだったか忘れてしまい申し訳ないのだが、"セリフの一つひとつにクエスチョンマークをつけて準備した上で、現場では全部ゼロにして臨む"というようなことが書いてあって納得した。
作品を見ながら、感情の目盛りの微量な変化がすごく伝わってくるな…と思った原因の一つはきっとそこにある。

それは『美しい彼』のビジュアルブックでの原作者である凪良ゆう先生と監督の酒井さんの対談でも感じたことで、(詳しくはぜひ手にとって読んで欲しいのだが)、凪良先生が彼は理論派ですよねと仰ったあとに、酒井監督が「とりあえずやってみます」のエピソードを話していたところに私の考える萩原利久像が詰まっていた。

理論立てて考えながらも、研ぎ澄まされた感覚も持ち合わせている。
偏りが少ないから安定したお芝居が出来る、才能と努力の人。
私は利久くんのことを、勝手に理論的な感覚派の役者なのかなと思っている。

だからこそ、彼の演技は頭でっかちじゃないし、安定している。

利久くんは作品の一部にすんなりと溶け込んでしまって、我々は気づいたらそのキャラクターに引き込まれている。
その役者としての在り方に、私はすっかり惚れてしまったのだ。



あと、役者としてだけでなく演技以外で見せてくれる姿も大好きになってしまった。そこは嬉しい誤算だった。

カッコつけずに話すし、結構お喋りだし、ポジティブなところに惚れた。あと多分ちょっと変な人なんだろうなという気がしていて、そこも好き。(私はラジオで惜しみなく絶叫できる人が好きなので、ゆせりくANNでオカレモンの共演に触れて「岡村さぁぁぁん!」と叫んだ利久くんの声を聞いて、あまりにも大好きなタイプの人だ…と震えた)

バスケやサッカー、玉置浩二さんをとことん愛しているところも、真っ直ぐで好き。
好きなものを好きと言える人はいつだってカッコいい。  

いくつか私のお気に入り動画を貼り付けておく(^^)

↑最も好きなスタイリング

↑かわいい。手が好きだ。 

↑実はKANA-BOONのMVにも出ている




ただ同時に、悔しさを感じる時もある。
私は、実は利久くんと同じ学年で、彼と同じ季節の巡りで成長しているにも関わらず、現状がこんなにも違うのかと愕然とする。

利久くんは幼少期から子役として働いていて、今や主役として作品の看板も張っている。

それに比べて、私はなんてちっぽけな生き方をしているんだろう…とたまに凹む。

年上なら「まあ私より長く生きてるし…」と諦めがつくし、年下なら「若いのにすごいね」と素直に尊敬できるのだが、同い年だと何も言い訳ができない。


だからこそ、利久くんに胸を張れる人間になりたいなと思う。
到底追いつけないし、ひたすら追いかけるだけの日々だけど、いつか胸を張れるようなことが一つでも果たせるように、いま自分のやるべきことを頑張りたいな〜なんて思う。

利久くんの姿にパワーをもらいながら、これからも楽しく生きたい。
好きって最高だよな!!!

とにもかくにも、萩原利久さんと出会えてよかった!!!!
次の作品も楽しみ!!!!


↑激重の私


あと最後に、もう一度書いておく。

陽平に狂う人間がもっともっと増えますように!!!!!!!!
みんな!『左様なら今晩は』を観よう!!!!!



再度リンクを貼ったところで、おしまい!


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