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【仕事・マネジメント】なかそとびと(中外人)

中の人でもあり、外の人でもあるからこそ変革できる。

「どちらだけの人」が変革する難しさ

新規事業に関わったり、最近だと会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)による変革などに携わっているといろんな戦略や作戦、施策を見たり、自分でも実行したりするのですが、本当に既存に最適化しきった会社を変えるのは難しいです。

まず何か大きく変えようとすると多くは「外の人」を使うことが多いでしょう。
「DXを支援します」という名目でコンサルティング会社に頼るということが真っ先に思いつきます。

別にコンサルタントの方を否定するつもりは一切ないのですが、出てきた結果を見ても「おそらく他の所でも似たような提案しているんだろうな」と思うような内容も多い印象です。もちろん、クライアント企業の中の人と喋りながら、その企業らしさも加えるのでしょうが、基盤にあるものは殆ど同じで、AIだのデータ活用だのプラットフォーマーだの、よく一般的に言われる勝ち筋だったりします。

そして、コンサルタントのアウトプットをクライアント企業の人に渡しても、今度は「中の人」の実行が難しいです。そもそもそれを実行できるケイパビリティもなければ、他人が作った戦略・施策を自分ごとにして本気で取り組める人も多くはないでしょう。それに立場的にいろんなものを見てきている上級役員からすれば、「またコンサルに多額の金払って、どこの会社にも当てはまるようなアウトプットもらいやがって。自分たちで考え尽くせ!」と言われるのがオチです。

そして面白い事に、今度は一生懸命自分の頭で考え、調査して持っていっても、「本当にこれで会社は変わるのか?儲かるようになるのか?」「成功事例はあるのか?やれてもない身内が言うことは信用できない」とも言われます。

こういう話を聞くと、経営陣自体が本気で変えたいのかと疑問に思いますが、ともかく「外の人」も「中の人」も結局、変革を起こすことができないのです。

「中の人」でもあり「外の人」でもある立ち位置

そして最近、変革できる可能性が高そうだなと思えるやり方があります。
基本の立ち位置は「外の人」なのですが、「中の人」という立ち位置も取れる役割で会社の中に入り込んで変革に携わるという人を入れるというやり方です。

こういう立ち位置の人を、私は勝手に「なかそとびと(中外人)」と呼ぶことにします。(笑)
※既に言ってる人がいたらごめんなさい…少なくともググっても無かったので。

契約的な話でいえば、副業であったり、嘱託であったりしますが、中の人として名刺も持ちますし、会社のインフラのアカウントも社員証も持ちます。
そしてポジションとしては役員クラスだったり、所長・部長レベルのマネジャーというポジションになります。

この「なかそとびと」の立ち位置の良さについて、私が思うところは以下です。

  • 外の人なので、中の人に改革を起こすという意思表示ができる

  • 中の人ととして大きな権限を持つため、変革を実行に移しやすい

  • 外に本業があるので、失敗しても路頭に迷うことがなく、尖ったことができる

  • 外の人なので柵や忖度がない(追い出されても外に本業があるので痛くない)

実際過去も会社に新しい風を吹き込んで、社内の風土文化基盤に変化をもたらした人は「なかそとびと」でしたし、今もDXの文脈でもガンガン入り込んで進めている人は「なかそとびと」です。

「なかそとびと」こそ変革の軸になる

いくら社員に危機感を煽って、出る杭になれとかイノベーター人材になれと言われても、その会社だけの仕事を生業にしている人にはリスクが大きすぎます。

やる気のある末端社員は権限もありません。相当色んな人を説得し、味方に付けて、役員や社長プロジェクトくらいまで上げれば別かもしれませんが少数でしょう。それにしても経営自体を変えるようなところまではなかなか行けず、まずは小さく新規事業を旗揚げするくらいでしょう。これでは変革とは言えません。

そして、ミドルマネジメントはせっかく権限もあるのに、やる気はありません(口ではイノベーションだDXだなんかは言いますけどね)。せっかく手にしたポジションを手放すようなリスクは取らないでしょう。

新規事業や変革系は成功すれば褒められますが、だいたいは既存の人と比較されると評価されませんし、道のりは非常に長いです。「出る杭」「イノベーター人材」が奨励される企業文化であり、評価も給与もポジションもメリットがあるなら別ですが、そのような会社は(口では言ってても実際は)日本には少ないでしょうし、「出る杭」「イノベーター人材」だったらその会社を辞めて他に行っても通用する人でしょう。

やはり一番の問題は、その会社一社だけに所属し、失敗して追い出されると路頭に迷うような人は変革に関わらない方がよいということです。
言い換えれば、「会社の雇用契約より立場が弱い人、会社に強く出られない人」ということです。

もちろん追い出されてもハングリー精神で泥水すすってでもやってやるという人もいるでしょうけど、正直「それ、本心ですか?」と問いたくなります。
独り身なら別ですが、家族など守る人がいたらどうですか?口籠もりますよね?

「なかそとびと」の強みは、会社の雇用契約より強い立場にある人、それは仮に追い出されても食いっぱぐれがなく、その会社だけで依存していないことです。だからこそ思い切ったこと、良い意味で空気を読まなくて良いということなのです。

なので、自分も会社の外での市場価値を上げ、今の会社に依存しなくてもやっていけるだけのスキルと経験、実績を積み上げて行きたい。それでも今の会社は嫌いではないのでできるだけ助けたいという思いがありつつも、まだ会社より立場が弱いことが引っかかるので、そこを整えていきたいと思います。

そしてまだ私の力不足な状態のときには、「なかそとびと」を如何に会社の中で活躍できるようにするか、助けられるかという側面で関わり、自分も変革の一端に携わり、口だけではなく実行しつつ、様々なものを積み上げて行きたいと思っています。


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