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【仕事・コーチング】変わる「準備」が難しい

少し前に行動変容ステージモデルについて書きました。

このモデルに関することで仕事の中で気づきがあったので書いてみます。

行動変容ステージモデルのおさらい

詳細は検索いただいたり、過去の記事をみてもらうとよいのですが、ざっと説明しますと、行動変容ステージモデルとは、人が何かしらの課題を解決するためにその本人の行動を変えるための概念と段階的なアプローチをモデル化したものです。

段階としては5段階あり、

  1. 無関心期:課題に関心すらない状態

  2. 関心期:課題に関心はあるが、行動を起こす気が無い状態

  3. 準備期:行動に移したいと思っているが、行動できてない状態

  4. 実行期:行動に移しているが、習慣化されてない状態

  5. 維持期:習慣化され、改善されながら維持されている状態

それぞれ、次の段階に移るために刺激を与えたり、インプットやアウトプットを行うことで行動変容を起こさせて、課題解決(や目標達成)を促していきます。
課題のタイプと、対象の相手のステージに寄って様々な施策が必要になります。

準備→実行より、関心→準備が難しい

なんとなく行動変容と書くと、実際に動き出すところが肝のところで、準備期から実行期へ移すための施策が最も難易度が高いイメージがあります。

ただ、関心を持たせる、意識をする、したいと思うという心持ちの変化も(心の動きとしてみれば)行動変容とも言えます。

先日、仕事で会社の中で展開したい事象があり、それはこれまで多くの社員がやってきたこととは違う新しいことを根付かせていくミッションでした。

先の行動変容ステージモデルを使いながら、各段階にどういう施策を打っていくかを整理し、他に当てていく新たな施策を検討していましたが、準備期から実行期に持っていく施策は多くありましたが、関心期から準備期に持っていく施策はありませんでした。

そこが手薄なので何か考えなければいけないと思い、自分のマネジャーに相談したのですが、マネジャーからのコメントは、

「関心期から準備期への施策が一番難しいし、時間かかるよ?」
「さらに上層がどれくらいの時間をかけてよいかに寄るよ。恐らく長期になるよ」

でした。

「Want(〜したい)」を創り出す難しさ

関心期から準備期に移行するのが一番難しい…
一瞬、いや本当にそうかな?と思ったのですが、確かにそのステージの移行はかなり難易度が高いと気づきました。

関心期から準備期への移行は、人の心の中にWantを創り出す段階だからです。

準備期から実行期への移行は既に「〜したい」と思っている人に対して、実の行動に一歩踏み出す施策になります。
花火でいえば「花火は綺麗だし、自分で上げてみたい。けど、どうやればうまく花火が上げられるかわからない」段階です。

つまり、どのようにすればうまく実行できるか?を支援すればよいのです。
それはやり方に関する教育やノウハウ、道具立てなどの環境作りなどです。

花火の例でいえば、安全面の学習をするとか、免許が要るから取るとか、場所や時間を調整するとか、運営スタッフを雇うとか、色々あります。
(行動したいけど、調べたり、自分で調整するのが面倒だから行動できないのであれば、暫く伴走したり、マニュアルを用意するなど打ち手はあります)

しかし、関心期から準備期への移行の場合、関心期の人は「〜したい」とは思っていない状態であり、何故する必要があるかをまず腹落ちしなければなりません。
花火でいえば「花火は綺麗だが、私が上げる必要が無い」という段階です。

つまり、実の行動の前に、心を動かすための気づきや動機付けを高める施策が必要になります。そして人の心を動かすことが容易ではないことは、誰もが想像できることだと思います。(よっぽど人生の中で衝撃的で切迫しないと変わりません…)

行動変容は、生活習慣の改善や禁煙など健康面の施策として用いられてきましたが、この関心期から準備期というのがそこそこ厄介であり、支援を受けている側(患者側)はカウンセラーから言われることは理解するが、多くは何かしら言い訳をしてやろうとはしないのです。(その場合、だいたいは自分の外側にあるもののせいにしがちです)
しかもそれを強制したり、焦ってしつこく言ったりすると、相手からの反発や不信感を生み出し、変化に対して拒否感を持ち、現状に固持しだすことになります。

健康面に限らず、仕事やキャリアの面でも、何かしら都合の良い言い訳を、自分の外側に用意して、心の行動変容を起こさないのは同じです。

正直、今の自分の仕事の中で、このWant(〜したい)を生み出す関心期から準備期へ移行させるための施策はまだ考え尽くせていません…
一ついえるのは何かマニュアルなどを用意して渡すような施策では心は動かないだろうなと。人間味のある寄り添いとともに、じっくり人と向き合って行動変容を促していくしかないのかなと思っています。

そういう意味ではコーチングも一つの手段といえます。
ただ、一人ひとりに寄り添うのは時間も人も足りません…
よって、実際に対話するコーチングだけではなく、コーチングの持っている仕組みや仕掛け、概念などを別の施策として仕込んで展開できないかを、引き続き模索していきたいと思っています。

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