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もうひとりの自分 第7話

私はとうとう学校という場所に行かないまま、18歳を
迎えてしまった。

毎日の食事と宝くじをした結果、約60万あったお金は
とうとう6000円にまで減った。
宝くじは数字選択式、ジャンボなんたらとか削って
当てるものなど様々な種類がありやってみたが、
全滅だった。
結局食費よりギャンブルで底をつく結果となった。

身分証明書というものをまったく持っていない以上、
どうすることもできない。今まで住んでいた空き家も
あるとき買い物から帰ってきたら取り壊されていた。
あの中には布団や今まで大金を使って買った日用品も
置かれていたのだが。

私は再び空き家さがしの旅をせざるを得なくなった。
場所はどこだっていい。するとちょうど今建ったような
真新しい建物を見つけた。新築にしては草木は異常に
生え、窓にはなぜか板が貼られていた。
もう何でもいい。中に入って今日は寝よう。
空き家だが2階建てであり、その部屋に入った。
そこは棚とベッドがポツンとあるだけだった。
窓にはやはり板が貼られていた。当然空き家なので
電気もない。多少ホコリはしていたがそれを落として
ベッドにダイブした。どんな衝撃でもこのベッドは
頑丈だった。アンティーク調の古めのものだけど、
なかなかいい。おまけにフカフカの布団まである。
本当に空き家か?誰かまだ生活しているだろ?
そう思っていると自然とグッスリ眠った。

さて夢の中の私は現実同様18歳を迎えていた。結局
高校受験はすべて落ち、家族からの私への扱いがさら
にひどくなった。それどころか両親の関係も悪化。
中学生となった妹は今遠い場所の学校に通っていて
親戚の家にお世話となっている。両親に言われたのか
知らないが、どうやら妹は親戚には自分は一人っ子
と言っている。影が薄く生まれてから何一ついいこと
がなかった私にはそれがちょうどいい対応だろう。
私はこっそり親の通帳でお金を取っている。そのお金
で家に帰らずフラフラと街を歩き、いろんなものを
食べている。
いつごろ貯めたか知らないが通帳には6年前に記載した
のを最後に途絶えていた。しかしながらなかなかの
大金。これってまさか年金用とか万一の保険とかでは
ないだろうか?それにしてもゴミみたいにいろんな
レシートだの何かの紙切れだのチラシだの乱雑して
いる棚の中身に通帳はあったので問題はないと思う。

さて市営バスに乗った。目的地は決まっていない。
やがて適当に「止まります」ボタンを押しどこだか
知らない場所にバスは停車した。私は運賃箱にお金を
入れて降りた瞬間、バスの運転手に止められた。
「お客さん、うんちんは?うんちん」
「は?今入れたじゃないですか?何か手違い
ありましたか?」
「お客さん。うんちんですよ。う・ん・ち・ん」
「さっき入れました。もういいだろ!」
私がその場を離れようとしたとき車内から男性が
走ってきて私を止めた。
「すみません。うんちん払ってもらわないと」
「払ったじゃないですか!!250円払ったじゃん!」
私は苛立ちが収まらないまま、もう一度運賃箱にお金を
投入した。
「ぼったくりじゃねえか!!ふざけやがって!!」
怒りながらその場を離れようとしたらまたバスの運転手
に止められた。
「お客さん、うんちんですよ!うんちん!」
「うるせえ!そこまで欲しいんだったら、こんなもの
クレてやらーー!」
私は外にも関わらず、ズボンを脱ぎお尻を出してそこで
う◯こを出した。そして素手でう◯こを掴み怒りながら
運賃箱に勢いよく投入した。
「どうや!?」
するとバスの運転手は何事もなかったかのように
ニッコリと
「ありがとうございました」
と言ってバスはその場を去った。私は呆然とする。
下半身丸出しのまま誰もいない場所で立ち続ける。

夢は覚めた。おや?おしりが温かくて気持ちが悪い。
う!臭い。まさか…。
恐る恐るお尻を見ると、う◯こ漏れていた…

今日はなんと屈辱的な夢なんだろう。

第7話おわり

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