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外国語には訳せないうつくしい日本の言葉

本の情報(読了日2022/3/1)

書名:外国語には訳せないうつくしい日本の言葉
作者:デュラン・れいこ
出版社: あさ出版
ASIN: B01JADEDLE


この本では、海外生活が長かった作者が日本での生活を通じて日本語の美しさを感じた経験を紹介したものである。

作者の友人である、漫画専門店を経営するフランス人は月に1回東京まで漫画を直接買い付けにいくという。彼はその理由を、漫画が生まれた土地で買うのが一番よいとしている。自分もその意見には同意できる。その土地の雰囲気などを自分の五感で直接味わうことでより深い体験ができると思う。この本で漫画が人気である理由の一つとして、オノマトペは翻訳が不要で漫画のセリフだけ翻訳すればよいとしている。漫画を翻訳するにはとても時間がかかるため、原作をそのまま買って自分で翻訳する方が早いのだ。

また、日本の漫画やアニメでの皆の頑張りによって物語が展開するチームワークの考えは今海外で人気になりつつあるそうだ。作者はその精神の根源を「おかげさま」の精神にあるのではないかと推測している。昔は「おかげさま」を日常のあいさつとし、近所の人や久しぶりに会った人などに対して使っていたものだ。

今、この「おかげさま」という言葉を使う機会がとても少ないと思う。それゆえ、おかげさまの精神を理解することが難しい若者が増えていると感じる。近年核家族化がすすんだため、誰かのおかげで今があると言う実感が沸きづらい。現在の実力主義社会もこの傾向に拍車をかけている気がする。実力あるもののみ生きることを許される社会だ。

日本で日本のよさは認識されず、古いものは悪と断定して捨てているように感じるのは自分だけだろうか。作者も似たようなことを感じているらしい。日本が貧乏だった昭和30年代の方が優秀な人がいたとこの本に書いてある。

あらゆるものが飽和状態になった現代ではもう足りないものはない。だからこそ、足りないものを補充しようというよりは現状を維持さえすればいいという考えに変わったのではないか。日本の若者に元気や覇気がないと言われるのに、納得がいく。

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