2a 写真の原理

⚫カメラとは「光学系の窓のある小箱」である。

⚫それを操って「光で描く」のが写真である。

⚫過不足ない光をカメラに取り込むために「露出の三要素」が必要。

⚫「露出のトライアングル」のバランスをイメージ。

カメラとはなにか?

では、そもそも論から始めましょうか。カメラとは何か、まずは広辞苑を引いてみるとこんなふうに書いてあります。

針穴・レンズ・反射鏡などの光学系を用いて、被写体の映像を暗箱内のすりガラス・紙・感光材料・撮像素子などの面上に結ばせる装置。カメラ‐オブスキュラ・写真機・撮影機・テレビ‐カメラ・ビデオ‐カメラなど。キャメラ。

[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]

もうひとつ、困ったときのWikipediaを参照してみるとこんなふうにありますね。

もともとの語源であるラテン語のcameraは「小さな部屋」を意味し(中略)カメラの由来である「カメラ・オブスクラ」の「オブスクラ」(やはりラテン語で、obscura)は「暗い」という意味で、全体で「暗箱」ないし「暗室」といったような意味である。そこから単にcameraでそのような意味となり、転じて、現在の日本語でいうカメラを意味するようになった。


​ラテン語あたりまで遡るとムダにアカデミックなニオイがしてくらくらしますが、カメラとは要するに『光学系の窓が付いた小箱』で、すりガラス、紙、フィルム、撮像素子などの面上に画像を結ばせる装置、というわけです。

カメラの元祖として広く知られているのは、いわゆる 「ピンホールカメラ」です。閉じた小箱に針の穴を開けると、その反対側に逆さまの像が写る、という事実は11世紀ごろから知られていたようです。

画像1

それを画像の取り出せる 「カメラ」にしたのは19世紀のフランスでした。

針の穴の代わりに光学レンズを取り付け、逆さまの像が写る壁には光によって硬化する板をセットしたそうです。この時代から、カメラという機械の基本的な仕組みは全く変わっていません。

暗く閉じられた箱に光学レンズの窓を開け、そこから導かれた光を何らかの方法で固定する、それがカメラというもので、いかに上手にその箱を操って光の画(photograph=光画)を記録するか、それがフォトグラファーのやるべきこと、なのです。


露出の三要素

被写体を固定するためには、必要なだけの光を過不足なく取り込む必要があります(光を取り込む、その行為、または結果のことを「露出」といいます)。

そのためにはカメラという暗い箱に窓を開ける必要があるわけですが、窓の開け方で取り込む光の量をコントロールすることができるのです。

そのために選択するのは

窓を開ける広さ(広い窓か、狭い窓か)

窓を開ける時間(長く開けているか、短く開けているか)

のふたつです。

さらに、光を受け止めるフィルムや撮像素子も

光に対する感度(敏感か、鈍感か)

を変化させることができます。
この、窓を開ける広さのことを絞り(Aperture)といい、F値という数字で表されます。

また、窓を開く時間のことを、シャッタースピード(Shutter Speed)と言い、1秒の何分の1という数字で表されます。

そして、フィルムや撮像素子の光に対する感度のことをISO感度と言い、ISO200、などの数字で表されます。

窓を開ける広さ(絞り)、窓を開ける時間(シャッタースピード)、光に対する感度(ISO感度)、この三つの要素のことを、露出の三要素と言います。


​露出のトライアングル

結果としてどれだけの光を撮像素子に取りこめるかは、この三つの要素のバランスよって決まります。

これを露出のトライアングルといいます。

画像2

露出の三要素のそれぞれの数値によって作られる三角形の面積、それが結果としての「露出」です。

三要素それぞれのパラメーターには、それぞれの役割ごとの都合があります。たとえば、背景の大きくボケた写真を撮りたいと思ったら、絞りを開いてあげたくなりますが(詳しくは2cで説明します)、その結果として多くの光が取り込まれます(明るくなる)ので、露出オーバーにならないようにシャッタースピードとISO感度の方で調整してあげないといけません。

また例えば、夜景の撮影などで暗い場面を撮影する場合、どうしてもISO感度を上げたく(感度を高くしたく)なりますが、その場合も明るくなり過ぎないように絞りとシャッタースピードを調整します(2dで詳しく説明します)。

意図を持ってシャッタースピードを設定したときも同様です。その場合も、適性な明るさを保つために絞りとISO感度を調整しなければならないのです(2bで詳しく説明します)。

このように、カメラの設定というのは結局、この「露出のトライアングル」のバランスを設定することなのです。

三角形のバランスを保ちつつ、自分の意図する露出をどう得るか……。

その方法を次項から説明します。まずはこの「露出のトライアングル」のイメージを常に持つよう心がけてみてください。

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