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"Toss The Feathers" by Pat Murphy を日本語訳する - 序文

アイルランドの民族ダンスであるセットダンスの教科書的存在、Toss The Feathersを日本語訳しました。Toss The Feathersは60種以上のセットが収められているだけでなく、セットダンスの起源、歴史、ステップの説明などなど、有益な情報に溢れています。ぜひ、みなさまも原文を読んでみてください。

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日本語訳(意訳)

序文

近年、民族ダンスであるセットダンスに対する関心への高まりは最も成功した社会的な発展の一つとして何世代にも渡って影響を与えてきました。

この30年、地元の外で踊ったり知らないセットを踊ることがはほとんどありませんでしたが、今ではあらゆる年齢層、さまざまな社会的背景をもつ非常に多くの人々にとってセットダンスが生活の一部になったことは驚きに値します。

伝統的にセットダンスは地方のものでしたが、今日では都市部でしっかりと定着しています。都会に住む人の多くが地方にそのルーツを持っているという事実がこの定着に関連していることは疑いありません。しかし、それは発展が始まったきっかけの一つでしかありません。社会的相互作用を伴いながら時代を超越するその魅力は、 セットダンスそれ自体が人気を博しているからだと私は考えています。

私自身のセットダンスとの出会いは故郷のティペラリーの実家です。そこではBallycommon Setが踊られていたことをよく覚えています。はっきりとは覚えていませんが、Cashel Setを父のアコーディオン演奏に合わせて踊っていました。父は人生の多くをハウスダンスや演台、四辻ダンスなど、地元での演奏を通して過ごしてきました。時の経過とともに父の人生が豊かになっていたことに疑いはなく、それらの物語は今となっては忘れられてしまった時代の出来事です。

父から演奏を学ぶことで私は父の世界に近づくことができました。それからの数年間、演奏すること、特にダンサーに対して、は私の人生で最大の喜びの一つでした。私の経験ではステップダンサー、特にハードシューズで美しいリズムを打ち鳴らす、にはとても感動しますが、どういう訳かセットダンサーはいつも踊ることからを喜びを感じているようです。

1980年代半ばにダブリンで開催されたジャック・スラッタリーのセットダンス・クラスに初めて参加してすぐに、これが父の過ごしてきた世界だと気付きました。また、セットを覚える最も簡単な方法は、習ったことを自分でメモすることだと気づきました。この方法は、後年、自分でセットを教えるようになってから特に役に立ちました。

その後、コニー・ライアンのクラスやワークショップ、そして他の先生方のクラスにも参加しました。私にとって最も楽しい思い出は、当時のクラスやセッション、アイルランド中を旅したこと。そして、セットが踊られるところならどこでも同じコツを見つけることができたことです。セットの数は無限にあるように思えましたし、ステップやスタイルが異なるいくつもの県のセットを学ぶことはやりがいがありました。

セットに慣れてくると、多くのセットがたまにしか見られないことに気づきました。人気のセットはどこでも踊られていましたが、同じように魅力的なセットが一度踊られた後、忘れ去られているように感じました。

セットを教えるようになってからは、有名なものもたまに踊られるセットも教えようと決めました。何よりにも、私自身が覚えておくために。

この本に収められているセットには比較的知られていないセットも多いですが、時々で良いので学び、踊っていただきたいと願っています。そうでもしないと、いくつかのセットは時間の経過とともに消えてしまうかもしれませんし、私はそうなることを望みません。一度は消えてしまったものも多く、セットが後世の人に伝わるかどうかは私たちの手に委ねられています。もしもこの本に書かれているセットと異なるものをご存知でしたら、ぜひご連絡ください。まだ日の目を見ていないセットを記録し、教えることが私の喜びです。

Murphy, Pat. “Introduction.” Toss The Feather, Mercier Press, 1995, pp. 6-7.

*著者のPat Murphyさんから引用の許可は得ています

Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!