薬機法とグレーな話。

昨今のコロナウイルスの影響により、

マスクやらトイレットペーパーやらカップ麺やらがなくなったりなくならなかったりしている生活に疲れている人も多いだろう。

コロナショックの前なら当たり前のように手に入っていたものが、

こんなにも世の中に流通しなくなるものかと不思議に思ってしまう。

その中の1つが、いわゆる「除菌剤」だ。

私の勤めている会社でもマスクや除菌剤を仕入れてはいるので、

ロットさえクリアできるのなら手に入れること自体は可能だ。

ただ、普段メインで取り扱っている商品ではないため、

商品知識にやや欠ける部分があることが、自分でも気になっていた。


そこで、今回のコロナショックの後でも需要が続きそうな「除菌剤」に焦点を絞り、

少し深掘りしてみることにした。

先にも述べたとおり、

私の会社では、とある企業から除菌剤を仕入れていて、

それを各お客さんに卸している。

良くも悪くもコロナの影響で「除菌剤あります」だけでも十分売れるのだが、

中には病院や介護施設関係のお客さんもいるので、

「成分」を聞かれることが多々ある。

しかし、製薬会社や化学品メーカーに勤めているわけでもなく詳しいわけでもないので、

うまく答えられないことが多かった。

そして色々調べているうちに、あるワードにたどり着いた。

薬機法(旧薬事法)だ。

言葉の響きだけでなんとなくどういう法律かは分かるが、

この法律に関連するものを調べてみると、色々とグレーな部分が浮かび上がった。

薬機法は正確には、

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」というらしい。

これだけではなんのことやらあまりピンとこない。

ざっくりと裏を返せば、

「薬機法の認可を受けてないものは医薬品、医薬部外品として認めないよー。」

ということだ。


ここからが少しグレーな話になるのだが、

除菌剤を例に挙げると、

認可を受けていない商品は、

「殺菌」や「消毒」といった表記が使えない。

しかし、厳密には同じ意味ではないにしろ、

一般消費者からすれば限りなく同義であろう、

「除菌」や「抗菌」という言葉は使える。

昨今、コロナウイルス関連商品を巷でよく見かけるが、

大手化学品メーカーではない会社が販売している除菌剤などは、

ほとんどが「除菌」「抗菌」などを謳っている。

すると、普通の人ならこう思うだろう。

それってほんとに効果あるの?

結論から言えば、成分表示に誤りや嘘がなければ、

程度の差はあれど効果は同じだ。

それは各種実験や販売会社独自の検査により証明されている場合がほとんどである。


また、認可を受けていないものに関しては、

人体に直接作用する効果を謳ってはいけない。

ドアノブやマスクにスプレーをして除菌効果は得られるが、

手のひらや指などに直接作用すると謳ってはいけないのだ。

しかし、前述した通り、

効果はある。

たとえ人体に使っても問題はないし、

手のひらや指などに使用すること自体は問題ない。

ただ、

そうとは表記できない。

「直接人体に使えます」と表記すると、

薬機法に引っかかってしまうからだ。

この辺りがなんともグレーである。


ではなぜ、薬機法の認可を受けないのか?

端的に言えば、

コストと手間の問題だ。

認可を受ければ、病院や介護施設などには安心して販売できるのは明白だが、

特に今回のようなスピードが求められる状況ではそれも中々厳しいことは推測出来る。

要するに、

効果は同じだけど、コストと手間をかけずにそれっぽいものを売りたい企業が多いということだ。

しかしこの辺りを特別に規制するわけでもなく、

曖昧なままにして、あとは消費者の判断に委ねますよというのも、

なんとも無責任でグレーな法律だなぁと思ってしまう。


コロナウイルスの影響がいつまで続くのか、現段階では誰にも分からないが、

少なくとも一消費者として、

こういう情報を知っているかどうかが大きな差を生む事態が、

すぐそこまで迫っているという危機感を忘れてはならないと思う。






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