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退職、その後

 退職後から、私の転職活動は始まった。私は結局ブログを非公開にすることはしなかった。それどころか、その執筆者は私であるということを会社の方にお伝えし続けている。私は自分自身を良く見せて選考を突破するということよりも、自分自身のありのままの姿を見せて、「一緒に長く働きたい」と思ってくれる会社に入りたいという思いがあるからだ。有難いのか有難くないのかは分からないが、私が面談した方々のうちの7割程度はあのブログをどうやら読んだことがあるらしい。
 
 ここまで30社ほどの会社の方とカジュアル面談をさせていただいた。有難いことにこのような無能な私であっても、まだ選考に進むことを望んでくれる会社は存在するようである。ネット上ではいろいろなコメントを頂いたが、配慮なく私に攻撃的なコメントをする人は一人もいなかった。つくづく匿名性とは残念なものだと思った。
 
 しかし、最近面談へ応募する私の手は止まり始めている。時々趣味で React を書いているが、そのペースも落ち始めている。別に鬱の症状が悪化しているとは考えにくい。にもかかわらず、何故そんなことになるのだろうか。

 きっと私は本当の意味で "市場価値" を手放したのだと思う。以前転職活動をした際には、私はある意味自分の "市場価値" を証明することに懸命だった。それこそが自分の人生を幸福にする最大の手段だと思っていたからである。

 しかし「雇用されていない」という期間を経験し、当然私には市場価値の対価が払われることはなくなった。その出来事を経験したことが、私にとっては重要な経験だったのだろうと思う。それでもなお、私が存在することに価値を感じてくれる人がいることに本当の意味で気づいたからだ。とてもありがたいことに、私のことを必要としてくれるのは、市場だけではなかった。常に感じていた、"市場価値" が失われてしまうことへの恐怖を手放すことで、ついに休息をとることができるようになったのだと思った。

 睡眠薬を飲んでいるにもかかわらず睡眠のリズムが壊れてしまっている点や、ふとした瞬間に死にたいと思うことが少し懸念だが、ゲームなどをして気をうまく紛らわせながらしばらく療養させていただき、安定した生活リズムを実現することが当面の目標である。


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