バガボンドから学んだ承認欲求
井上雄彦の作品が好きだ。
SLAM DUNKから始まり、リアル、バガボンドの順番でハマっていった。
個人的には上記3シリーズはそれぞれ10代、20代、30代、に刺さると思っている。
35歳の自分にはバガボンドが最も刺さる。
宮本武蔵 @ 自己承認欲求
ネタバレになってしまうので詳細の描写は避けるが、武蔵は自己承認欲求の象徴だ。
自らが設定した「天下無双」という抽象的で掴み所のない目標と、現在の自分とを常に比較し、もがき苦しみ、その過程で成長していく。
特に「天下無双はただの言葉」と柳生石舟斎から言われた後、自己承認欲求の承認基準に「天下無双」を置き続けることがこれ以上の成長を生まないかも、と感覚的に気付いて自己実現欲求を模索し始めるところが印象的である。
その後、自己実現欲求と自己承認欲求との間で揺れ動く武蔵の人間臭さにもかなり共感が持てる。
本位田又八 @ 他者承認欲求
対して、又八は他者承認欲求の蟻地獄にハマっている。
幼なじみである武蔵と自分自身との比較が判断基準の大部分を占め、母親の「武蔵に負けるな」というプレッシャーが輪をかけた他者承認欲求に導いている。
自分ではない誰かの基準で生きるのは楽ではあるが、自分の人生を自分で彩る感覚を得られない空虚さは、人生の豊かさを奪っていくということを教えてくれる。
凡才で目立った力を持たない又八に対し、死期が迫った母親が言う「強い者などおらん、強くあろうとする者、おるのはそれだけじゃ」と自身のメタ認知を促したように、他者承認欲求からステップアップするきっかけは意外に溢れているのかもしれない。
佐々木小次郎 @ 自己実現欲求
最後に、作中で聾者として登場する小次郎は自分の世界を追求する。
誰に何を言われても、自分の興味関心の対象である剣術を磨くことにしか興味が無く、それが故に日常は天真爛漫に伸び伸びと子どものように純粋無垢に生きている。
子どもの頃に持っていた純粋さは通常、大人になるにつれて忘れ去られていくが、それを忘れずに大人になった時の強さを表してくれていると感じた。
大きな功績や実績を残した経営者・著名人が子どものような真っ直ぐさを持っているのを見ると、バガボンドの佐々木小次郎を思い出す。
自分のタイプをメタ認知
どのタイプが良い悪い、ということは無い。
それよりも大事なのは自分がどのタイプなのかを知っておくこと、そしてそのタイプの特徴を知っておくこと。
それによって自分で自分をハンドルしやすくなると思う。
ちなみに、私は宮本武蔵型。自己実現と自己承認を行ったり来たりしている。