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小室圭の勤務先でレイオフ(大量解雇)があっても、彼の年次は対象に含まれない

アメリカのIT企業によるレイオフ、いわゆる大量解雇が日本でも物議を醸しているが、景気が後退するといずれは大手法律事務所も煽りを受けるのがアメリカである。特に金融に依拠しているM&Aなどの分野が強い法律事務所は、景気の動向に左右されやすい。(余談となるが、会社更生や訴訟といった分野は、反対に景気悪化に強い)

そうなると気になるのが、コーポレート関係の仕事がしたいと言って小室圭が就職した法律事務所Lowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)が、16人解雇したという報道である。対象となったのはスタッフであるが、いずれは弁護士にも広がる兆しを感じさせる驚きのニュースである。

アメリカのレイオフとは、噂に聞くとおり残酷だ。

僕はLowensteinより規模が大きい法律事務所に勤めていたが、まだ入所して半年くらいしか経っていなかった頃、よくお昼を一緒に食べに行っていた先輩が僕の個室に入ってきて(アメリカの大手事務所では1年目から個室を与えてもらえる)、寂しそうな顔をしながら「お別れを伝えにきたんだ」と言った。「たった今、レイオフされたことを告げられた。明日から一緒にランチに行けなくなるのが残念だ」みたいなことを言われると、たとえ自分がレイオフの対象でなくても、悲しくなってしまう。

こんなこともあった。

レイオフされた先輩がいなくなった数ヶ月後、僕はある大規模案件を担当していた。重要な局面を迎えていたある日、最終の詰めに向けて相手方の法律事務所と連携する必要があったのに、終日、相手に何度メールしても返信がなく、どの弁護士に電話しても繋がらなかった。即回答することが存在意義のような法律事務所の世界ではあり得ない事態である。

いったい何事だ、と昼過ぎからキレてたら、深夜になってやっと相手から連絡があり、「聞いたかもしれないけど…」と切り出された。

案件対応に追われていた僕はまったく知らなかったのだが、なんと、彼の事務所でもその日の朝に大規模のレイオフが実施されたのだそうだ。余儀なく退所させられた多くの元同僚と昼間からやけ飲みしていたことを説明され「察してくれ」と言われては、数ヶ月前に同じように先輩を見送った僕としては何の苦情も言えなかった。

当時の僕は、僕も相手の弁護士もレイオフの対象に含まれなかったことは運が良かったからだと思っていたのだが、今なら分かる。あれは運でも何でもなかったのである。彼も僕も新米弁護士だからこそ生き延びれたのだ。

理由は簡単だ。新米の給料は安いからである。

たとえば、Lowensteinに所属する1年目の弁護士の給与は$215,000。超高給と思うかもしれないが、2年目には$225,000、3年目には$250,000と増えていく。しかも、これにはボーナスが含まれていない。現在、Lowensteinのようなアメリカの大手法律事務所に所属している8年目の弁護士はボーナスも含めて$530,000もの収入がある

合計報酬は4年目から急増していく。これもわかりやすい理由で、大金を積まれなければ、無茶な勤務形態である法律事務所に4年目以降も残りたくないのである。

ということは、法律事務所としてコスト削減を行いたいのであれば、レイオフすべき層が4年目以降の弁護士であることは一目瞭然だ。4年目の弁護士を2人切れば1年目を3人、大ベテランの6年目の弁護士を1人切れば1年目の弁護士を2人も雇用できるのだ。当時1年目だった僕が残れて4年目だった先輩がレイオフされたのは、ある意味当然のことだったと言える。

この先数ヶ月、景気が悪化すればLowensteinでは弁護士のレイオフも実施されるかもしれない。その際には小室圭の解雇もありえるのかと騒がられそうだが、僕の経験上、レイオフされるのは彼の先輩たちである。

[注:この記事は2023年4~5月に自分のブログに載せた投稿に微修正加えた上で再掲したものです]


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