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#6-3 好奇心の塊である器用家的偉人〜レオナルド・ダ・ヴィンチ〜

こんにちは!Jo-ATのAkiです!

今回のNoteは,前回のTomoya,前々回のUmicaに引き続き,レオナルド・ダ・ヴィンチ(以下,レオナルド)について取り上げていきます.
私は高専にて「カオス」と呼ばれる事象について研究していました.
そこで本記事では,カオスの魅力とレオナルドの関連性,貢献度についてお話したいと思います.
極力,専門知識を要せずにご覧いただけるよう努めてまいりますが,本記事中で小難しいワードが出てきた際には,「ふーん」と流していただいて大丈夫です!

レオナルドがどんな人だったのか,どんな業績を残してきたのか,という事項については,前回・前々回の記事をご覧ください.



カオスとは

突然ですが,みなさんの生活において「偶然」や「たまたま」は存在していますか?
恐らく十中八九全ての人が「偶然」や「たまたま」を経験していると思います.

買い物をしていたら「偶然」友人と出会った.
部屋の掃除をしていたら「たまたま」失くし物を見つけた.

至極当たり前の日常のように感じられることですよね.
しかし,その「偶然」はある一つの決定論的な理論によって説明できてしまうのです.
そう.それがカオス理論です.(※非常に単純解釈していることをご容赦ください.)

では次に,カオス理論においてカオスとは一体どう定義されるのでしょうか?
カオス理論について非常に著名な方である,スティーブン・ストロガッツ(Steven H.Strogatz)氏によると

カオスとは決定論的な系の示す初期条件に鋭敏に依存する非周期的な挙動であり,それゆえ,系の長期予測を不可能とするものである.

Steven H.Strogatz,「ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス」,2015

以上のように定義されるとのことです.

系って何?決定論的な系ってどういうこと?
出ました小難しいワード(たち)!
ですがここでは,「まぁ,そんなものがあるのね」くらいに捉えて貰えると幸いです.


身近なカオス:天気予報

ではここで,みなさんの生活においても身近なカオスに触れてみましょう.

みなさんは天気予報を利用しますか?
明日の気温予測を見て服装を決めたり,週末の天気予報を見て出かける場所を決めたりするのではないでしょうか?
なぜ,天気予報はある程度当たるのでしょうか?
それはこれまでの気象に関する研究と,膨大な気象の観測データがあるからです.

身近過ぎて気にかける事も少ないかもしれませんが,天気予報は未来を予測しているのです.
改めて考えてみると凄くないですか?
自分自身の未来は分からないのに,明日の天気は分かるんですよ?
未来を覗き見ることが出来れば,何事にも恐れず,危険を回避しながら,安全に楽しく生活ができそうですね.
しかし非常に残念なことではありますが,これは(現代において)不可能です.

その理由は,先述したカオス理論の定義にあります.
定義中には「カオスとは決定論的な系の示す初期条件に鋭敏に依存する非周期的な挙動」とあります.
この「初期条件に鋭敏に依存する」という部分が非常に重要です.
これは,「その時点においては無視できるような小さな出来事が,積もり積もって大きな違いを生じさせる」ということを意味しています.
心理学におけるバタフライ効果は,このことを指し示しています.


身近なカオス:バタフライ効果

例えば,「ダイエットをする!」と目標を立てたとしましょう.
勤勉な人であれば,その日のうちに何かしらのトレーニングを始めることでしょう.
対して,怠惰な人であれば「明日から頑張ろう」とトレーニングを先送りにするかもしれません.

さて,将来的にダイエットに成功するのはどちらの人でしょうか?
一般論的には前者であると考えられます.

これは,「勤勉だから」という理由には片づけられない問題です.
その時点において,何かしらの行動を起こした場合,それは遠い未来において大きな違いを生じさせます.
これをバタフライ効果と呼ぶのです.


レオナルドの好奇心

さて,現代において,カオスについては100年ちょっとしか研究されていません.
この100年という単位は,理系分野における研究期間としては非常に短く,まだまだ研究の余地があると考えられます.

ここでひとつ,レオナルドにも関連するカオスの話をしたいと思います.

私たちの生活する地球には,気流が発生しています.
飛行機が空を飛ぶには(様々な要因はありますが),この気流を利用しています.
飛行中,突発的な乱流が発生することもしばしばあり,旅客機などはこれらを避けるなどして運行しています.

自然界に極々当たり前に存在しているものの,非常に複雑な存在である乱流はその性質の理解が困難であるとされています.
20世紀初頭,多くの科学者が乱流について研究を行いました.
しかしその当時は,「乱流は理論家の墓場だ」と言われるほどに研究は難航していました.

ではこの乱流を理学的に解析することが可能となったのは,ブレイクスルーのきっかけとなったのは何だったのでしょうか?
それは,レオナルドの2枚のスケッチでした.

レオナルド・ダ・ヴィンチの2枚の乱流のスケッチ
出典:「1838夜『偶然とカオス』ダヴィッド・ルエール − 松岡正剛の千夜千冊」より引用

レオナルドは解剖学,建築学,土木工学,結婚式プランナー,ファッションデザイナー,機械工学,楽器デザイナーなど,芸術のみならず科学技術分野にまで興味を持って多彩な活動を行ってきました.

絵を描く画家としての一般的な印象が大きい一方で,レオナルドはここまで幅広い分野を渡り歩いていました.
その中の一つとして,流体力学における「乱流」についてもレオナルドは大きな貢献を果たしました.
レオナルドは,乱流について完全な理解をすることは叶わなかったものの,乱流が大小様々な渦からなることを見抜いていました.

それから約500年近く経過した後に,流体力学を取り扱う専門家によって2枚のスケッチをもとに,乱流の系を示す運動方程式が解かれていきました.
これは偉大な解析であり,今後の量子乱流などの応用分野においても大きな成果をもたらすと言えます.

このように,レオナルドの幅広い探究心によって残された2枚のスケッチは,後世に大きな結果を残しました.
好奇心から始まったスケッチは,流体力学の大きな糧へと成りました.


おわりに:好奇心に従う

私たちの生活において,乱流が解析されたことによる恩恵はとても大きいです.
なぜならば,飛行機に安全に乗ることができるのですから!

レオナルドは何でもできる,そして何に対しても興味を持つような偉人であります.
ほんの小さなスケッチによって,私たちの生活に欠かせないほどの成果を残しました.

私たちもその生き方を見習い,興味を持ったことに対しては深く追求してみるのはいかがでしょうか?
何か大きな成果を残すことができなかったとしても,取り組めたことが大きな価値を持つのだと私たちJo-ATは考えます.


様々な分野に興味を持つ器用家たちを,私たちは応援しています!


参考文献


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